葛尾劇「宝宝宝」 制作ノート vol.3
昨年6月から動き出した葛尾劇『宝宝宝(ホーホーホー)』。演劇作家/演出家の篠田千明(しのだ・ちはる)さん、およびふたば未来学園高校演劇部の皆さんを迎え、葛尾村のリサーチから一本の演劇作品を作り上げるというプロジェクトです。
いよいよ上演日時が確定し、稽古も大詰めとなってきました。
これまでの経緯はぜひこちらの記事を御覧ください。
1月13日(木)、この日はふたば未来学園高校の小さなミーティングルームで机を囲んでの稽古でした。葛力創造舎のウェブサイトにアップされている膨大な数のインタビュー記事から、演じ手それぞれが気になる人物やトピックをチョイス。どこが気になったのか、なぜ気になったのかをゆっくりと共有していく時間です。
翌14日(金)は、校内の多目的ホール「みらいシアター」での稽古。昨日選んだインタビュー記事を元に、「その人になって語ってみる」という課題が与えられました。生徒たちは少し戸惑いながらも、篠田さんの声に耳を傾け、少しずつパフォーマンスのイメージをすり合わせていきます。
「本当にその人になりきって、自分のこととして話してみて。記事の文章そのままじゃなくていいから」
「実際話すならもうちょっとゆっくりかも」
「話し終わったら、なんでこの記事を選んだのか、自分の言葉で話してほしいのね」
「単に報告するだけじゃなくて推してほしい。昨日いろいろ話してくれた時はもっともっと推してた感じがあったよ」
一人一人がそのオファーに応えていきます。ある生徒のパフォーマンスの最中、床に座って見つめていた篠田さんが、突然声を上げて突っ伏してしまうという場面がありました。
「うー、これはやばい。すごい威力。・・・あ、すみません、すごくいいです。すごくいい」
そしてその場にいた全員を見回して、自分自身にも問いかけるように、「なんだろう、演劇ってすごいですね」と言いました。
後半は、「宝財踊り(ほうさいおどり)」のキャラクターのまま、いくつかの設定とゴールを決め、それを即興で演じてみるという稽古でした。進んでは立ち止まり、脱線しては戻りながら、ゆっくりとシーンのヒントを探していきます。やる側も見る側も一体となり、篠田さんも十分な手応えを感じているようでした。
「いい、いい。謎の設定もどんどん付け加えてください」
「うん、面白い。これ衣装着てやったらかなり面白いよ」
最後に衣装の打ち合わせを行い、この日はここまで。
私たちの集団創作はまだまだ途上です。
(つづく)