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海外で働けるトキシコロジストという研究者の道 - 7. トキシコロジストが脚光を浴びるINDファイリング

僕はアメリカの製薬会社でトキシコロジストとして働く日本人研究者です。トキシコロジストが最も脚光を浴びる瞬間が、INDファイリングをする時です。IND (Investigational New Drug)とは、新薬候補を初めてヒトに投与して効果と安全性を確認するために、アメリカの厚生労働省に当たるFDA (Food & Drug Administration)に研究開発資料を提出して、臨床試験を行う認可を求めることです。

トキシコロジストはINDを成功させるために、動物を用いた安全性試験(非臨床安全性試験)を行います。トキシコロジストは3つの非常に大切なことを提供する役割があります。
1. 新薬候補がヒトに投与されても十分に安全であることを確認する。
2. 動物試験から起こり得る副作用を予測し、その予防策を提供する。
3. 動物試験からヒトで初めて投与される時の安全な投与量を決定する。

これら3つのことを実際のデータに基づいて科学的かつ論理的に説明して、ハイクオリティなIND申請資料を作り上げることが、INDの成功につながります。

トキシコロジストが行う動物を用いた安全性試験は、新たな新薬候補を擁してINDファイリングをする際には、いつも最後に行う試験になります。なのでトキシコロジストはタイムラインのプレッシャーをいつも受けることになります。動物安全性試験から出てくる結果が、INDの運命を大きく左右するため、プロジェクトチームメンバーは皆、トキシコロジストが発表する結果に大注目します。これまで新薬の研究を行い、プロジェクトを育ててきたケミストやバイオロジストなどのリサーチグループのメンバーは、大事に育ててきたわが子を心配するように致命的な毒性が見つかっていないかどうかハラハラドキドキです。これからヒトの臨床試験を担当する臨床チームのメンバーも、開発に値する価値のある候補かどうか厳しく監視しています。トキシコロジストがめっちゃ脚光を浴びる瞬間です。









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