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【かつらのお話:チュール(網)張り】
前回、刳型(くりがた)を落とし、根取りの地金を取り付けました。
こんにちは。京都時代劇かつらです。
今回は【チュール(網)張り】のお話です。
古典物は別にして、かつらは洋の東西を問わず、チュールに毛を植え付けて作られています。
時代劇のかつらも御多分に洩れず、生え際はチュールに人毛を植え付けて作っています。
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チュールは、レース生地の一種で網目状に織り上げてあります。
柔らかいソフトチュールと張りのあるハードチュールとあります。
一時流行った、チュールのスカートがありましたが、まさしくそれです。
昔は絹糸を編み上げて作られていましたが、今は化学繊維のものが主流となっています。
網目は、六角形の亀甲紋様が特徴で、その事から時代劇かつらの間では【亀甲】とも呼ばれます。
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丁稚の頃は良く親方に
「亀甲染めて」「亀甲張って」
「亀甲さして」「亀甲洗って」
などとよく言われました。
亀甲張り、つまりチュールを枠に張っていくことですが、木型に押しピンで張っていきます。
チュールの亀甲紋様、その一辺に角度を揃えて人毛を植えます。
左右対象に毛量、角度、暈しを揃える為には、網の目をまっすぐに張っていかなくてはなりません。
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亀甲の目を見つつ、均等に力をいれ、加減も調節しながら木枠に張っていきます。
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さてさてキレイに網張りが完成しました。
次はどんなかつらのお話でしょうか。
次回もどうぞお楽しみに。
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