【かつらのお話:人毛】
かつらに無くてはならない材料。なんといってもそれは【人毛】です。
こんにちは。京都時代劇かつらです。
今までnoteでは、人毛人毛と書いてきました。
しかしかつらに使われている毛は、本当に人間の毛髪なのか。疑問に思われている方も多いとおもいます。
まさか人間の髪の毛なんて使ってないでしょ。と思われている方もいるでしょう。
実は本当に人間の毛髪です。
現代ではほぼ100%輸入品です。
鬘には人毛の他に、ヤク牛の毛、熊の毛、絹糸も使われますが、獣毛や絹糸は特殊な鬘や補助的、部分的に使うことが多く、いわゆる髷物、日本髪には【人毛】を使用します。
時代劇で見る、あの髪型、あの髷、あの大好きな俳優さんが使っているのも全て人毛のかつらです。
化繊に代表される化学人毛は熱には弱い為、現代的な髪形やコスプレウィッグには使用できても結い上げて形作る日本髪には使用できません。
ですので耐熱に優れた【人毛】を使用しています。
ええ……でも人毛でしょ……?
人毛だと気持ち悪い……
呪われそう……
と思われる人もいらっしゃると思いますが、
【人毛】は古来、材料として様々に使用されてきました。
地毛で髪を結うときに使う髢(足し毛)、人形の頭髪、漆塗りなどに使う漆刷毛 等々
また、京都東本願寺には人毛を混ぜて綯った毛綱もあります。
門徒が各々の頭髪を奉納し使われているので信仰の現れの側面もありますが、大きな御影堂を支える柱や梁を曳く綱に、人毛のもつ耐久性やしなやかさを採り入れ、丈夫な曳き綱にするための材料として使われたのです。
本願寺さんに行くと、今でも毛綱を拝見できます。
現代でも、エクステ、ヘアピース、ウィッグなど人毛使用の物の方がセットもしやすく耐久性があり、なにより高級品です。
ヘアドネーションでは沢山の人から善意の人毛が提供されていますね。
【人毛】これは素晴らしい天然の材料なのです。
怖い、気持ち悪い等々
どうか呪物なんて思わないで下さいね。
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