東京男ミシン
ミシンのお話。
初めてミシンに触れたのは1年半くらい前。
まだ鹿児島に住んでいたとき。
買い物に行ったコストコで、入り口の所に
積み上げられていたミシンを発見しました。
ミシンなんて、当時の自分にとっては
興味も関心も無いものでしたが、
なぜか金額が興味をひきました。
たしか15,000円くらい。
ミシンってこんなに安いの?
もちろんミシンの相場なんて知りませんが、
単純にもっと高いものだと思っていました。
で、買ってしまいました!
•••使うあてもないままに。
それから使い方を調べ、周囲の指導も受け、
初めて作品(自分用のモンペ)を作りました。
やってみると想像していた以上に楽しくて。
とにかく楽しくて。
ハマりました。
自分用だけでは飽き足らず、友人用にも作り。
茨城に移る頃には、時間があればミシンで
何かを作っているような生活をしていました。
茨城にも当然、持って行きました。
落ち着いたらまた使おうと思ってるうちに、
火事で燃えてしまいましたが。。。
東京での生活を始めるにあたり必要なもの。
布団、食器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機•••
そして、ミシン。
前回はたまたまコストコで出会ったミシン
でしたが、今回は好きなものを選べます。
黒くて、レトロな雰囲気のミシン。
商品名は「TOKYO OTOKO ミシン」。
自分にピッタリだと思いました。
この週末、台風もあり、外出を控え、
せっかくなのでミシンでもと思いましたが、
初めて使うので使い方が分かりません。
(引越し直後に買ったはずですが•••)
スタートのスイッチが•••ないんです。
いろいろと探しましたがどこにもないんです。
仕方なく、説明書を読みました。
そして、分かりました。
足で踏むタイプだったんです。
電動で、足踏み式のミシンではないですが、
スイッチを足で踏むタイプなんです。
しかも強く踏めば早く、弱く踏めば遅く、
そんなコントローラー兼スイッチです。
これまでのミシンは手元にスイッチがあり、
しかも、普段は床に座って作業していました。
足でスイッチを踏みながら作業をするには•••
適当な高さの机と椅子が必要です。
机はあります。
でも、椅子がありません。
椅子を買わなきゃいけない。
どんな椅子にしよう?
せっかくだから疲れにくい椅子。
やっぱり部屋の雰囲気にもあった椅子。
色は茶色か黒か•••
そんなことを考えていると友人からメールで、
「ベッドは?」というアドバイス。
確かに。
ベッドの前にテーブルを置いて座ってみると、
高さもピッタリです。
そのときにはっきりと自覚しました。
椅子という言葉に縛られていた自分を。
元々、椅子なんて無かったはずです。
「腰を下ろした姿勢の自分を支えるもの」
こういうものを便宜上「椅子」と呼ぶように
決めただけのことだったはずです。
それが、いつのまにか、
「椅子っていうのはこういうもの」
に入れ替わってしまったんだと思います。
「椅子」
を探せば、どこにも見当たりませんが、
「腰を下ろした姿勢の自分を支えるもの」
を探せば、すぐそこにベッドがありました。
無縄自縛(むじょうじばく)
言葉は先入観や思いこみを生み出します。
そして、人間は、先入観や思いこみで、
無意識のうちに自分自分を縛りつけます。
本来は存在しない先入観や思い込みの縄で、
自分自身の自由を縛りつけます。
ベッドに座って、机の上のミシンを眺め、
いつもより自由な自分を感じる週末でした。
宗慧