アイノキオク
むか〜しむかし、キミたちの知らない世界のお話し。
ある小さな国に、エフェメラル姫という、綺麗な金色の髪の毛、宝石のようにキラキラと輝く瞳のそれは、それは美しいお姫様がおりました。
お姫様は、小さな頃、悪い魔女に魔法をかけられ、朝食べたもの、昨日食べたもの、お友達の名前、草木の名前、自分の名前までも、ありとあらゆる事を頭の中から、次々と忘れていく魔法にかけられたのです。
小さな国の、国王様は、兵を連れ、その魔女を倒しましたが、何故か魔法はとけません。何度も何度も、お医者さまや、学者さんに、お姫様を診てもらいましたが、その魔法が解ける事は、ありませんでした。
そんなある日、
どこから現れたのか、どこか気味の悪い占い師のおババが、お姫様に会いたいとやってきました。
国王様は、わらにもすがる思いで、とうとう占い師にまで頼ることになりました。
おババ『これより遠い遠い所、小さな小さな村がある、そこにいる、カインというある若者がおる。その若者が、姫を救うじゃろう。』
と、それを聞いた国王様は、いてもたってもいられず、すぐに家来達を連れ、その村に行きました。そして、すぐにその若者をお城に連れて参りました。
国王様の眼の前には、艶のある黒髪、濁りなき透き通ったブルーの瞳のとても逞しい若者がおりました!
国王『どうか、どうか、姫を助けてくれ。褒美は、なんでも好きなモノをあげよう。』
若者『お姫様にあわせてください。』
といい、若者の前に、虚ろな目をした、けれども、とても美しい美しいお姫様が現れました。
若者『なんと、美しい。
エフェメラル姫、今日から毎日、ぼくと沢山のお話しをしましょう。』
エフェメラル姫『お話し?あなたは、だれ?』
と、若者は、
濁りなき透き通ったブルーの瞳で優しく、エフェメラル姫の瞳を見つめ言いました。
若者『ぼくは、カイン。』
姫『そう。カイン。
それでは、早速面白いお話を聞かせてちょうだい。』
カイン『わかりました!』
と、カインは、沢山のお話しをし、それを聞いたエフェメラル姫は、なんと!沢山、笑ったり、時に泣いたりと、とてもとても楽しそうに話を聞いていました。
国王は、
国王『おう!姫のこのような楽しそうな姿を見たのは初めてじゃ!』
と、感動しました。
カイン『今日の話はこれでおしまいです、明日、またやってきます。』
と、最後にエフェメラル姫の手を優しく握り透き通ったブルーの瞳でみつめ、言いました。
姫『カイン、また沢山お話しをきかせてね。』
カイン『はい、約束です。エフェメラル姫。』
と、エフェメラル姫は、とてもとても温かなものを感じました。
そして、次の日。カインは、また城にやってきました。と、そこへ、虚ろな目をしたエフェメラル姫がやってきて、
姫『あなたは、誰?』
国王『やはり、だめじゃったか。』
と、国王は落胆しました。
すると、カインは、エフェメラル姫の手を優しく握り透き通ったブルーの瞳で見つめ、
カイン『ぼくの名前は、カイン。あなたに、沢山お話しをしに参りました。エフェメラル姫。』
すると、
姫『カイン?わたし、あなたの事知ってるような、何処かで会ったことがあるかしら?』
と、言いました。そこにいた国王も、家来達もびっくり!
国王『なんと…姫!この若者の事を思い出したのか!?』
カイン『エフェメラル姫様、今日も沢山、素敵なお話しをしましょう。』
姫『カイン、うん、沢山お話しして、わたし、あなたのお話し好きよ。』
国王達は、あまりの出来事にびっくり!
