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#日本酒の新サービスブランドを発表するまでvol.1|ブランディング事業出身者が日本酒ビジネスに人生を懸けようと決めた理由

私、澤田且成 (さわだ かつなり)は、ブランディングを事業ドメインにするアイディーテンジャパン株式会社を2008年10月に創業し、今年で14年目になります。

アイディーテンジャパンでは、日本のお酒を、少ない本数から世界中に配送するといった<ロジスティック>と、スマートフォンアプリで、まだお酒が届いていない市場に伝えるといった<コミュニケーション>の観点から、「届ける」ことにとことん挑戦しています。

(私のSNSを見ると、これまでの取り組みがより詳しくおわかりいただけます)https://www.facebook.com/KatsunariSawada

今回のnoteでは、なぜブランディング事業出身の人間が、日本産酒類に惹かれ、そのビジネスに人生を懸けようと決めたのかをお伝えしたいと思います。

ブランディングとは?

「ブランド (Brand) 」と聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか?

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洋服やアクセサリーにしても、牛肉などの食品にしても、ブランドとは、発信者側の約束であり、私たちがその商品を買う理由となる大きな要因です。

商品やサービスは、高い/安いといった価格だけではなく、作り手のストーリー、手に取ったときの特別感、満足、驚きや感動によって選ばれるものです。この選ばれる力を強めるためにブランドが機能します。

「ブランディング (Branding) 」とは、ある商品にブランドとしての価値を付けること。言い換えれば、それぞれのモノに必ず魅力があると信じ、発掘して表現する仕事、強く記憶残すための”インフラ整備”の仕事です。

「ブランドマーケティング (Brand marketing) 」は、発信者側の伝える力以上に、ユーザーの心と共感する<吸引力>を使って、購入へと誘導していく施策なのです。

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日本の”ものづくり”を世界に広める

私自身、20代のころから毎月のように海外出張を重ね、30カ国以上の人々に、「なぜ、日本の商品を選ぶのか?」というインタビューをおこなってきました。さらに、一時滞在だけではなく、複数の国(フィリピン、オランダ、カナダ、中国)で実際に暮らし、生活を経験してきました。

その中で、「日本のものづくりには、ほかに類を見ない魅力がある」という確信が年々深くなっていました。

日本の職人のものづくり精神によって生み出される商品は、ブランドとして世界的に評価されるべき「作品」です。

個性を見つけ、個性によってファンを惹き寄せるというブランディングのアプローチによって、日本の魅力を世界目線で再評価し、マーケットの中で磨き上げていこう──そうした思いから、2010年、日本の地域産品のブランディングをおこなう「Japanpage:プロジェクト」を起案しました。

ブランドは、届いて初めてブランドになれる

近年、新型コロナウイルス感染症拡大防止により、私たちは、人と人が対面で会うのが難しい時期を経験しました。

この環境の大変動は、私にとっても、自社の社会的意義、活動目的を考え直す機会となりました。創業からの想いを再確認し、向かうべき将来のために、いま軌道修正しないといけないことを確認する契機となりました。

振り返ると、2015〜2016年、アイディーテンジャパンは、経済産業省の支援のもと、日本のものづくり・工芸の魅力を世界に伝える事業に参画しました。

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この事業で制作したストーリーブックは、世界中の150以上もある在外公館に配布され、世界トップレベルのラグジュアリーブランドから追加送付をリクエストされるなど、高い評価をいただきました。この経験を経て、日本の地域力・職人力が、世界のトップ層からいかに評価されているのかを身を持って体験することができました。

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また、海外で開催される日本酒イベントにも積極的に出展していきました。

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しかしここで、ある課題に気づかされました。

せっかくブランディングが成功しても、「では、この商品はどこで購入できるのか?」「いくらで買えるのか?」といった実際の売買の段階に移ると、各事業者に担当が分かれてしまいます。

各段階で、言葉や、購入条件、配送などの問題が発生すると、「欲しい」と思ってくれた人に商品が届かないという事態が起こってしまうのです。

いくらすばらしいストーリーでも、実際にものが届かなければ、市場に認められなければ、絵に描いた餅で終わってしまうのです。

日本産酒類を”届ける”サービスの構築

日本酒や焼酎といった日本産酒類は、地域産品の代表格であり、日本の魅力を世界に伝える存在です。

しかし、こうした酒類も、その他の地域産品と同じ課題を抱えています。

インタビューレポート

課題が多々ありますが、輸出額が過去最高を更新し続けている日本酒を中心に、日本産酒類の世界的評価は年々高まっています。

日本ならではの自然環境や、職人の技術によって裏付けられたストーリーは、決して空虚で表面的なものではなく、世界の人々の心を動かすのです。
海外で開催される試飲会や展示会、また、オンラインのプロモーションなどで告知されるお酒を、世界中の人が「欲しい」と思ってくれる機会は増えています。

しかし、お客さんから「どこで買えますか?」と質問されても、「あなたの国では、まだ買えません。現地でのビジネスパートナーを探しているところです」と回答するパターンがほとんど。

「欲しい」と言ってくれるお客さんがいるのに、売ることができないのです。

なぜでしょうか?

従来の酒類輸出では、配送コストを下げるため、インポーターが一度に大量に仕入れて船便で現地に届け、現地の小売店は在庫をもとに販売するのが一般的でした。

そのため、知名度がなく、売れるかわからないお酒を大量に仕入れることは、インポーターや小売店にとって高いリスクとなります。

「売れるまでは少量ずつ仕入れよう」と思っても、小口輸送となると船便は使えず、航空便を使うと高額になるうえ、破損のリスクも高くなってしまいます。

日本の産品を通して魅力を広めていくためには、ブランディングによって価値観を高めるだけではなく、流通や販売における課題を解決し、実際に「売れる」仕組みを構築する必要があります。

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そのために誕生したのが、お酒を一本から、航空便で世界各地に届ける「Japanpage:Sake」(https://sake.japanpage.jp)というサービスなのです。

Japanpage-Sake-世界50カ国以上の自宅へ配送。小口空輸実績がある越境ECサービス

日本産酒類を世界的ブランドにする

アイディーテンジャパンは、ブランディングをおこなう事業とはいえ、商社やショップといった従来の商流のひとつのピースになるつもりはありません。
市場を底上げし、新たな市場をつくるためには、ボトルネックを把握して、それを解決するための新たなサービスを構築する。
それが、私たちの使命です。

日本の美しい風土と、職人たちの技術によって生み出された、日本産酒類という作品が、世界の人々へ思うように届かないのだとしたら、私たちは何をすべきなのでしょうか?

次回の記事では、「お酒を小口配送できるようになると、世界はどう変わるのか?」をテーマに、Japanpage:Sakeの取り組みと実現する未来についてお話ししたいと思います。