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新しいプロダクトをゼロからデザインする ─ Poolのブランド構築

弊社カンムは投資と決済を掛け合わせた新プロダクト「Pool」をリリースする予定です。

「心理的unbankedをソフトウェアで解決する」というミッションのもと、投資に対する面倒・難しい・怖い・不安といった心理的ハードルを下げたいと考えています。Poolは投資が今よりも資産形成に活用しやすくなることを目指したサービスです。

この記事ではPoolのデザイン過程を紹介しつつ、カンムの新たなチャレンジについてデザイナーの立場からお話します。(開発中のため、機能に関する具体的な情報についてまだ明かせない部分もありますが 🙏🏻 )

どんなプロダクトか

Poolは手元の資産形成に活用できるクレジットカードです。投資で一定のリターンが期待でき、リスクがわかりやすく、投資中の資産をクレジットカード決済に充てられる機能が備わっています。投資にハードルを感じている人でも安心して利用できるプロダクトを目指しています。

開発中の機能
💳  投資中の資産を決済に充てることができるクレジットカード
💰  クレジットカードで決済した金額の1%をキャッシュバック
📱  スマホアプリから投資申込みや利用明細の確認、カード利用上限額の設定などができる
📈  一定のリターンが期待できる投資機能

どんな課題を解決するのか

金融庁の資料では、日本は欧米諸国と比べて預貯金の割合が高く、効果的な資産形成がされていないと指摘されていました。アメリカやイギリスでは資産運用によって家計の金融資産が20年で2倍以上に伸びている中、日本は1.4倍に留まっています。投資などで資産を増やしている人と比べて、預貯金を多く持っている人の資産価値は相対的に下がっていると考えられます。

Poolの目標はタンス預金の代替となり、運用できずに余っている個人の資産を、リターンが得られる資産に変えることです。

投資経験者や未経験者にインタビューをした結果、Poolによって手元の資産を投資にまわすハードルが下げられると考えました。

投資経験者「急な出費に備えるため給与の約2ヶ月分のお金を投資せず銀行に預金している。しかし利息が付かないのでもったいないと感じている」
👉🏻  Poolなら投資資産を決済に充てられるので、投資をしながら急な出費に備えることができる

投資未経験者「投資はリスクとリターンがよくわからなくて不安」
👉🏻  Poolならわかりやすい仕組みで投資ができる

プロダクトのデザインを考える

プロダクトの特徴をもとにデザインを進めていきます。

デザインの目的は、ターゲットユーザーがプロダクトを知ってから継続的に利用するまでの離脱を最小限にすることです。そのためには使いやすいプロダクトをデザインすることはもちろん、プロダクトから得られる体験に即したメッセージを発することが重要と考えています。

01. デザインコンセプト

まずはデザインコンセプトを定義してデザインの方向性を決めます。プロダクトの利用体験を通じてどんな気分を味わえるのか、に対する答えがコンセプトとなります。

例えば「まるでパリにいるかのような気分を味わえる」というコンセプトのカフェがあれば、パリを思い起こさせるようなインテリアや外観をデザインすれば、コンセプト通りの体験に近づけることができそうです。

まずはコンセプトを定めて、デザインの目標を明確にしようと考えました。

カンムのミッションと照らし合わせる

プロダクトは企業のミッションの実現につながるものなので、デザインコンセプトもまたミッションにつながるものでなければなりません。

カンムは「心理的unbankedをソフトウェアで解決する」をミッションとして掲げており、面倒・難しい・怖い・不安といった心理的な理由で金融サービスから距離をとっている人に向けたプロダクトを提供します。そのためデザインコンセプトは「面倒・難しい・怖い・不安」とは逆のイメージを持つことになります。

電通さんの十字フレームを参考にコンセプトとなる言葉を選びました。

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縦軸 ─ カンムは心理的unbanked(金融に対して面倒・難しい・怖い・不安という気持ち)によって投資に手が出しづらいという課題を解決するために、リスクとリターンがわかりやすく投資資産を決済に充てられる機能を提供します。

横軸 ─ 手元の資産を増やしたいが投資に手を出しづらい、という課題をPoolが解決します。

リスクとリターンのわかりやすい仕組みを提供することで、投資に対する「面倒・難しい・怖い」が解消され、「ふえることが楽しみ」になるのではないかと考えました。また投資資産を決済に充てられることで、急な出費に備える必要のあった「不安」を「つかえる安心」に変えたいと考えました。

プロダクト体験を通じて「ふえる楽しみ、つかう安心」を味わってもらうことがPoolのデザインにおける目標です。

02. デザインキーワード

コンセプトはプロダクトの利用体験を表現したものですが、プロダクトの価値を体験するまでの過程で感じる印象についても定義します。

例えば「まるでパリにいるかのような気分を味わえる」をコンセプトにしたカフェのターゲットユーザーは、どんな印象に惹かれて訪問するでしょうか。「高級そう」「楽しそう」「おいしそう」「写真映えしそう」など、どんなキーワードを選択するかによって、なにを強調してデザインするかが変わります。

