マンゴーが相場の1/5!?コロナ禍で起きている日本の流通の問題
コロナ禍で起きたこと、起きている事を鮮魚・青果の流通市場の部分についてまとめさせていただいた。コロナは都市部では落ち着いているように見えていますが、地方の一次産業に従事している人にとっては市場が回復せずに大変な状況にあるようです。
一部の農家は商材の転換(花からレタスなど)の動きが出ているようですが、コロナから立ち直った時に農業や漁業の従事者が日本からいなくなるという可能性が少しずつ膨らんでいます。
1,コロナ禍で起きた異変
この3~4ヶ月で市場で起きた衝撃的な事件を列挙させていただきます。
a,スーパー用のキハダの単価が、本マグロの単価を上回る。
b,1個2,500円する宮崎マンゴーが1個500円。
c,花・木市場で、切り花の値段がつかず、バラなどが無料で配られた上、大量に引き取ってくれた人には引取料が支払われた。=バラをもらった人がお金ももらえた。
なお、現在は市場は一部を除いて、パニック状態から回復してきています。ただ、平均売価は大きく落ち込んでいるため、生産者にとってはひどい状況が続いている状態です。
2,推察
コロナの影響で、市場で販売されているものが値段が急落した。もしくは価格がつかなくなった事で、異様な状況が起きている。
まず、以下の事件について
a,スーパー用のキハダの単価が、本マグロの単価を上回る。
スーパー用の安いキハダマグロが、高級品である本マグロよりも高い値段で取引をされていました。これは居酒屋などの需要が消滅したため起きた事象だと思われます。
恐らく、スーパーのマグロの仕入れルートが、市場を通していないため、起きた出来事ではないかと思います。最近では、スーパーでの本マグロの取り扱いが増えたこともあり、本マグロ>キハダマグロという本来的な値段の関係に戻っています。
ただ、エビやカニなど家庭で一般的に消費しない商材については市場が戻ってきていません。車海老などは、ブラックタイガーより価格が低い状態が続いているようです。先日は、以前であれば3万円はしたといわれる大きなタラバガニを豊洲市場で2,000円で購入することができました。
以下2つの事象については、贈答市場が瞬間的に吹き飛んでいたのではないかと思います。
b,1個2,500円する宮崎マンゴーが1個500円。
c,花・木市場で、切り花の値段がつかず、バラなどが無料で配られた上、大量に引き取ってくれた人には引取料が支払われた。
この2点からわかることは贈答市場の需要供給曲線は、だいぶ歪になっており、少し需要がなくなると価格が急降下するリスクがあるというのがわかります。
マグロだと代替市場へのリプレイスが起きるため、需要供給曲線は一般的な形になるはずですが、リプレイスの難しい商材だと需要供給曲線はだいぶ歪になるというのがわかります。
3,何が起きているか。
既存の商流ではなく、食べチョクなど生産者と消費者を結びつける商流が生まれようとしています。
ただ、ここには大きな問題があります。それは「送料」です。市場(いちば)のメカニズムというのは、大量の商品と大量の消費を結びつけているので、物流費が圧倒的に安いんです。
産地直送のネットワークを構築するには、物流費用(送料)に見合う商品力が問われます。送料を追加して払っても良い商品というレベルの商品は、オイシックスが独占しています。通常の商流であるJAから市場に流通しているレベルの商品では、その追加分の費用を支払って買ってもらえるレベルにない場合が多いです。
★イメージ
1本100円で流通しているキュウリを産直で売る場合、普通のキュウリに600円の送料払って買う人はいません。仮に生産者がJAに卸す値段の50円で一般消費者に販売しようとすると、以下の問題が置きます。
生産者側の問題 通販の受発注の作業でパンクする
消費者側の問題 大量に買わないと相場より高くなる。
=毎日キュウリばっかり食べることになる。
ここから導きだれる結論は元々高級品である和牛や高級青果でないと産直は採算が合わないということです。和牛は当然通販でも売られています。また、マンゴーやさくらんぼ、桃であれば通販として市場が成立していました。ただ上述のように、コロナの影響で高級品市場=贈答市場が崩壊しており、農家も畜産家も採算割れが起きているようです。
このまま行くと高級和牛や高級果物という市場が日本で生産されないという状況すら起こりえます。
4,考えていたビジネスモデル
BBQ用の食材提供事業を考えていました。東京の葛西周辺には大小10以上のBBQ場があり、そこに食材をデリバリーする事業であれば大量に肉の消費は見込めると考えました。
そこで市場調査を行うため、葛西臨海水族館周辺のBBQ場に行きました。が、コロナの影響か全くBBQをしているグループがありませんでした。
大量に消費する場に食材を提供するという場にアプローチするという選択肢は、そもそもなかったわけです。現在、準備しているのは高級フルーツの食べ放題サービスです。
販売先の決まらない高級フルーツをまとめて、都内で食べ放題イベントを計画しています。
が、コロナの第二波の懸念から、プロジェクトを中々進めにくい状況にあります。
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