#日本酒の新サービスブランドを発表するまで - マーケットリサーチ
次回は「お酒を小口配送できるようになると、世界はどう変わるのか?」のテーマを予定していましたが、その前に、自身の中で整理したいことをまとめます。
何か新しいことを始めるときに着手することは、マーケットリサーチです。
私がオランダ留学から帰国後に就職し、最初に就いた仕事は海外マーケットリサーチ業務でした。1996年ごろ、アジア危機の影響を受けて、日本企業は新たな海外進出先の発掘を求められました。インターネットが始まってまもないころ。大手企業は自社情報チャネルで一定の情報は入手できたものの、その先の情報が必要とのことで依頼を受けていました。
市場調査で調べること
私は、4年半ほど勤務し30カ国以上で市場レポートを作成してきました。何をするかということ、
- 商材は何か
- 市場規模は
- 市場参入している企業は
- 商品は、その特徴は
- 流通は
- 価格帯系は
- 注目商品はなぜ伸びているのか
といったことを2 - 3ヶ月の間に、キーパーソンインタビュー、市場調査レポート、新聞/雑誌記事から調べて、レポーティングをしていくわけです。
上司から企画書を受け取って数日間で、業界全体をざっと把握し、必ず押さえないといけないこと、深掘りして調べること、絶対に外せないことををリストアップして、それぞれの項目に優越をつくります。そして、レポートの概要を頭に描き、穴埋め問題のような状況をつくって、調査を進めながら空白を埋め、ときには構造を変化しながら、レポートを作り上げていきます。
この海外マーケットリサーチ業務のプロセスは、アイディーテンジャパンを起業し、頭の中で日本酒をテーマに「日本酒を世界ブランドにする」ことを考える上で大いに役立っています。そこでまず私が着手したことは、市場レポートの収集です。
今は、20-30年前の当時と違って、インターネットでさまざまな情報が入手できます。細分化されたレポートが発表され、多くのレポートは自由に閲覧できます。
市場レポートの収取といっても、時間を制限して調べることが必要です。情報収集すべきこと、参考情報として知っていてもいいけどあえて時間を使って調べる必要はないこと、など優越をつけて情報収集をしていきます。
日本酒輸出ハンドブック
日本酒業界の方はすでにご存知と思いますが、ジェトロと国税庁が作成したこちらのレポート「日本酒輸出ハンドブック」は、情報は古いとはいえ概要を掴むには十分、参考になります。
https://www.jetro.go.jp/industry/foods/notice/e677cd2ac372fb1e.html
読み進めながら気づいたことは、このレポートは「大口を船便で配送し、現地のインポーター / ディストリビューターによって配送され、ショップやレストランに卸すこと」が前提の内容です。当社が目指す、レストランや個人に直接販売する、小口で配送する、といった事業モデルを対象にしたレポートではありませんでした。それでも自分で各国に行って調べることを考えると有益な情報でした。
注目すべきは「制度」「価格体系」「流通」
レポートの中で注目したことは「制度」「価格体系」「流通」です。嗜好については運営方針やターゲットによって右にも左にも変化するので、それほど注目はしませんでした。しかし、「制度」「価格体系」「流通」は必ず就いて回るもの。現状の上で戦うのか、イノベーターとして異なるアプローチを狙うのか、を判断する意味でも、これらの情報は、常に更新していくべき情報です。そのため、まずはこれらのレポートの熟読と仮説設定から着手していきました。
※JETROさん、国税庁さん「日本酒輸出ハンドブック」の更新版を期待しています!