チームメンバーとBrand Deck Excersiseというワークショップをやりながらプロダクトにふさわしいキーワードについて議論しました。そのうえで、開発中の機能からどんな情緒的価値(Emotional Value)が生まれるかという視点でデザインキーワードを選びました。

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ドキドキしない:こわがらずに投資ができる
ゆとりが持てる:決済の1%がキャッシュバックされて少し余裕ができる
安心できる:使った金額がアプリですぐに確認できる
とっつきやすい:投資資産は支払いに充てることもできて流動性が高い

「とっつきやすい」には投資に対する心理的ハードルを下げるという目標も含めています。事前に実施したアンケートで「クレジットカードがセットになっていることで投資のハードルが下がっている感じがする」という声をいただき、大切にしたいキーワードのひとつとなりました。

03. プロダクト名

プロダクトに名前を付けます。一度決めたらなかなか変えられないですし、考慮すべきことは商標・SEO・覚えやすさ・愛着が感じられるか・プロダクトにふさわしいか、などたくさんあるので悩みました。

他社サービスや本を参考に分析すると、命名パターンには大きく4つありました。

キーワードの組み合わせ:YouTube(you+tube)
語呂合わせ:アスクル(明日来る)
特徴からの連想:Twitter(つぶやき)
ミッションからの連想:Google(膨大な量のデータを体系的に取りまとめる → 10の100乗「Googol」から)

チームメンバーでブレストをしながらアイデアを考え、決選投票などを経て、最終的に(決選投票で負けたけど)Poolに決定しました。

Poolは特徴からの連想で付けた名前です。流動性が高いという特徴から水をイメージし、貯めて使えるということからプールというメタファーが思い浮かびました。コンセプトやキーワードの「楽しみ」「安心」「とっつきやすい」という言葉にも合っていると感じます。

また長期で積み立てて利益を出すというよりは、旅行やプレゼントなど、比較的近い将来のためにお金を貯める用途でご利用いただけると考えています。短期の目的のために貯めるお金をプール貯蓄と呼ばれることから、Poolという名前がプロダクトの利用シーンにもマッチしていると考えました。

04. ロゴ

デザインコンセプトとデザインキーワード、プールというメタファーを念頭に置きながら、ロゴを制作します。

Poolには「普遍的」というイメージが合っていると考えました。実現しようとしているのは投資の心理的ハードルを下げることによって、投資をしながらの資産形成を"普通"にすることです。

誰にとってもあたり前のように使われるプロダクトでありたいということを、ロゴのシンプルさによって表現しました。

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👉🏻 「pool」と小文字にすることで「とっつきやすさ」に表現を寄せる
👉🏻  ハネのある「l(エル)」にすることで「楽しみ」に表現を寄せる
👉🏻  全体的にシンプルで見慣れた佇まいにして「安定・安心」に表現を寄せる
👉🏻  シンボルにはプールの青と四角形を適用しつつ、あたり前のように目にする記号「.(ドット、句点)」を採用することで「普遍」を表現

大きなリターンが期待できるわけではないけれど、ゆっくりと手元で資産を運用してタンス預金の代替となる存在。身近で資産形成を支え続けて、ユーザーにとってあたり前の投資・決済手段となることを目指しています。

05. プロダクトのデザイン

プロダクトはスマホアプリとクレジットカードの2つあるのですが、ここではクレジットカードについて紹介します。

国内外のクレジットカードのデザインを調査すると、縦向きにカードを差し込む決済端末が多いからか、海外では数年前からシンプルな縦型のクレジットカードが増えていることがわかりました。

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日本では2018年の割賦販売法の改正によりクレジットカード決済端末のIC対応が義務付けられています。最近ではカードを横向きにしてスワイプするタイプの端末より、ICチップが接触するよう縦向きにカードを差し込むタイプを多く見かけるようになりました。

縦向きのクレジットカードデザインが近々普及すると考え、Poolのクレジットカードも表は縦向きにしました。ロゴと同じようにシンプルにして、流行に左右されないデザインを目指しています。

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決済金額の1%キャッシュバックや投資によって「ふえることが楽しみになる」ことや、利用明細の確認や利用上限額の設定などによる「つかう安心」はアプリのデザインに反映するつもりです。

現在はまだ開発中のため、投資に関する具体的な特徴やアプリのデザインについてはまたの機会に紹介できればと思います。

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最後に

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
現在カンムではさまざまなポジションでメンバーを募集中です。
もしカンムやPoolに興味を持っていただけましたら、ぜひこちらをご覧ください👇👇👇


次回記事のため、書籍代等のインプットに使わせていただきます!