◆オーディトリー・ニューロパシー(107):術後3日目・音入れ日
・うとうと寝たり起きたりで4時45分ごろ起きる。朝ドラ見ながらのんびりご飯食べてたら主治医先生がやってきてあわあわ。8時30分からの診察にいかねばならぬのをすっかり忘れていた。傷を見てもらい、退院日は明日でもだいじょうぶとお伝えする。手術終わっていらい、電極入れられた右耳は全くではないがほとんど聞こえない状態。世界とのつながりがゆるくなっているというか、確かさが低くなっていると言うか。何時から何するみたいな社会のしばりの力が弱くなっていけない。
・その後人工内耳を使い始める俗に言う「音入れ」。耳鼻科の外来に行くがさっそく15分待たされる。時間通りに始まったためしがない。現在どれくらい聞こえると思うか答える「聞こえの質問紙」に回答するが、複数人での会話、親しい友人との会話とか最近してないので答えにくい。入院中だし。
・会議室に移動していよいよ右の人工内耳を初めて使う音入れ。言語聴覚士の先生が「かつやさん、きこえますか」などといってるらしきのはわかるのだが、かなり高い電気的な機械音に変換されており、それに全部高めの「ヒュイーンヒュイーン」がまとわりついている感じ。宇宙人の声真似のように聞こえる声の「宇宙人度」が左の時より強めである。これはあかんかったかな・・・と思ったが。すでに4年ほど装用している左人工内耳もつけて両耳装用になったとたん、急に音が立体的になり宇宙人度も下がる。これが両耳で聞くということか。手術後ゆるくなっていた世界とのつながりがまだ取り戻せたような心持ち。ぼんやりしてたのが目が覚めた気分。
・そしてなんと音入れの後にサプライズ。自分のわずらう珍しい病気を世界で初めて症例報告した先生に診察していただけることに。以前某補聴器メーカーのイベントにいらしていて、ある先生が自分を引きあわせてくださっていたのだが、その時のことも覚えてくださっていた。両耳に電極が入ったレントゲン写真を説明してもらい、傷をみてもらい、きこえの様子についてお伝えして。この先生がいなければ自分は今でも原因のよくわからない軽い難聴のまま何の対応もなく適当にごまかしながら過ごしていたかもしれないわけで。短い時間だったけどお会いできたのでもう悔いなし(笑 名前を書いてもらったレントゲン写真は大切にとっておこう。元気が出て部屋に戻る。
・午後、頭のレントゲンをとってもらう。検査技士さん3人がかりである。人工内耳を両方外したもので技士さんからの指示がまったくなんにもわからない。補聴器だったときは声出してるなとか質問してるなくらいはわかったのに。声を出しているのかすらわからない。自分の声も聞こえにくくて相手に届いたのか不確か。何だか自分がいるのとは違う世界と交信してるみたい。指示されて自分で体の位置を調整するとかできず、頭つかまれてなされるがまま。なんとおそろしい。自分で決められないし、違う世界に閉じ込められた心持ち。これまでとはまた違う世界を体験した気がする。
・夕方、聴力検査。新しく人工内耳になった右の聴力は30−50デシベル台のあいだ。軽度難聴くらいか。ふたたび右耳のマッピング。「キュインキュイン」「ヒュインヒュイン」って高めの音がまとわりついているのが取れたらいいのだがなかなか取れない。自分の声も高めのキンキンした金属っぽい音&超エコーがかかっていて長くしゃべっていられない。後ろの方で誰かがファスナーを締めた音がガラスか何かひっかいたみたいな嫌な音に聞こえる。「ひー」ってならない程度に音を抑えてもらう。あと、左の人工内耳の外付けプロセッサの電池はめる部分がゆるくなっているそうで新しいのに交換してもらった。動産保険に入っていたので無償ですんだ。その他もろもろ書類書きなど。
・今日はやることが多かった。くたびれたのでデータ分析の仕事を途中できりあげて10時頃ごろ寝る。音がなくなるのがおそろしいので両耳とも人工内耳つけたまま。
明日はいよいよ退院。以下リンクに続く。
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