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#36 化学反応を起こすボゴタ(コロンビア)

【前回までのあらすじ:2013年。35歳ヒモ男がバツ2となりホームレスに。行くあてもなく先輩経営者a.k.aアニキに泣きつくと世界一周の旅に放り出されることに。6ヶ国目コロンビアの話】

 裏街はプッシャーで溢れかえり目を2秒合わせば、それが取引開始の合図。純度の高いコカインを驚く安さでオファーしてくる。

 僕は拙いスペイン語で3gほど買い上げ、宿のトイレに身体を滑りこませると洗面台をキレイにテッシュで拭いて水気を取ってから先ほど買ったパケから粉をこぼした。

 財布から一番薄いカードを取り出し、僕はあたかも美味しい料理でも作るように鼻歌まじりに粉を何度も切っては、なめした。
 上下に延びる5cmほどの細いラインを引いてから、斜め上に向かい少し太く形を整えていく。
 僕は財布にカードをしまうと今度は一番キレイな100ドル札を取り出しクルクルと巻いた。

 2013年4月8日 ずっと楽しみにしていた待望のコロンビアに到着。いよいよトリップだ。
 
 
100ドル札を利用する意味は二つ有る。1つ目は一番使用されていない紙幣なのでキレイである、ということ。

 2つ目は気分的な問題だ。1ドル札なんてチープなお札で上モノを吸うなんて、紙コップで高級ワインを飲むようなものだ。
 
  
僕は100ドル札を右の鼻にセットし腰をかがめる。狙い澄ましたその目はもはや獲物を狙う動物。粉の一番下にお札の先を合わせると僕は一気に白い粉を吸い込む!

鼻孔についた粉末はいずれ喉まで届き、唾液に溶けた粉が舌まで降りてくることで、かすかな苦さを味わうことが出来た。

僕は天井を仰ぎながら思う。


これがコロンビアの味か。


顔を正面に向けるとそこには鏡に映る瞳孔の開いたもう一人の自分がいた。

強くなっている自分。何事にも怖れず、五感が研ぎ澄まされ、すべての会話や音楽が僕の耳に入ってくる。

今、街に繰り出したらどんな気持ちになるんだろ?どんな化学反応が待っているのだろうか?

一度思考を廻らすとそのスピードは加速し、自分をコントロール出来なくなってきた。

僕は、たまらずジャケットを羽織り危険とジャンキーが混在するボゴタの街に飛び出した。



と、ここまでが僕が想像していた、カツオ in コロンビアでした。



完全に映画の見過ぎであった。

パルプ・フィクション、カリートの道、ブロウ、トレインスポッティング。ここらへんが大好きだったのだ。

が、無論、僕はドラッグもやらないし強盗が怖くて、深夜は宿でシコシコやるのみだった。

というか、そこらへんのトリップを求めて軽い気持ちでボゴタに行く人に伝えたいのだが、そもそもプッシャーは見当たらないのがコロンビア!

街の様子

街はプッシャーどころか大きなガンをぶら下げた警官と武隊、さらには警備員が全ての角にいるのでは?というぐらい大勢いて治安は良く、地図なんか広げてると

「どこ行きたいの?」

ガンガン話しかけられ、一度道なんかを聞いてしまえば、これでもか!というぐらい親切に教えられ、

カメラをぶら下げていると

「危ないからカバンにしまいな!」

これまた何度も注意され、バスに乗れば

「どこから来たの?コロンビアは素晴らしい国なんだ。◯◯や□□という街に旅行へ是非行ってほしい。あそこは本当にキレイなんだ」

などと無料観光案内。

平和なのだ


想像と違うよ!人がホント素晴らしいよ、コロンビア!!
乾燥した草や白い粉がそこらじゅうで売りつけられるのかと思ってたYO!

++++

ここで旅は数日前に戻る。

僕は、サンティアゴの宿で日本人の女の子、麻美と友達になっていた(今の妻)。

彼女がちょうど僕と同時期にコロンビアに行くと聞いていたのでFacebookで連絡を取りあると、僕と入国日が重なるではないか!(もちろん僕がストーカーの如く無理して合わせていた)

「おお、じゃあ、僕もボゴタ行くから、現地で会えたら良いねー!」

なんてメッセージを交換しながらも、お互いネット環境は悪い南米だし僕は僕でブラジルの夜遊びで忙しかったし、さらに彼女はiPhoneを盗難に遭い、とにかく微妙な連絡のズレがありコロンビア到着当日を迎えていた。

旅に欠航、遅延、トラブルは当たり前。

まぁ会えなかったらそれはそれで別に仕方なし。

お互い旅を楽しむのみ。

それが旅中の待ち合わせ基本ルール。

会えるかどうかはご縁次第。


そんな心構えと淡い期待を胸にボゴタの空港について入国審査を出た所で偶然、麻美に会った。

コロンビアに入国して5分経ってなかったし、僕らはまだバゲージクレームにすらついておらず、ほぼ手ぶら。バックパックも背負ってなかった。

空港は旅人の交差点であり、

世界を近所に感じる瞬間であり、

遭いたい人とは縁があれば繋がれると確信した。

僕は麻美との出会いに嬉しさを爆発させながら、タクシーに乗り込み調べていたゲストハウスへ向かった。

(Hotel SUE 空港からタクシーで1500円くらい1泊ドミトリー約1200円)


すると、ここの宿で予想外のコトがあった。

なんとBAR併設!!

まずい!ということは、

毎晩外国人が飲みまくりウルサイ筈だ!

この宿はゆっくり出来ない事確定!


僕はブラジルで殆ど寝ていない状態。

そして麻美もここまでの長時間バスと飛行機の計2日間の移動で殆ど寝ていないとのことだった。

疲れはお互いMAX。旅の話や好きな男性のタイプをじっくり聞き自分の可能性を探りたかったが、それは難しそうだ。

こうなったらビールでも軽く飲んで爆睡するに限る!ということで、Asamiを誘って夕方6時にBARに入った。

なかなか居心地がいいBARで音楽も軽快だ。

だ、だめだ、、ここでカッコよく渋く麻美ちゃんと語りるんだと思いつつもブラジル仕込みのステップが、、、勝手に僕の足を揺らす。。。

もう身体が弾けたがっている!!

ついに調子にノッちゃう!!

そもそも洋服の色使いが訳わからないし酔いすぎ。


そして麻美ちゃんを見ると



他の客と踊っていた。めっちゃノリが良いのであった。

「えー、じゃあ、私も一曲リクエストしよーっと」

と言いつつバーテンに話しかけていた。

バーの真ん中に立つ彼女を固唾をのんで見ていると

かかった曲は、まさかのナイトオブファイヤー!

パラパラだっ!!(笑)

僕も超楽しくなってパラパラを一緒に踊る!(もちろん全く出来ないが)

他のお客さんは何も言わないのか?

ふと辺りを見渡すとBARにいたのは僕ら2人だけだったーーー。

バーテンが笑いながら僕らを見つめショットを奢ってくれた。最後は皆で飲みまくりでサルサ踊りまくり!

陽気な旅人と音楽を混ぜ合わせて脳内にぶち込む。

そう、これこそが純度の高い麻薬。一度手を出したら止められない。

いつもそこには最高の化学反応があるんだ。

僕の楽しいトリップ人生の幕開けだった。



note更新しています!
目標は週2,3回、、、、テーマは
【旅のこと https://note.com/katsuo81/m/mfbd38c989979
【読書ノート https://note.com/katsuo81/m/m7f3bc144e287
などなど。

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