直輸入・直販売の先にあるもの Part2
現在クラウドファンディングに挑戦中ですが、このプロジェクトが目指している未来について、引き続き書かせてもらいます。
さとやまコーヒーは、社会性を強く意識した事業です。
そもそもの始まりは、僕が秋田の景色を好きになったのがきっかけでした。
好きで眺めていた田園風景の中に、ぽつりぽつりと目立つ荒れた農地。
「やっぱりおじいちゃんおばあちゃんが農地に手をかけ続けるのってしんどいよなあ」という共感の一方で、「10年後, 20年後にこの景色は残っていないかもしれない」という寂しさを感じていました。
稼げなくて捨てられてしまう農地がある。
それならそこにお金を送ることはできないか。
そのお金で開墾しながら何とか良い活用の形を見出すことはできないか。
コーヒーを販売して、売上の一部を荒れた農地の開墾に充てる。
こんな想いから始まったのが「さとやまコーヒー」という事業です。
他にも僕個人が、フィリピンでのボランティア活動・フィジーの貧困地域での暮らしを通して、社会起業・ソーシャルビジネスに関心を強くしていったという背景もあるのですが、それはまた別の機会に。
僕はこの「さとやまコーヒー」という事業の存在自体が、誰かが抱えている"負"を解消することを願ってやまないのですが、ここでは「じゃあどうやって誰の負を解消しようとしているのか」について書きたいと思います。
①生産者さんに適正な対価を
コーヒーに限らず1次産業に共通することかもしれないのですが、生産者さんへの対価は、額にすればかなり小さいものになってしまいます。
それに加えて、コーヒー生産地域では児童労働があったりします。
また生産者からコーヒーチェリーを買う精製工場の人も、価格変動などのリスクを考えるとあまり大きな額を支払えないそう。
だからこそ、輸入のスタンスが大切なんだと感じています。
生産者さんにはしっかりと対価を支払う。そして生産者さんからは良いコーヒー豆や透明性の高い情報を約束してもらう。
こうして、良い循環ができていけば良いと思っています。
まずはその第1歩を輸入から踏み出します。
②森林農業で、山を保全する
森林農業、アグロフォレストリーについて少し説明させてください。
コーヒー農園では、コーヒーの木がずらーっと並んでいることが多いです。
その方が効率的に作業ができます。
一方、森林農業・アグロフォレストリーでは、あえてコーヒー以外の木を植えます。効率は落ちるはずですが、2つ良いことがあります。
ひとつは「コーヒーに日陰を作ってあげられる」ことです。
コーヒーの木は日陰を好みます。直射日光が当たっているコーヒーの葉よりも、日陰で育ったコーヒーの葉の方が青々を茂っていました。
結果的においしいコーヒーを作ることができるのです。
もうひとつは「生物多様性を維持できる」ことです。
コーヒーの木以外にも、元々その山に生えていた木やバナナを一緒に植えたりすることで生物多様性が維持されます。僕が行った農園では、蜂蜜も一緒に育てていたりしました。雑多で自然豊かな印象でした。
生物多様性を守れるし、おいしいコーヒーを育てることもできる。
でも、この栽培方法では労力もかかるし、周囲の理解を得るための時間もかかります。とても大変だからこそ、続けていくためにはしっかりとした対価をお支払いする必要があると思っています。
そして輸入から販売を担う僕たちは、価格が高くても「全然出せる」と満足してもらえるように、こだわりを持って作り込んでいく覚悟を持っています。
③日本の里山を残す
これは冒頭でもお話したことですが、もう少し詳しく書かせてください。
僕はコーヒーも世界の里山を支える大切な植物だと思っています。
個人的に里山は「人間と自然がどちらも嬉しい世界」だと捉えているのですが、コーヒーは森林農業にちょうどいい作物だし、生産地域の人の暮らしを支えたり、コーヒー消費が文化になっている国もたくさんある。
まさに自然も人も豊かにしうる作物だと考えているのです。
そんなコーヒーは、つくる国と飲む国がはっきり分かれている作物でもあります。
つくる国にもたくさん課題はあるけれど、飲む国にも課題はある。
だからこそ僕たちは、当初の想いをそのままに、売上の1%を耕作放棄地の解消に充て続けます。
こうして国を跨いで1次産業のあり方に関わることで見えてくることもあるはずですが、これもまた別の機会に!