#34 リオで強盗被害!!

【前回までのあらすじ:2013年。35歳ヒモ男がバツ2となりホームレスに。行くあてもなく先輩経営者a.k.aアニキに泣きつくと世界一周の旅に放り出されることに。5ヶ国目ブラジル初日の話を2回に分けて】

(最後にキリスト系宗教のことをネタにしております。敏感な方は気分を害すると思うのでお読みにならないで下さい)

僕は常々思っていた。

きっと本当の怖いヤツというのは全身に刺青を入れ、格闘技をかじり筋肉モリモリ。言葉遣いは荒く、目つきも鋭い、更には昨晩激マブの彼女にふられてテキーラを三杯立て続けに飲んだヤツではない。

本当に怖くてヤバヤバのバキバキな奴、、、

それは、見た目は普通だったり、またはブサイクより。ファッションセンスもなく、運動は当然苦手だし口はモゴモゴ。目つきは悪いどころか、どこ見ているか分からない。当然、彼女はおらず、友達もいない、失うものなど何も無い、世間様なんて関係ねー!

そんなヤケクソなガイ。だと思っていた。

しかし、どうやら世界は違うらしい。危ない奴はふつーにそこらへんを歩いていて善良な市民の中に混ざっている。基本的に彼らは”貧富の差”が産み落とした魔物だ。

そういう奴をなだめる方法は一つ。

彼らがブチ切れる前に欲しがっているものを与える。ただそれだけ。

それが嫌なら神出鬼没な彼らと出くわさないように祈るのみ。

が、この夜、僕の祈りは届かなかったのだ。


クラブの帰り夜中2時半。バスから降りた僕ら4人(コロンビア女性3人と僕)。

コロンビア女性はスペイン語で楽しそうに会話しながら横一列になり深夜の道を闊歩していた。

僕はその約5m後方をタラタラ歩く。

大通りから角を右に入り、少し暗い道を真っ直ぐ200mぐらい行くとそこは僕らの泊まっている宿だ。

「シャワーは明日でいいや。歯を磨いて寝よう」

なんて考えながら歩いていた、その瞬間!

Hey!

という声と共に

いきなり景色が90度変わり、右腕と背中に痛みを感じた!

パッと右を見る。

ギョロッとした目を持つ黒人系の男がそこにはいた。
どうやら、僕の腕を鷲掴みにしフェンスに叩きつけたようだ。

彼は僕の前に回りこむとなんか言っている。が、

ポルトガル語が分からないので100%何を言ってるか理解は出来ない。が、

120%検討はついた。

お金ですね!?

この時間にこんな乱暴に道を訪ねてくる奴は、世界広しといえども皆無だ。

僕はとっさに男の顔や身体つきを確認した。

僕よりも断然若く、体格は僕のほうが大きく、彼は特に筋肉隆々でもない。

僕は日本にいるとき何度もオヤジ狩りにあうシュミレーションをしてきたので分かっていた。

もし僕のように身長185cm 体重85キロ体格のヤツを襲う奴がいたとしたら、それは

ガチで強い奴

武器を持っている奴

のどっちかだ。

何故ならスリや置き引きと違って、強盗やカツアゲは真正面から対面してしまうため、もし相手が自分より強かったり武器を持っていたら自分が酷くヤラれてしまうリクスを伴うからだ。

こいつはどっちだ?

なんて、自分が当事者になってみたらテンパッて何も考えられなかった(笑)

そんな風に戸惑っていると彼は自らのジーンズのお腹辺りに手を入れ、洋服の中から銃みたいのを突きつけてきた!!

その仕草やめて!!!

こえぇぇぇし!!!

うん、それすっごく怖いよ!!

これ読んでる人は、勝雄バカだな〜銃なんか持ってないでしょ。

と思うだろう。いや僕もそうは思いたい。けど、実際見えない分、怖い。
現時点でそれが、銃か銃じゃないかはコイツにしか分からない!

