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蟲神器における「テンポ」


【はじめに】

この記事ではカードゲームの「テンポ」の概要をお話ししながら、蟲神器における「テンポ」についても掘り下げていこうと考えております。
(前提知識として「アドバンテージ」という概念を扱いますので、ご存じない方は下記の内容だけお目通し下さい)

・ハンドアドバンテージ:手札の量の優位性
・ボードアドバンテージ:場のカードの質・量の優位性
・マナアドバンテージ:使えるコストの量の優位性


【テンポ】

テンポは「時間」を表す言葉です。
カードゲームにおいては「どれだけゲームのペースを掌握しているか」を指し、「ボードアドバンテージ」と「マナアドバンテージ」などを複合的に評価したような概念です。


盤面の掌握

さて、テンポを暫定「ゲームペースの掌握」と表現しました。
テンポを取れている状態は、ほぼイコール「盤面の掌握」を指します。

具体的には
「自分の場のカードは多く、相手の場のカードは少ない」状態です。
この状態では、自分の選択肢は増え、相手の選択肢は減ります。

蟲神器で例を挙げます。


相手の場にはカブトムシとナナフシモドキ。
此方は「サバクトビバッタ」を出してカブトムシの弱点を突き倒します。

返しのターン、相手は手札から新たに「コーカサス」を場に出し、前ターン生き残ったナナフシと2体の攻撃でサバクトビバッタを撃破。


いかがでしょうか。

こちらは相手のカブトムシの弱点を突いてなんとか倒しましたが……
サバクトビバッタは弱点を突かれなかったにも関わらず、2体の虫に攻撃されて、盤面をクリアされてしまいました。

これでこちらは次ターン、再び盤面ゼロ、手札から使うカードのみで2体の虫に対処しなければなりません。
選択肢が狭い状態が続いていますね。


【テンポアドバンテージ】

このように、場に出ているカードが多ければ多いほど、相手の場のカードを倒すのは簡単になります。
逆に場に何もカードが出ていなければ、たいていの場合、1体倒すので精一杯になってしまいます。

どのゲームでも、場にたくさんカードが出ていると「なんとなく有利」に見えませんか?
実際有利なんです。

カードが場に沢山あること。
これがテンポの優位性、即ち「テンポアドバンテージ」の考え方の基盤となります。


【テンポを取るために】

さて、テンポアドバンテージの基礎は上記の通り盤面となりますが
実際にテンポを取る(テンポアドバンテージで優位に立つ)ためにはどういった事をするべきでしょうか。

①虫を場に出す(生き残らせる)

これは言うまでもありません。
虫が場に出ていれば、それだけで生き残る可能性が生まれます。
体力が高かったり、生き残りやすくなる効果を持つ虫を使ったり、術で強化して倒されにくくする工夫も必要です。

場に生き残りやすくなる効果を持つ虫たち
虫の生存を補助するカード

②相手の虫を倒す

虫の攻撃、術による効果などで相手の虫を倒します。
①の逆をやるというだけの話ですが、盤面のリソースが少ない状態(劣勢時)に効率よくこれを行うことを「テンポスイング」と言います。
軽くて強力な効果のカードは「テンポスイング」を起こしやすいですが、手札の消費が激しい傾向にあります。
しかし、これができるカードがないと、一度テンポを取られた時の切り返しが難しくなりますので、特に劣勢時に使う事が望ましいです。

テンポスイングできるカード

③エサ差をつける

相手よりも先に使えるエサを多くすることで、大きいコストの虫を場に出せますし、使えるカードの枚数も多くなります。
①と②の両方が間接的に達成できるため、エサ加速も大事なテンポアドバンテージです。
逆も然りということで、STBは最強。

エサ差をつけられるカード

④とびだす

ズルです。テンポの世界でも彼らは最強です。
ノーコストで出てくるだけでも強力なのに、第一弾の時点で4~5コストの「とびだす」が各色に配られているため、そのターンに出てきちゃいけないサイズが平然と飛び出してきます。
どうしようもない場合もありますが、とびだしたターンに倒せれば被害は抑えられるので「ゴライアスを倒せる虫はなるべく攻撃順を最後にする」などのケアはしたいですね。
こうしたケアができるのもテンポを取っている側の特権です。

