見出し画像

アメリア

ピコンピコンピコン、



博士『よし、もう少しで、完成だ。』


ピコンピコンピコン。






むかーしむかし、きみたちの知らない世界のお話し。

不思議な不思議な、世界のお話しだよ。博士は何かを作っているよ。




博士『あとは、この回路を繋いだら、』



カチリと、回路が繋がれた。



博士『さあ、目覚めてくれ!』



しーん。







博士『まさか、また失敗なのか?』




しーん。





博士『なんでだよ。』


と、博士が後ろを向いた、その時!




『は、か、せ』



ビクリと博士が振り返ると、実験台に寝かされていたはずの、モノが、起き上がり、博士をじっと見つめていたのです。



『は、か、せ、』



博士『わー!!やったぞ!ついに!ついに完成したぞ!』

 

『ヤッタゾ、カンセイ』


博士『しかも、記憶能力もしっかりしている!』


『キオク』


博士『そうだ!いいかい、君の名前は、アメリア』


『わたしは、アメリカ』


博士『う、おしい!!あ、め、り、あ』


アメリア『あ、め、り、あ。アメリア。わたしの名前はアメリア。』



博士『そうだ!アメリア、ようこそこの世界へ。』


と、博士は、優しい笑顔でほほえみました。


博士『さぁ、アメリア、そこにある服を着なさい。わかるかな?服を着る。』


アメリア『ここにある服をきる。』


と、近くに置いてあった服を着ました。


博士『なんと素晴らしい能力なんだ!』


と、真っ赤なワンピースを着たアメリアを見た時、博士は胸がピリっと痛くなりました。



博士『アメリア、、、』


アメリア『は、か、せ』


シューン。

という音と共に、突然アメリアが動かなくなりました。


博士『しまった!少しばかり無理をさせすぎたか。今日のところはいったん休ませよう。ぼくも疲れた、(ゴホッゴホッ)』


と、再び、実験台に動かなくなったアメリアを寝かし、博士も、部屋に戻り少しの間、横になる事にしました。


どれくらいの時間横になっていた事でしょう?

突然、ドカン!!という大きな音が実験室の方から聞こえてきました!



博士『な、何事!?』


と、実験室に行ってみると!

そこには、大きな人の形をした穴が空いておりました。



博士『アメリア!』


と、急いで外に出てみると、そこには、博士が大事に育てている、一年中咲く不思議なヒマワリの花壇を、じっと見つめているアメリアがいました。



アメリア『はかせ、これは、なに?』


博士は優しく、そして少し悲しげに、教えてあげました。


博士『それは、ヒマワリという花だよ。』


アメリア『ひまわり、ひまわり、キレイ。ひまわり、スキ。』


博士は、アメリアの成長の早さに驚きました!


博士『わたしは、とうとうすごいものを創ってしまった。』


アメリア『ひまわり。』


博士『アメリア、よし、これから沢山沢山、この世界の事を教えてあげよう。』



次の日から博士は、アメリアにこの世界にあるいろいろなものや、いろいろな言葉を教えました。

なんと、アメリアは、瞬く間にいろいろな事を覚え、話せるようになっていったのです。



アメリア『博士、お茶のお時間です。』


博士『ありがとう。』


博士は、胸がチクリとなり思い出しました。





数年前、




アメリア『博士!お茶にしましょうよ♪』


博士『そうだね、そうしよう』


アメリア『綺麗なひまわり。』


博士『あと少し、あと少しで、一年中咲くひまわりにできるよ。』


アメリア『素敵ね、一年中見てられるなんて!』


博士『うん。キミと一緒に、、。』


アメリア『え、今なんて?』


博士『き、聞こえてるくせに、』


アメリア『聞こえてな〜い。もう一回!』


博士『からかうんじゃない!き、キミと一緒にずっと一緒に✨』


アメリア『チュ♡』


アメリアは、博士のほっぺにキスしました。


博士『さ、続き続き!ひまわりひまわり〜。』


アメリアは、そんな博士の照れた姿をずっと愛しそうに、見ていました。


アメリア『ずっと続くといいな〜。』



その何日か後、アメリアは、事故で天国に行ってしまったのです。


博士『アメリア、、、』






博士『アメリア、キミが楽しみにしていたひまわり、これからずっと見られるんだよ。』


アメリア『ずっと。』


博士『そう、ずっと(ゴホッゴホッ)』


と、博士は、咳込みました。


アメリア『博士、おクスリです。』


博士『ありがとう。』


博士は、もう治らない病気になっていたのでした。


博士『ぼくは、もう永くない、アメリア、キミは永遠のイノチを手に入れたのだよ、このひまわりのように、ずっとキレイに咲いていてくれ、それだけが、ぼくの願いだよ。』


アメリア『はい。博士。博士の願いは、わたしがかなえます。ずっと一緒に。』


博士『ずっと一緒か、アメリア。』


アメリア『はい、ずっと一緒に。』


博士『アメリア、、、。』


アメリア『一緒に。』



それから、ほどなくして、博士は、天国へと旅立ちました。




アメリア『博士、今日は、天気が良くてひまわりも、いつもよりキレイに咲いてますよ。』



アメリア『、、、博士、寂しいです。』



アメリア『ずっと一緒に。』



と、アメリアは、アメリアに繋がれている大切な回路を、自分の手で、


カチリ



と、切ってしまいました。



アメリア『は、か、せ』



シューンという音と共に、アメリアは、動かなくなりました。




数年後。





男の子『ねーねー、この、おばけ屋敷の庭に、一年中咲くひまわりと、真っ赤な服を着たカカシが立ってるんだってさ!ちょっと行ってみよ』



女の子『えー、見てみたい!!』


と、二人は屋敷の庭へと行きました。



女の子『わー、ひまわり沢山さいてる!あ、カカシだー!!』


男の子『ほんとだ!けど、このカカシ、なんか人間みたいだね。』


女の子『うん、なんか今にも動き出しそう。』


カチリ


男の子『なんの音?』


アメリア『は、か、せ。』



『わー!!!』と、二人は驚き、逃げ出しました。





アメリア『さぁ、博士、お茶のお時間です。博士、ずっと一緒に。』





              お〜しまい。

いいなと思ったら応援しよう!