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◆オーディトリー・ニューロパシー(98):自己エスノグラフィーと出会う

・日本心理学会大会で企画したシンポジウム(難聴関係)で話題提供するので、話の内容をまだ考えている。登壇者が全員難聴者で、それぞれ自分の体験を語るという趣旨なんだけど、いいまとめ方、切り口が思いつかなくてなかなか進まなかった。

・そんな中、自己エスノグラフィーという研究手法があることを知る。研究者か自分自身を対象に記述して論文にまとめるのってありなんだ…!実際、心理系の論文をさがしてみたら、発達心理学研究や質的心理学研究に論文が出ていた。障害者をきょうだいにもつ人の語りをまとめた研究。

・ここに書いたオーディトリーニューロパシーの記録やX先生に出すために書いた補聴器使用レポ、検査データ、講演で話してきた自分の体験、メールのやり取りなど、よく考えたらいくらでもデータがあった。

・単なる体験記ではないかたちでまとめてみたかったので、自己エスノグラフィーについてさらに詳しくしらべてみることにしよう。
2020.8.1

・そして、日本心理学会大会で企画した公募シンポジウム、「難聴者・中途失聴者の心理学:聞こえにくさをかかえて生きる」で話題提供するスライドをどうにか作って登壇者の先生がたに共有…。

・「『聞こえにくさをかかえて生きる』自己エスノグラフィ」としてこれまでの記録をもとに小学5年生の頃に耳鼻科で低音の聴力が悪いことがわかってから人工内耳になる現在までをまとめてみたのだけど難しい…。これは研究といってしまっていいのであろうか。考察もまだまだ甘いので当面まとめ作業が必要。いくつか気づいたこと。

1)沖潮(原田) (2013)も指摘しているけど、他者の目を入れないといけないだろう。自分が忘れていることを覚えているかもしれない。できれば関わってきた重要な登場人物に直に「裏とり」する作業も必要だと思う。

2)論文草稿書いてからスライドにしようとして、まだ半分くらいしかちゃんとした文章にしてないのに8000文字に迫っている。分厚い記述が大事、って結構な分量になりそうだが、投稿できる雑誌はあるのかどうか。紀要にするか。

3)沖潮(原田)(2016)では、著者は語るたびに涙を流していたそうなんだが、自分は強い感情が起こることはまったくなく、淡々とまとめていた。就活中とかはこんな作業をしようという気にはならなかったと思う。研究としてまとめるのによいタイミングがあるのかもしれない。

4)決まったやり方がないのでこれでいいのか不安。もうちょっといろいろな研究を見てみたほうが良い。この分野の第一人者の文献(エリス&ボクナー, 2006)からたどっていく。

文献
エリス&ボクナー. (2006). 自己エスノグラフィー・個人的語り・再帰性:研究対象としての研究者 デンジン・リンカン(編)質的研究ハンドブック第3巻 北大路書房
沖潮(原田)満里子. (2013). 対話的な自己エスノグラフィ. 質的心理学研究, 12(1), 157-175.
沖潮(原田)満里子. (2016). 障害者のきょうだいが抱える揺らぎ: 自己エスノグラフィにおける物語の生成とその語り直し. 発達心理学研究, 27(2), 125-136.
2020.8.11

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