もしかしたらチンコを出すのかもしれない。変態が多いって聞いたからね。

でも、そのつきつけてる銃系のもっこり感を指さしながら、笑顔で

「またまたぁ〜冗談キツイよぉ〜」

なんて言えない。

かろうじて発したコトバが

Oh、Oh、Oh。。

だからね!

の、その瞬間!男は

マネー!!

と低く怒鳴り、僕の右ポケットに手をツッコんできた。
幸い右ポケットにはクラブでお酒を買うために入れていた、2、30レアル(1500円)くらししか入っていなかったと思う。
これくらいならまだ我慢できる。

問題は左ポケット。ここには今日下ろしたばかりの3万円分のレアルが入った財布とiPhoneがある

ちくしょう。全部ヤラれた嫌だな。。。

それにしても旅に出て初被害がいきなりカツアゲか。

いや、これカツアゲじゃなくて強盗だな。国が違えば、おもちゃの銃だとしても警察が動くレベルでないか?と思いつつも、

よしっ、これでネタ1個ゲット!と思う自分!バカ!真剣に対応しろ!

仕方ねぇ。男として、ここはやるしかねぇ。

大和魂ナメんじゃねえぞ!幸いこいつの左手は僕の右ポケットに入ってる。
顔面がガラ空きだぞ、ノータリン!僕は両手の拳を強く握りしめた。

その時である!

その男は、更に

マネー!マネー!

と洋服で隠した何かをグイグイ突き出してきた!

今だ!!!

僕は強く握った左の拳をストレート1発!

で自分の左ポケットへ!

怖いよね!やっぱり!無理無理。戦う選択肢、脳裏に1mmも無かったわ。

財布を握りしめて出そうとしたその瞬間!!

「キャーー!!カツオ!!ノーノーノー!!」

前に歩いていた女性三人組が僕の異変に気がついて叫んだ!!

女神様!!!

男は、女性達の悲鳴に怯みあたりをキョロキョロしだした、その瞬間!

バモス、バモス!!(行こう行こう!)

僕は女の子たちに向かいながら大声で言い、ダッシュでその男から
逃げた。。。

ごめん。ほんとダサくて!!

もう書いてて嫌になる!!でもこれ本当に実話だからね。仕方なし!

後ろを振り返りながら女性の後に続き逃げる僕。どうやら追ってこない。

僕らは宿に無事滑り込んだ。誰も起きていなかった。

女子たちは一つの思い出として笑いながら部屋へ戻ったが、僕は、マジで思い出すと若干震えた。いやぁ、撃たれなくて良かった。。あれが銃か銃じゃないかは問題じゃない。

僕も随分と気をゆるめ過ぎていた。いくらだって対策方法はあった。ケチらないで僕が払っててでも皆でタクシーで帰れば良かった。反省だ。
(皆さん、海外ではどんなに安全だと思っても夜道は必ずタクシーを使って下さい!)

翌日撮影した事件現場(笑)

自分の部屋に戻る途中、さっき一緒にコンパした(2個前の日記だけどw)
プリンス君が階段で携帯をいじくっていた。

僕は自分のことは言わず

「Hey man. Sorry for the dinner」

まずコンパの無礼を謝罪して聞いた。

「彼女とどーだった?」

こんなコトがあっても無事だと、さっきの事件よりこっちが気になった。

プリンス
「んーーまぁまぁ。すごいナイスな子だよ。彼女も僕の事好きだって。」


「まじかよ!良かったじゃん!こんな遅くまでいたって事はエロいことしてきたの?」

世界の誰に対しても別け隔てなく下品な質問をする僕。

プリンス
「いやぁぁーー、彼女、ジェホバでさ。聖書プレゼントされて、勧誘をうけてたよ。」
※ジェホバとは宗教。日本で言うエホバの証人で、結婚するまでセッ●スはお預け確定のやつらしい。


「What the Fu●k!!!!」(きびしーー!!)

プリンス君
「Yeah That’s sooo F●ck!!!」(ね!まじでクソだったわ!!)

僕らは目を合わせると深夜に大爆笑した。

ほんと面白い奴と知り合えた。この笑いでさっきの強盗の恐怖は吹き飛んだ。


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