意思決定の裏側
最近、パーソンリンクは新卒採用主体の若手チームから、少数精鋭の実力者集団へと変わってきました。
メンバー一人一人がプロジェクトの中で大きな権限を持っていたり、自分で会社を立ち上げて代表をしたりして各メンバーが意思決定をする機会も増えています。
なので今日は意思決定について僕が思っていることを書いていきます。
意思決定とは「削る」こと
一般的に「意思決定」と聞くと、偉い立場の人が持つ優遇された権限のようなイメージを持つ人が多いかもしれません。
特に「人の下に就きたくない」で起業している人は「意思決定」がキラキラしているように見えているんじゃないかなって思います。
しかし、僕が感じている意思決定とは地味で残酷なことを決めなければならない、結構大変な仕事です。
だからこそ、この意思決定を率先して行える人は市場価値が高いのです。
意思決定とは「削る」ことに大きな価値があります。
日常的に意思決定をしている人ならわかると思いますが、実際の意思決定は何かを「する」よりも、何かを「削る」や「やらない」や「辞める」といった要素が圧倒的に大きいです。
例えば、「中途で人材採用をする」という意思決定の裏側には「人材採用予算を確保する」や「採用活動時間を捻出する」といった要素が裏にあります
「人材採用予算を確保する」ということは、会社の利益を削るだったり、自分の給与を削るだったり、借金をいっぱいするだったり、販管費を抑えるだったりと「削る」要素が大きく関わってきます。
実際、意思決定者が最も悩み、考え、時間をかけているのは「削る」方です。
逆に、「する」方の判断は意外と簡単で、というか意思決定とは言えないです。
つまり、意思決定の本質は、何を削り、何をやらないかを決めることにあるのです。
「する」だけでは成長しない
僕は特定の政党や政治家を応援しているわけではありませんが、スピーチを聞いていると、「子育て支援します」「介護充実させます」などの「する」話ばかりを語る人がいます。
このようなスピーチをする人を僕はあまり信用していません。
それよりも(前向きに)「削る」側の話をする人にこそ信頼を置きます。
削るとか、やらない、辞めるといった決断をその場で語っていないだけならまだしも、本当にその考えがなさそうであれば、なおさら支持できません。
ビジネスにおいても何かを「する」だけの意思決定で成果を上げてきた人は、確かにキャパシティが大きいため、ある程度の成功を収めることができますが、その先が難しいです。
「する」だけでは、持続的な成長は難しいというのが、僕の経験から言えることです。
パーソンリンクでの意思決定
パーソンリンクの経営で特に大きい意思決定だったと感じるのが、新規営業活動にあまり力を入れず、社内の技術力向上と既存クライアントへの貢献に注力してきたことです。
これは、僕がエンジニア社長ということと限られたリソースしかない企業で、どちらも中途半端にするより、新規営業を「削る」ことで既存クライアントとの信頼関係を強化し、安定した収益基盤を築くための決断でした。
その結果、大口顧客との関係が深まり、平均で2〜3年の発注が続いています。
なのでうちは設立して13年になりますが、13年間での取引社数が異常に少ないです。
パーソンリンクでは他にも多くの「削る」意思決定を行ってきました。
例えば、みんなでプライベートの時間を削り、会社に住み込みながら一日中開発に集中したり、社員数が5人しかいないのに新卒を5人採用したり、開発期間中の赤字を覚悟しながら自社サービス開発に取り組んだりしました。
これらの「削る」はお金が絡んでいることが多いので僕は常にそろばんを弾きながら「○ 人ならギリギリいける」「○ヶ月ならギリギリいける」ということを考えています。
パーソンリンクの成長は、このような「削る」意思決定によって支えられています。
「削る」ことへのリスペクト
意思決定には、何かを「する」ことと何かを「削る」ことが表裏一体となっています。
「削る」ことは地味でつい目を背けたくなるものですが、とても重要なことなので僕としては、表側よりもこうした裏側にこそリスペクトが向けられるべきだと思います。
ぜひ、華やかな「する」側だけでなく、その裏で行われている「削る」努力にも注目してほしいです。
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