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デイジーの歌声
タタタタ、ヒュードカン、バリバリバリバリ、ドカン、ドカン、タタタタタタタタ、ドカーン!
男『逃げろ、』
女の子『イヤだ、イヤ!』
男『もう、オレはだめだ
、後は、死ぬだけ。』
女の子『戦争終わらせたいって!言ったよ、』
男『もう、この世界はもたない。
お前だけは、どうか生きて生きて生きてくれ。』
女の子『ラララ、ラララララー、ラーラーラー♪』
男『その歌、あの時の』
タタタタ、ヒュードカン、バリバリバリバリ、ドカン、ドカン、タタタタタタタタ、ドカーン!
むか〜しむかし、キミたちの知らない世界のお話し。
争い事ばかりしていた世界のお話し。
沢山の命が、消えていった世界のお話し。
ピース『ハァハァハァ、100..にん....』
ダーン!ダンダーン!!
ピース『ちっ、ここも、おしまいか!』
『ラララ、ラララララー、ラーラーラー♪』
と、丘の上に、何か人影が見えました。
ピース『ん?歌?子供?なんでこんな戦場に?、おれは、まぼろしでもみているのか。』
よーく目をこらし、見てみると、
なんと、片手に花を持った女の子が、そこに立ち、歌を歌っていたのです。
ピース『ちっ、なんてこった、あれじゃすぐに狙われちまうぞ!』
『ラララ、ラララララー、ラーラーラー♪』
すると、その女の子は、歌を歌いながら、ピースのもとへ近づいてくるではありませんか!
ピース『な、こっちへ!?これじゃ、ちっ、知ったことか。』
と、ピースは、銃の先を、その女の子へ向けました。しかし、銃や爆弾の飛び交う中、その女の子は、
どんどん、ピースに近付いてきます。
そして、
ピース『笑っている。なんで?』
と、ヒューーー!
すぐ近くに、爆弾が落ちようと!!
ピース『うぉーーーーっ!!!』
と、とっさに、ピースは、その女の子のもとへ!!
そして、その女の子を抱え、爆弾が落ちる、寸前のところで、危機一髪!女の子を救いだしました。
ピース『バカヤロー!いったいなにやってんだ!?死にたいのか!』
女の子『あたしは、アイ!歌が大好きなアイだよー♪』
ピース『はっ?』
アイ『シャラララ〜、ラララララー♪』
ピース『やめろ、その歌、死にたいのか!お前、ちっ、とにかくこっちへ来い!』
と、ピースは、アイを隠れ家へと連れていきました。
アイ『わーい、わーい♪おじさんの何にもない地味〜な、おうちだー(笑)』
ピース『当たり前だろ!!そして、仮にも人様の家に、なんて言い方!?』
アイ『ねぇ、おじさんのお名前おーしえて?』
ピース『イヤだな、ここがどういう場所か分かってるのか?それに、おれは、人に名前を知られたくない。』
アイ『どうして〜、ルンルルン♪どうして〜?』
ピース『いちいち、歌いながらしゃべるなよ!』
アイ『アイは、歌が大好き❤はいこれあげる!』
と、アイは大切に大切に持っていた、一輪の花を差し出しました。
ピース『デイジー。』
と、ピースは、その花を叩き落としました!
アイ『あー!いけないんだー!お花が可哀想だー!』
ピース『うるさい!オレはその花が大キライなんだ!』
アイ『どうして?』
ピース『この花の意味はわかるか?』
アイ『わかんない、』
ピース『ちっ、デイジーはな、平和の象徴だ!平和の花なんだよ!』
アイ『へー!凄いね平和♪平和♪』
ピース『くそ、おれの名はな、その花と同じ意味を持つ、ピースだ!!!くそが、腹が立つ。』
アイ『ピース。おじさん、このお花と一緒なんだ、あたし、この花とても好き、好きで好きで、大好き。だから、おじさんの事もきっときっと大好き。』
ピース『へ、おれは大キライだ。いいか、おれがここでなんて呼ばれてるか知ってるか?』
アイ『なーに?』
ピース『死神だ。』
アイ『なーにそれ?』
ピース『その花と、オレの名前とは、まったく違う意味を持ったやつって事だよ。おれは、さっきまで、おれが奪ってきた命を数えていた。そして、お前もその中の、一つになるところだったんだぜ。』
アイ『ふーん。そう、けどアイは、ここにいるよ。』
ピース『な、そ、それは、そうだが、くそ、なんだ、こいつは!?』
ピースは、アイと話していると、とてもとても不思議な、気持ちになっていきました。
どこか、温かな気持ちがありました。
ピース『こいつと話していると、おかしな気持ちになる、なんなんだ?』
アイ『はい、デイジー。』
と、アイは、落ちていたデイジーを拾い、ピースに差し出しました。
すると、
ピース『だからおれは、この花が、、、き、ら、い、く、く、く、くそ!そのへんに飾っておけー!』
アイ『ハーイ♡』
と、アイは、そっとデイジーを壁に立てかけました。
ピース『へっ?おれはいったい何いってんだ!?あーもー、なんだか、おかしな気分だ!』
アイ『あたしね、ずっと一人なんだよ。だからね、だから!ピースのおじさんが初めてのお友達だよ〜♪』
ピース『ちっ、そうか、おまえ、オレと同じなんだな。』
アイ『ピースのおじさんも?』
ピース『おれはな、子供の頃から、気が付いたら、銃のにぎり方から教えられてきた。そして、死神と呼ばれるように、沢山の命を奪ってきたんだ。どうだ?それでもお友達か?』
アイ『うん。お友達。
おじさんは、ほんとは優しいから。』
ピース『はっ?おかしいのか?おれは、お前を、お前の命まで奪おうと、』
アイ『けど、奪えなかったよね?』
と、そういったアイの瞳が、一瞬不思議な、光を発したように見えました。
ピース『そ、それは、、、、』
アイ『な〜に?』
ピース『おれは、戦争を終わらせたい。』
と、ぼそりと自分の口から出た言葉に、ピース、びっくり!!