そして、カインは、優しい笑顔で言いました。
カイン『はい、エフェメラル姫、沢山楽しいお話しをしましょう。』
と、その日も、エフェメラル姫は、沢山笑い、時に涙を流し、沢山の表情を見せました。
姫『カイン、また明日もお話しして、くれる?』
カイン『もちろん。』
姫『約束よ。』
カイン『はい、約束です。エフェメラル姫。』
と、エフェメラル姫の手を優しく握り、透き通ったブルーの瞳で優しく見つめ笑顔で、
答えました。
カインは、次の日も次の日も、城へやってきて、エフェメラル姫に楽しくお話を聞かせました。
そして、エフェメラル姫は、カインに会う度に、とても、生き生きとした顔になっていき、宝石のようなキラキラとした瞳に戻り、そして、何故かカインの事だけは思い出すのでした。
エフェメラル姫は、次の日、国王に言いました。
姫『わたし、楽しいの!カインのお話し聞くの、凄く楽しい』
国王『おう姫よ!わしは、とても嬉しいぞ!』
と、泣いて喜びました。
しかし、その日、カインが来る事はありませんでした。
姫『どうして?約束したのに、なぜ、カインはこないの?』
エフェメラル姫は、カインを待ち続けましたが、カインは、やってきませんでした。
それから間もなく、大きな戦争が起こりました。小さな小さな国は、あっという間に滅ぼされ、命からがら、姫は、逃げましたが、国王や家来達は、皆いなくなり、エフェメラル姫は、一人ぼっちになってしまいました。
ボロボロになった、エフェメラル姫は、あてもなく、歩き続けました、そして、一つの小さな村に辿り着き、村の人達に助けられました。その村の村長は、言いました。
村長『貴方様は、一体?』
姫『私は、一体誰?何故ここにいるの?カイン……カイン、約束したのに』
村長『カイン!カインですと!』
姫『カイン!!なぜ彼の名前を知っているの?』
村長『カインは、この村に住んでおりました。』
姫『カインが!わたし約束したの、またお話ししにきてくれるって。』
村長『なんと!それでは、あなた様が、かの国のエフェメラル姫様なのですね。』
姫『会いたい、カインに会いたい』
と、泣いてしまいました。
村長は、とても悲しい表情で言いました。
村長『カインは、もう、』
姫『え、』
村長『カインは、お姫様の思い出を取り戻すため、お姫様にかけられた悪い魔法を、自分の体に吸い取り、身代わりになっていたのです。その魔法が日に日にカインに広がり、とうとう、眠ったまま起きなくなりました。』
姫『そんな、そんなこと、信じられない』
村長『毎日、お城にあなたに会いに行っておりました、その度に魔法は、カインの体へと広がり、弱っていったのです。』
姫『わたしのせいだ、わたしのせいで、カインは、』と、泣き崩れました。
村長『どうか、どうか、自分を責めないでください。カインは、あなたに会う事がとても幸せだと言っておりました。あなたのお陰で、彼は日々がとても楽しそうでした。』
姫『でも、彼の話を聞く事も、手を握る事も、一緒に笑う事もできない』
村長『姫よ、カインは、あなたの中でずっと生きております。彼は、言っておりました、
カイン【僕は、生まれかわったら、また僕に生まれたい、そして、また姫に逢いにいく。】
と。』
姫『カインに、会わせて下さい』
村長『しかし、今のカインの姿を見たらきっと、、、』
姫『会いたいの!!!』
と、エフェメラル姫の一生懸命なお願いに、
村長『わかりました、こちらへ、』
村長は、ある小さな小屋へと案内しました。
そこには、ベッドが一つ、他にはなにもなく、ベッドの上には、やせ細り白髪の青年が目をつむり眠っておりました。
村長『カインです』
エフェメラル姫はショックのあまり言葉か出ませんでした。
村長『最後に、お姫様にお会いし村へと帰ってき、次の朝カインは起きてこず、様子を見に行くと、このような姿に』
姫『どうして、カイン、起きてよ!起きてお話しましょう!』
と、カインに、おおいかぶさり泣きました。
エフェメラル姫は、くる日もくる日も、何も口にせず三日三晩泣きつづけました。
その涙は枯れることなく流れ続けました。
村長が、言いました。
村長『姫、これ以上は姫の体が心配です、もうカインの事は、カインは、、、』と、声が震え先の言葉がでてきません。
姫『言わないでよ、いや!絶対にいやよ、カインは、、、』と、エフェメラル姫の声も震え先の言葉がでてきません。
と、その時です!!!
カイン『エフェメラル?』
なんと、カインは目覚めたのです、あの透き通ったブルーの瞳が、真っすぐにエフェメラル姫の瞳をみておりました。
姫、村長『カイン!!!』
カイン『僕は、いったい、』
すると、みるみるうちに、カインの体が輝きに包まれ、やせ細った体は逞しく、白髪は、艶のある黒髪に、
村長『奇跡じゃ、奇跡じゃ!』
と、しかし、
姫『よかった、ほんとにありがとうねカイン。今までありがとう。』
と、今度は、エフェメラル姫の体が細く、髪は白髪になり、
倒れてしまいました。
カイン『姫!エフェメラル姫!いったい!?どうして!?』
姫『もう、いいのよ、これでいいの、全ては、わたしたちが悪いのだから。全て思い出したの、わたしは、昔、』
ある日、幼きエフェメラル姫は、星空を見上げ、ずっとずっと泣いていました。
姫『えーんえーん、死んじゃったよ、カラスさんが死んじゃったよ』
とそこへ、悪い魔女がやってきて、
魔女『あらま!そいつはあたしが大事に、大事に、しているカラスじゃないのさ!なんてことしてくれたんだいっ!』
姫『違うは!わたしじゃないのわたしが来た時には、もう死んでいたのよ』
魔女『嘘つきの姫!エフェメラル!!わたしの仲間もあんたたちのせいでみんな死んだ!おしおきだ…!』
と、悪い魔女は、エフェメラル姫に魔法をかけました。
魔女『ふん、ずっと苦しむといいさ、お前はとびっきりの不幸を味わうことになるのさ、イヒヒヒヒ。』
姫『これは、わたしの使命、魔法にかかり、あなたと出逢い、あなたを愛し、あなたの中に。』
と、だんだんと姫の姿が消えていきます。
とっさにカインは、姫を抱きしめ、
カイン『きっときっと、また生まれ変わっても、きっと』
姫は、微笑み言いました。
姫『ありがとう、カイン』
と、消えてなくなりました。
カインは、涙が止まりません。
カイン『ありがとう、エフェメラル。きっときっと、また。』
カインの涙は長い時、流れ続けました。
温かく、優しい涙が流れ続けました。
枯れることなく。
永遠に。
お〜しまい。