ズルすぎる

結局は虫を出して殴るのが強い

いくつか例を挙げましたが、①と②を簡単に両方満たす手があります。
それは虫カードを出して攻撃し、虫を倒すことです。
蟲神器には召喚酔いがありませんからね。

召喚酔い:クリーチャー(場に出て戦う生き物)を場に出したターンは攻撃できないというルール。
蟲神器と近い戦闘スタイル+召喚酔いがある「ハースストーン」は、劣勢盤面を返すのがそれはもう大変なゲームでした。

弱点をついたり、「顎門」で強化したりして相手の大型虫を倒しつつこちらの大型虫を着地できれば、虫を場に出しながらテンポスイングができる、最高のプレイです。
結局は虫を出して殴る、これが一番強いです。

「塵芥虫の爆熱弾」や「退魔の蚊遣火」などで相手の虫を倒したとしても、自分の場に虫が増える訳ではありません
特に「蚊遣火」は3コストと重く、これを使ったターンに他の行動が取りづらい点に注意しなければなりません。
5エサあって「蚊遣火」を使ったためにそれ以外何もできなかったとしたら、テンポ的にはその「蚊遣火」は「5コスト」カードなのです。
余談みたいに書いちゃったけどこの考え方とても大事です。

「玉響」「蜉蝣」といった0~1コストのカードでテンポスイングを起こし、残ったエサで大きめの虫を出すのも効果的ですね。
これらはカード消費が激しい点には注意しましょう。
複数並んだ虫にも対応しやすくなるので、こういったカードを手札に温存できていると安心ですね。


【蟲神器におけるテンポの現在地】

蟲神器での「テンポ」の概念についてお話できるのは現状こんなところです。
長々解説してきましたが「これを意識したら強くなれるか」と問われると「まあまあ効果はある」と思います。

が、現環境の蟲神器は「テンポスイング」が非常に容易なデザインとなっています。ただでさえ虫を場に出して殴るだけでも強いのに、弱点システムまであります。
加えて「玉響」「蜉蝣」「顎門」「リオック」と、勝利に直結する縄張り破壊とテンポスイングを同時に行えるようなカードが山ほど存在します。

そのため盤面の構築そのものが難しい傾向にあり、他TCG・DCGにあるような「テンポアドバンテージ」を序盤から取り続け、「有利盤面を膨れ上がらせて有利のまま勝ちきる」スタイルの「テンポデッキ」と言われるようなデッキはあまり見受けられません。
なので、他タイトルに比べるとテンポという考え方の立ち位置は微妙なところだと言わざるを得ません。

しかし、擬態虫しかり要塞化しかり、場に虫が残ることの強さは間違いないと感じています。
それにテンポアドバンテージは人の心を豊かにします。
相手がこちらの場の虫を倒せる手段がなく、「場に出しても目の前の虫に倒されるだけだから……」と何もせずターンを返して来たとき。
人は至上の喜びを得ることができるのです。

得ません?


【おわりに】

さて、現在の対戦環境では、ワンショットが全盛期を迎えています。
ワンショット、回すぶんには頭使って面白いんですが、やはり何か一方的というか、相手とのやり取りが少ないんですよね……

スターター戦のような純粋な「虫同士の殴り合い」とはちょっと別時空の戦いになってしまう、ので
身内では特化ワンショットはなんとなく、使わないでいます。

11月7日に発売から一年を迎えるため、頃合いを見て環境に跋扈しすぎているカードに「禁止/1枚制限」といった規制、あるいは効果自体のエラッタが入る可能性もないとは言えません。

個人的にはまだ早いかな~という思いもあり
どうせなら新しいカードで、できればインフレを避けながら整えていって欲しい。

ステータスが高いかわりに
「虫を倒しても縄張りを取れない」
「出したターンに攻撃できない」
みたいなデメリットを持った虫が出たら面白いな~
いやちょっとコントロール強くなりすぎるかな~

みたいな事を考えながら第三弾の発売を待っています。

この記事が蟲神器を楽しむ一助となりましたら幸いです
最後まで読んで頂きありがとうございました

多謝&再見!

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