映画「スープとイデオロギー」レビュー
評点:85点
とある方におすすめされ、東中野のミニシアターで観賞してきました。ヤンヨンヒ監督の実母の体験から現在の生活を描いたドキュメンタリー映画。
人には人のドラマがあるといいますが、お母様の壮絶な人生たるや、映画を最後まで観賞して、自分という人間の小ささを感じてしまいました。
朝鮮の歴史のかなりデリケートな部分に触れていますが、私たちがけして忘れてはいけない戦争や争いの悲惨さを痛感させられ、だんだん時代が流れていくことにより風化されがちな近年だからこそ、改めて歴史について考えるべきなのかもしれない。
また、ヤンヨンヒ監督の母親に尽くし母親を心底大切にする想いもひしひしと伝わってきて、自分の両親を大切にしなくてはということにも気づかせていただきました。
自分にも母親や父親がいますが、どのくらい大切にできているか、またもしもの時自分の生活や自覚を多少捨ててでも、母親や父親のために尽くすことができるのか。答えはなかなかでないかもしれないけど、向き合っていかなければいけないことだ。
監督自身も出演されつつ、またお母様や監督のご結婚相手である旦那様のご協力をはじめ、さまざまな方々のご協力から、こちらの映画が制作され公開されているのを知り、ドキュメンタリー映画の底知れぬすばらしさと可能性を感じました。
華やかで一瞬たりとも目が離せない映画や、物語が巧妙でつい見いってしまう映画も大切だし必要だが、このような人の根本に触れ様々なことを考えさせてくれる映画は、今の孤独になりそうな世の中だからこそ、求められるし、みなさんにとって本当に必要なものなのかもしれないです。