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アメリカにいるマイノリティ外国人から見た日本、何だかんだ言ってもやっぱりすごい!

僕はアメリカに渡って20年近く、働いている。今働いている会社には、もちろんアメリカ人はたくさんいるが、さまざまな国から移民してきた外国人もいっぱいいる。中国人やインド人は、アメリカ人と同じくらいの比率でいて一大勢力を作っている。僕以外に日本人はいなくて、日本人はマイノリティだ。その他にも中近東、東南アジア、アフリカなどから来たマイノリティ外国人がいる。そんなマイノリティ外国人同士で話していて、よく言われることが、「日本ってすごいよね! あんな小さな国なのに、アメリカ・ヨーロッパと肩を並べて発展してきて」だ。「オワコンだ。世界から置いていかれている。」などと言われている日本だが、世界全体で見たら、まだまだ捨てたもんじゃない。

世界有数の企業がだくさんあってすごい!

僕の住んでいるボストンは、冬はマイナス10℃を下回るような極寒の地だ。車は冬の凍結した道でも滑らないようにとAWD (All-Wheel Drive)のものが多い。日本車はめっちゃ人気がある。もちろん世界のトヨタ、ホンダ、ニッサンもとても人気があるが、こちらでその多さに驚くのがスバルだ。高性能のAWD技術が売りのスバルは、デカくて燃費の悪いアメ車のAWDと差別化して、比較的お値打ちで小回りのよいめちゃスムーズな走りのAWD車でアメリカで大成功しているように感じる。同僚の中でも、街中で車を見ていても、スバルのアウトバック、フォレスターは大人気だ。

自動車業界だけでなく、電気機器のソニー、パナソニック、日立、カメラのキャノン、ニコン、ゲームの任天堂など、まだまだ世界に誇れる日本の企業はたくさん話しに上がる。

 グローバルなルール作りをリードしてすごい!

グローバルなルール作りでも、日本は、アメリカ・ヨーロッパと共にリードしてきたと思う。僕のいる製薬業界の話だが、ヒトの命に関わることなので、新薬の承認には一定のグローバルなルールがある。ICH (International Council for Harmonisation)ガイドラインというもので、それを満たしたグローバル基準で製造、研究・開発、臨床試験を行わないと、新薬として承認されない。今では、世界の殆どの国が関与するガイドラインだ。しかし、30年ほど前のガイドライン発足時は、アメリカ・ヨーロッパと並んで日本のみが製薬の3極として関与し、土台作りをした。だから、グローバル化した今でも日本はまだ一目置かれている。

会社にはマイノリティ外国人はたくさんいるが、僕以外、全てが学生時代にアメリカ・ヨーロッパの英語圏の大学・大学院に入り、そこで教育を受けてアメリカで研究者となっている。一方、僕は全ての教育を日本で済ませ、日本の製薬会社で社会人を経験し、37歳になってようやくアメリカに渡った。日本に生まれていなかったら、そんなに年を食ってから、アメリカに渡って、働くことはかなり難しかっただろう。たまたま僕が日本に生まれ、しっかりとした教育を受け、アメリカ・ヨーロッパと肩を並べて業界をリードしていた日本の製薬会社で働いていたから、アメリカで働くことができたのだ。

世界の端っこの小さな島国なのにすごい!

地球は丸いので端っこはないはずだが、アメリカ・ヨーロッパ中心の世界地図で見ると、日本は世界の端っこの極東に位置する小さな島国だ。マイノリティ外国人と話していると、「日本って、あんな端っこにある小さな島国なのに、アメリカ・ヨーロッパと肩を並べて世界をリードしてきてすごいよね!」と言われる。日本にいると、イスラム圏の人に少々偏見を持ち気味かもしれない。でも、中近東や北アフリカからアメリカに移住した同僚は、同じマイノリティ同士でもあり、僕はとても親近感を持つ。しかも彼らはとても理性的で、謙虚で、穏やかで、話していて清々しい。彼らに、つくづく「日本ってすごいよね!」と言ってもらうと、とても日本人であることがうれしくなる。彼らの母国では、日本はお手本にしたい憧れの存在なのだ。

すごいと言われても、甘んじて安心はしていられない!

「日本ってすごい!」と言ってもらえるのはとても嬉しいけど、やっぱりそれは過去の遺産でのことが大半だ。昔は、島国で日本人一丸となってがむしゃらに働くことが、アドバンテージとなった。しかし、グローバル化が進み、ひとりひとりが自分の頭で考えて個性を出さなければならない時代になると、多様性を欠き、はみ出す人間を叩く風潮の日本がめちゃディスアドバンテージになってしまったと感じる。

「日本ってすごい!」と言ってもらえたら、それはありがたく受け止め、でも、それに甘んじず、日本人として自分ができることに集中して取り組み、自分の人生を生きたい!


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