虫と妖精と人間
家の中で一か所だけ、すごく気に入っている場所がある。
夏は、寝る前にその窓辺で、涼みながら外を眺める。
昨夜、外にホタルが光っているのが見えた。
ホタルが光りやすいのは、6月の蒸し暑い夜20時前後。川のほとり。
見たのは23時で、川の近くでもない。
迷いホタルか。ホタルも迷ったりするんだな。
光ったり消えたりを繰り返しながらゆらゆらと飛ぶ姿が、
何かに似てると思ったら、昔たまに見た妖精だった。
虫は好きじゃない、妖精は好き。
と思っていたけど、それは間違いかも。
ホタルは水と空気がキレイなところにいる。
妖精は、気の良いところにいる。
同じなんだ。
吞んだ帰りか、人が歩いてきた。
街頭がないから姿は見えない。
チッと音がし、光が灯った。
その後、じわっと小さな光。
タバコだった。
たくさんいる生き物の中で、
人間だけが違う気がするのはどうしてだろう。