【小説】うさぎの女王様~私は下僕です~③
9日目~子ウサギ様のお食事~
「すぴー。すぴー」
……。
スフィンクス?
「なんかリラックスしてますね」
「すぴー。すぴー。」
昨日より大きくなってる?
「おはようございます」
「メシか?」
微動だにしない。
はあ。 ため息をつきながら俺は朝ごはんの準備をした。
ガサガサ、シャカシャカ。
「ガッチャンガッチャン!」
え? ケージを振り返ると王女が暴れていた……。
ケージは金網でできているため、暴れるとかなりの騒音だ。
「メシじゃメシじゃ」
「さっきまで寝ていませんでしたか」
「メシじゃメシじゃ」
ご飯スイッチが入った王女は誰も止められない。 正確にはご飯をあげるまで終わらない。
「あー! ちょっと! ケージをかじらないでください! 歯が傷みます!」
「歯は一生生えてくるものじゃ。心配いらん」
「不正咬合という病気がありまして……」
「知っとるが知らん」
むちゃくちゃだな……。
「はい、朝ごはんできましたよ」
「少ない!*%#$*△」
もぐもぐさせながら喋るな。
子うさぎのペレットの適正量は3から5%だ。
ブリーダーからは1日40gを与えるように言われている。つまりその半分20gが朝ごはんだ。
王女はペレットに加え大麦のふりかけと乳酸菌を与えている。
「おい」
何か聞こえたかな。
「おい、下僕」
呼ばれた。
「はい、王女様」
「メシがない」
「牧草食べててください!」
王女様の食欲は止まらない……。
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