トルコ語の歌詞を読む #1 ーİstikrarlı Hayal Hakikattir / Gaye Su Akyol 編ー
突然ですが最近トルコ語の勉強をしているので、トルコ語の歌詞を読解していこうと思います!一応、皆さんにもトルコ語を勉強してもらおうという意図もありますが、基本は自分が調べたことのメモとして使っていくので書きたいことをとにかく全部書くつもりです。なので分量がバカみたいに多くなりますのでご了承ください。わかりにくかったらごめんなさい……!
僕は東京外国語大学言語モジュールというサイトで文法を勉強しました。なので、文法用語もそれに倣っています。勉強し始めて半年くらいなので、文法はここでしか勉強していません!辞書は土英辞書を持っていますが結局 Wiktionary をメインに使っています。大体はこの辺の知識を基に書いていると思ってください。
第一弾は僕の大好きなトルコのシンガーソングライター Gaye Su Akyol の İstikrarlı Hayal Hakikattir を読解します。歌詞はこちらのサイトで確認できます。英訳もあってありがたいですね。
題名"İstikrarlı Hayal Hakikattir"
発音
この曲の題名をカタカナで書くと「イスティクラール ハヤル ハキーカッティシュ」となります。
トルコ語の発音はほぼローマ字読みでOKです。ただ少しだけローマ字読みと異なる発音をする子音( c とか r とか)だとか、日本語に無い母音があったりします。
ここでは "ı" という母音が出てきています。発音は口を「い」の形にして、舌を奥に引っ込ませて発音します。実は日本語の「う」は英語とかの "u" よりもこの "ı" に近いらしいです。逆に "u" の発音は口を丸くして発音します。
ちなみに "ı" を大文字にすると "I" になります。それと区別するために "i" の大文字は "İ" になっています。
"r" は文中に出てくるときは普通に英語と同じ発音でいいのですが、文末など次に言葉が続かない場合は無声化します。口は "r" の発音の形にしつつ息だけを通して口の奥の方で「シュ」と言う感じです。
アルファベットでは表現されませんが "istikrarlı" の "a" と "hakikattir" の "i" が長母音になっています。トルコ語の固有語では "ğ" や母音の連続で長母音を表すのですが、外来語では長母音が表記に反映されないことがあります。今回は両方ともアラビア語由来の単語みたいですね。
単語の意味
"istikrarlı" は「安定した」という意味の形容詞です。"istikrar" が「安定」という意味の名詞で、その形容詞化です。
"hayal" は「幻想」「夢」という意味の名詞です。
"hakikat" は「真実」「現実」という意味の名詞です。
断定の付属語 "-tir"
ここでは "hakikat" に "-tir" がくっついて "hakikattir" になっています。トルコ語には単語の末尾に接尾辞や付属語と呼ばれる語がくっついて意味を付け加えるという特徴があります。多くの場合はくっついている単語に意味を付加するのですが、中には述語にくっついて文全体に意味を付加するパターンもあったりします。この "-tir" もそのパターンです。
述語に "-tir" をつけると日本語でいう「~である」のような断定の意味になります。というか文末に付けるという使い方も「~である」とほぼ同じですね。
ちなみにこの "-tir" は母音調和をします。ここでは、文法通りならば直前の母音が "a" なので "hakikattır" になるところですが、この単語は例外的に "hakikattir" になります。さらに言うともともとの形は "-dir" で、"-tir" は子音の交替が起きた形です。この母音調和と子音の交替は後でまた説明します。
文の意味
トルコ語の語順は英語よりも日本語に近く、基本は「主語、目的語、述語」の順です。「~は~です」という文では、英語の be 動詞のようなものも必要なく、名詞のあとに名詞を置くだけで文が完成します。
文を直訳すると「安定した幻想は現実である」という意味になります。歌詞の内容を加味して意訳すると「終わらない幻想は現実である」という感じですかね。「夢」という意味の単語は他にも出てきますが、胡蝶の夢的な意味で「終わらない夢ならばそれは現実である」と言ってもいいかもしれません。
次回から歌詞の読解を進めます!