ピース『な、なんだ、なにを言ったんだおれは!?』
アイ『ありがとう。おじさんのホントの気持ち教えてくれて、ずっとずっと一人で戦っていたんだね、ずっとずっと一人でキツかったよね、いい子いい子。もう、一人じゃないからね。』
と、アイはピースの頭をなでなでしました。
ピース『あ〜、あー、おれは、ずっと一人で、銃を持って、沢山の命が、命を、この手で、おれは、もうイヤだ、こんな世界。』
と、自分でも不思議なくらい、ピースの瞳から、ポロポロと涙が、溢れてきました。
アイは、優しい優しい歌を歌いました。
それは、それは、優しく温かな歌でした。
いつの間にか、ピースは、アイの、膝枕で眠りにつきました。
ピース『おかあさん。』
どれくらいの時をそうしていたのでしょうか?
ピースは、指をくわえて、丸まって眠っておりました。
ピース『おかあさ、、ん?アイ?』
気がつくと、アイの姿はなく、壁にかけられた、一輪のデイジーだけが、ありました。
そのデイジーをにぎり、見つめていると、
戦争よ〜なくな〜れ♪命よ咲き誇れ〜♪
と、アイの歌が聞こえてきました。
ピース『アイ、だめだ、そんな大きな声、みつかって、』
と、ピースが言うと同時に、タタタタタタタタ、と、銃声が!?
ピース『アイ!!』
と、外に出た瞬間、アイが倒れているのが目につきました!
すぐさま、ピースは、アイのもとへと、走りました。
ピース『撃たれたのか!?』
アイ『大丈夫だよ、転んだだけだよ(笑)びっくりしたー。』
と、ピースは、思いがけない行動にでました。
なんと、アイを優しくハグしたのです。
ピース『バカヤロー、死ぬほど心配したじゃねーか!よかったよかった。』
と、涙を流しながら言いました。
アイは、そんなピースをまた、よしよしと頭をなでなでしました。
その時です!
ピースの目の先にキラリと光るものが見えました、
なんと、銃口がこちらにむけられています!
とっさにピースは、アイを、突き飛ばしました。
タン、タタタン!
一瞬、熱いものが胸に広がりました、それと同時に、
タタタタ、ヒュードカン、バリバリバリバリ、ドカン、ドカン、タタタタタタタタ、ドカーン!
と、銃声や、爆音が激しくなりました!
ピース『逃げろ、』
アイ『イヤだ、イヤ!』
ピース『もう、オレはだめだ
、後は、死ぬだけ。』
アイ『戦争終わらせたいって!言ったよ、』
ピース『もう、この世界はもたない。
お前だけは、どうか生きて生きて生きてくれ』
アイ『ラララ、ラララララー、ラーラーラー♪』
ピース『その歌、あの時の』
アイ『あたしは、歌うよ、あたしは諦めないよ、いくら裏切られようと、絶対に絶対に、戦争を終わらせる。』
ピース『あー、あー、そうだったな、戦争終わらせなきゃな。』
と、ピースは立ち上がり、赤く染まったデイジーを、そっと、アイに渡しました。
ピース『ちょっくら、戦争終わらせてくるよ、それまで、待っててくれな、そしてまた、一緒にお話しを、、、、おかあさん』
と、ピースは、その場に倒れてしまいました。
アイは、その姿を優しく見つめていました。
そして優しく、抱きしめました。
そして、歌い続けました。いつまでも、いつまでも、その歌声は、消えることなく。
こんな噂がありました。
銃声や、爆音の中から、かすかに少女の歌声が聞こえてくるんだと、しかし、だ〜れも、その少女を見たものは、いないんだそうな。
やがて、沢山の命が散り、この世界も、滅び無くなってしまいました。
戦争大反対。
命の温かさ、優しさ。
いつまでもいつまでも。
全てを愛おしく思えること。
いつの日も、いつの時にも、
アイとピースを。
お〜しまい。