奇跡の温泉
火事から約2週間が経過しました。
この2週間、いろいろな場所を転々としながら、主に、お坊さんではない「お仕事」をしています。
そんな中、お寺の将来について、いろいろと考えています。
まず、基本方針として5年計画で再建します。
単に庫裡を建て直すことがゴールではなく、庫裡を建て直すまでの時間を利用して、自分が思い描くうちのお寺のありたい姿を形にすることを目指します。
うちのお寺のありたい姿。
それは、誰もが気軽に入れて、坐禅をはじめとした仏教的なエッセンスと気軽に触れることができるようなお寺です。
自分自身がそうだったように、宗教=信仰対象としてではなく、自分の人生をより良く、より楽に、そしてより幸せに生きていくための方法論の一つとして、触れていただきたいと思っています。
そうすることで、一人でも多くの方の心身の健康に少しでもお役にたてればと願っています。
これがほんとうにざっくりとしたうちのお寺のありたい姿です。
そんな姿を夢みながら、再建までの5年間、まずは資金作り、そして自己の研鑽(修行)に励みたいと思います。
再出発にあたり、どうしても訪ねたかった場所がありました。
熊本県の南阿蘇村にある青風荘という温泉旅館です。
青風荘は、2016年4月に発生した熊本地震、さらに同年6月の豪雨によって、大きな被害を受けました。
豪雨のあと、ほとんどの施設が土砂に埋もれてしまった光景を目にして、旅館の社長さんは「とてもではないが再建なんていうことは考えられない」心境だったそうです。
それでも旅館の名物であった「すずめの湯」が土砂にまみれながらも湧き続けているのを目にして、再建に立ち上がる勇気をもらった、とのことでした。
そして、4年後、2020年に青風荘は装いも新たにリニューアルオープンしました。
地震の前からこちらの旅館とご縁があり、リニューアル後も定期的に訪れていました。
通常の温泉は、地面を掘削し、地下からお湯を汲み上げたり、湧出させたりして、そのお湯を入浴施設まで配管で引っ張ってくるのが一般的ですが、「すずめの湯」は温泉が自然と湧き出している場所に入浴施設を作っています。
自然の力、大地の力に触れることができる場所だからかもしれませんが、「すずめの湯」に入ると、なぜか元気になります。
そんなこともあって、お寺の再建に向かうこのタイミングで、久しぶりに「すずめの湯」に入ってきました。
奇跡の温泉。
たくさんの元気と勇気をいただきました。
宗慧