【かつらのお話:立役鬢簑付け】
前回は鬢裏に簑穴を開けていきました。
こんにちは。京都時代劇かつらです。
今回はその簑穴に鬢簑を付けていきます。
鬢簑は裏簑とも呼ばれ、太めの白糸に人毛を互い違いに編み込んであります。
人毛を扱う業者さんにお頼みすると、1m簑として納品されます。簑の幅が約1mあるためです。今回の鬢簑は立役ですので、毛足は約26吋(約66cm)ほどです。
立役の鬢裏の長さに合わせ鬢簑を編み込んで、木綿針と絹糸を使い縫い付けていきます。
この時の力加減が重要で、弛すぎると結髪の力に耐えられませんし、強すぎると地金に引っ付き過ぎて綺麗に結い上がりません。
かつらは、簑付け糸の適度な張りと締め具合で綺麗な結い上がりになります。
結い上がった後には決して目にする部分ではありません。
しかし、分業でひとつの物を作り上げる仕事では見えない下段取りと基礎、基本造りが次に仕事をする職人さんの仕事のしやすさに繋がります。
見えない所も手を抜かずほんのちょっとのひと手間を。
YouTubeで人気の『大工の正やん』を
「ああ、一緒だなあ」と思っていつも見ています。
さて、鬢簑を綺麗に付け終わりました。徐々に完成に近づいています。次回はコテ当て櫛入れをしていきます。
以上、京都時代劇かつらでした。
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