情報の波にのまれて選択できない状況に陥っていた~カメラ探しはもっとシンプルで良いのかもしれない~
届いたメールは何度か読み返す必要があった。
私が送った「このカメラのこだわりは何ですか?」と言う質問があまりにも不躾だったから、売る気がなくなったのだろうか? でも、文面は非常に丁寧で、何かを訴えようとしている気もした。
しばらく読み返していると、あぁ、そいうことか……と気が付いた。
情報に埋もれて自分の頭が複雑化していたことに。
突然カメラが壊れてしまった。原因は不明。
6年ほど愛用していたけれど、壊れる気配なんて全くなかったし、落としたり衝撃を加えたわけでもなかった。それだけに、スグに直ってくれるだろうと思っていた。
メーカー修理に出したけれど、原因不明で治るかどうかも分からないが、とりあえず部品交換してみるのでと、修理工賃と合わせて新品と変わらない見積もりが来てしまった。
諦めるしかなかった。
1代目の購入時はあまりこだわりなく、見た目とコンパクトさ、予算に合うかだけで決めてしまった。
使っていても不満はなかったけれど、カメラの講座を受けてからは、数年先にもう少し良いカメラを買っても良いかな? なんて考えてしまったのが悪かったのだろうか。講座を受けてから2ヶ月ほどで使えなくなってしまった。
しばらくは親のカメラを使ったり、スマホで撮影したりと、我慢していたけれど、やはり自分のカメラが欲しいという気持ちは変わらなかった。
それから少しずつ情報を集め始めた。でも、やっぱりカメラは良く分からない。
壊れてしまったカメラよりは少し良いカメラをと思っていたのだけれど……
どれも何だかしっくりこない。
そもそも良い(画素数が高くて、値段も高い)カメラはデカいのだ。首からかけるだけで肩が凝りそうと思うと、中々選ぶに選びきれなかった。
それを持ち歩いて撮影しに行くだろうか?
あまり想像が出来ない。
1社、誰に聞いてもそこであれば間違いないと勧められるメーカーがあった。そこのカメラにしようかとも思った。確かに画質もキレイそうだし、店頭で触った感じも悪くない。簡単に撮影もできる。
けれど、親が使っているカメラはそのメーカーで、何度か使っているうちに、ちょっと違うな? と、感じ始めていた。
なんだか……愛着がわきそうにない。
誰しもに認められ、たくさんの機能を備えたスター的なそのメーカーのカメラが良いのは頭では分かっている。確かに私も惹かれない訳ではない。何度も触れて、これでいいかもと、迷いもする。
けれど、テレビの中のアイドルのように笑顔を振りまかれ、キャーキャー言っていても、現実に恋に落ちるのはもう少しダサい人だったりするように、何だか手元に置くのはこいつじゃないなと言う感覚がどこかぬぐえなかった。そもそもスターを追いかけるタイプでもないし……
だからと言って欲しいカメラがある訳でもなかった。
そんなある日、家電量販店にフラッと寄ってみると、見たこともないメーカーのカメラが置いてあった。そのカメラの看板が目立つところにあったこともあるけれど、私はそのカメラにくぎ付けだった。他の人は素通りなのに……
何も特徴がないことが取り柄のように、様々な機能がそぎ落とされたフォルム。よく言えば洗礼されているけれど、悪く言えば未熟なその見た目に俄然惹かれた。
知らないメーカーで他よりコンパクトなのに、案外値段も高かった。
レンズで有名な会社らしい。
今は当たり前についているWi-Fi機能も付いていなければ、画面を動かすことも出来ない。ミラーレス一眼と言うくくりの中では値段が高く、しかも重いように感じた。
店員さんに話を聞いてみる。
ミラーレスの中でも『フルサイズ』のセンサーが搭載されていて、私が見ていたの他のミラーレスのカメラよりも、性能が良いのだそうだ。だから、値段も高く、重く感じたけれど、フルサイズの中では軽いし、値段も相場だと言う。
あまり初心者向けではないと言いつつ、説明は続く。
・独特な質感のある写真が撮れる。
・他の機能をそぎ落としている分、画質にもこだわりがある。
・最近は動画にもこだわっている。
・中/上級者向け
と言うことなのだけれど、結局どうこだわっているのかは分からないままだった。
あまりよくないのだろうか……
でも帰宅後もまだ気になっていて、迷った挙句、メーカーに直接メールで問い合わせてみることにした。
「そちらのこだわりは何ですか?」と。翌日スグに返事がきた。
そのメールは何度か読み返す必要があった。
あまりにシンプルな回答に、しばらく理解できなかったのだ。
売る気がないのか? やる気がないのか? と。
でも、何度も読み返しているうちに、
あっ、そういうことか! と理解した。
・様々な機能をそぎ落としたフォルム、サイズ、軽さ
・フルサイズで高画質
・ユーザーの好きにカスタマイズ可能(アクセサリーの充実)
ざっと要約するとこう言うことだった。
あとは、アクセサリーで自分流にカスタマイズしてくださいと。
だけど、それを『こだわり』と言われても始めは理解出来なかったのだ。
もっと他にあるんじゃない?って。でも、自分は何を求めていたのだろうか。カメラに付随する様々な機能、その情報に埋もれ、あれもこれもと、求め過ぎてしまっていたのかもしれない。
思考があまりに複雑化していたのだ。
でも確かに、これだけあればカメラの性能としては十分なのだ。
でもなぜこのカメラなんだろう? 確かに惹かれているけれど、その理由がはっきりと分かるまでにはまたさらに時間を要した。だって他にも良いカメラはたくさんあるのだから……。
でも、ふと理解した。
無駄をそぎ落とし、自分に合ったカメラに変化させていく。
これは私が目指すライフスタイルにもリンクするのではないかと。
使えば使う程、愛着がわきそうな気がする。
まだ買うか分からないけれど、私が今気になっているカメラ。
SIGMA(シグマ)の『fp』
かなり思考がシンプルになった状態で、メールをくれた人に勧められた通り、他社との比較方法を最後に試し、決断したいと思う。
※最後に、メールで送ってもらった動画も良ければ。
’Made in Aizu’’ ムービーと撮影情報
https://www.sigma-global.com/jp/magazine/m_series/branding/made-in-aizu/
シネレンズを使った15分ほどの短編映画
’’blur’’ 短編映画と撮影情報
https://www.sigma-global.com/jp/magazine/m_series/branding/blur/