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Katsurao AIR アーティストインタビュー vol.6 橋本次郎さん(後編)

アーティストが葛尾村に滞在してリサーチや制作を行うアーティスト・イン・レジデンス・プログラム「Katsurao AIR(カツラオエアー)」。2024年6~7月の2か月間、3名のアーティストが葛尾村で暮らし、それぞれの視点から制作に取り組んでいます。7月25日(木)から28日(日)の4日間は、葛尾村内にて、制作過程を公開するオープンスタジオ形式での活動報告会を実施いたします。

前回に引き続き、滞在アーティスト 橋本次郎さんのインタビューをお届けします。(聞き手:Katsurao Collective 阪本健吾)

前編はこちら


2024年6月16日(日)に開催された「あぜりあ市」では、
来場者に「みなさんのかつらおの音をおしえてください」と問いかけた

——音楽を学びはじめて最初の授業で野外録音というスタイルに出会った橋本さんですが、その後はどういった活動をされてきたのでしょうか?

学業と並行して、ライブハウスやクラブでパフォーマンスをしたり、ファッションショーの音楽を制作したり、学校の外での活動も行っていました。卒業してからは、神戸の神社で雅楽を教わったり、ある指揮者の先生にお誘いいただいて合唱を学んだりする期間もありましたね。

——すごくジャンルレスで、かなり手広いですね……!

ひとつひとつが、深い世界でした。そういった方々に教えていただいたことは、今に活かされていると思います。

——今回の葛尾村での滞在もそうですが、地方に行って制作するようになったきっかけはありますか?

神戸市に、神戸ファッション美術館というところがありまして、そこのミュージアムショップに自分の作品のCDを置かせていただけるようになった時期がありました。その際にご縁をいただいて、ミュージアムのギャラリーやホールを使って、企画を立てるようになったんです。他の音楽家やダンサー、写真家の方などと一緒に、様々な企画をつくっていきました。

舞台のあるところでライブパフォーマンスをしていた時期もあったのですが、自分の作風として、もっと、空間でゆらゆら鳴っているとか、自然に聴こえてくるという形のほうが合っているなと思っていたんです。現代アートは元々好きでしたし、こちらのほうが自分のスタイルとしてしっくりくるなと。

そうしているうちに、関西から離れた場所でも、例えば展覧会の音楽などをつくるようになって。知らない土地に行って、そこでいろんな音を見つけて、作品をつくることに面白さを見出していきました。

——「ミュージシャン」というより「サウンドアーティスト」であるというのは、そういうことなんですね……!おもしろいです。
さて、今回葛尾村に滞在しようと思ってくださったのは、どんなところが心のフックに引っ掛かったのでしょうか?

滞在制作先を探していたときに、ウェブに掲載されていた一枚の写真をみて、直感で決めました。

日本全国のアーティスト・イン・レジデンス総合サイト AIR_J に掲載している葛尾村の写真

——これがきっかけだったとは……!

私の作品制作は、その土地の〈音風景〉、サウンドスケープを作品にするということが軸にあるので、その場所の景色に惹かれるかどうかはとても大きな要素なんです。

——そう言っていただけて嬉しいです。葛尾村ではどういった滞在制作をされているのでしょうか?

現在、葛尾村に滞在して、葛尾村の音で作品をつくっています。この土地で生まれた作品が、この土地で生き続けるような、そんな作品になることを望んでいます。

地域の方の、自分たちの文化や環境のことを語る熱量というか、熱い思いや地域への愛に対峙すると、心が動かされますね。

——作品にはそういった熱や愛が直接わかりやすく乗っかる、というわけではないと思いますが、それでもどこかで影響されてきますよね。

そうですね。例えばある伝統芸能の笛の音をモチーフにさせていただくときにも、その笛を吹いてくださった方だったり、その方がしてくださったお話のことを考えてつくりますからね。

今回は、映像作品として期間が終わっても楽しめるものも制作する予定ですが、活動報告会では、その場でしかできない体験をしていただけるように準備をしています。

同時期に滞在しているアーティスト 町田紗記さん、鮫島弓起雄さんと一緒に
地域の方にお話を伺う橋本さん(左手前)


アーティストインレジデンスプログラム「Katsurao AIR」

橋本次郎 Web

橋本次郎 Instagram

本インタビューの完全版を、各種リスニングサービス および note音声投稿にて配信中です。

Katsurao AIR 2024 OPEN STUDIO vol.1 活動報告会

会場:葛尾村復興交流館あぜりあ(福島県双葉郡葛尾村落合落合20-1)、
   葛尾村立葛尾中学校休校中校舎(葛尾村落合菅ノ又14-2)
日程:2024年7月25日(木)-28日(日)10:00-16:00
アーティスト:鮫島弓起雄 橋本次郎 町田紗記 増田拓史 永井文仁

特別企画

鮫島弓起雄「野行宝財踊りコレクション」
7月27日(土)11:30~ @葛尾村復興交流館あぜりあ 屋外ステージ
大正時代から続く伝統芸能「野行の宝財踊り」の魅力的な衣装を、ファッションショーという形で現代に蘇らせます。

永井文仁「ひかりをすくう」
7月27日(土)10:00-16:00 @葛尾村復興交流館あぜりあ
7月28日(日)11:30-16:00 @カフェ&ギャラリー ilucoto(イルコト)Cafeしずく 福島県双葉郡葛尾村野川中島256-1

増田拓史 永井文仁 ロングタームアーティストゲリラトーク「1# introduction」日時・場所未定

同時開催ワークショップ〈かつらお企画室〉
「地元の羊の毛を洗おう!つむごう!つくろう!2024」
7月27日(土) 13:30-16:30 @葛尾村復興交流館あぜりあ
葛尾村の特産羊「メルティーシープ」の毛を洗い、つむいで糸にするワークショップです。毛糸って、どうやってできているのでしょうか?お子様も大歓迎です。汚れてもよい服装でお越しください。
協力:株式会社牛屋
講師:吉田麻子

全てのプログラムについて、参加無料・申込不要です。葛尾村の爽やかな夏とともにお楽しみください!

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