かつエッグ

「かつエッグ」と申します。 「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」「ノベルアップ+」などのサイトに、かつエッグの名で小説を投稿しています。ジャンルは主に、ファンタジー、ホラー、SFです。  ここでも、作品を公開していきます。読んでやって下さい。

かつエッグ

「かつエッグ」と申します。 「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」「ノベルアップ+」などのサイトに、かつエッグの名で小説を投稿しています。ジャンルは主に、ファンタジー、ホラー、SFです。  ここでも、作品を公開していきます。読んでやって下さい。

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異世界ファンタジー「アンバランサー・ユウと世界の均衡」第二部「星の船」編 AmazonKDPで発売中!

AmazonKDPより、電子書籍で長編異世界ファンタジー「アンバランサー・ユウと世界の均衡」の第二部「星の船」編を発売しました。  超絶の力を持った存在「アンバランサー」として異世界に転移したユウ。  剣と魔法の世界で、恋人となったエルフの大魔導師ルシア、その弟子の魔法少女ライラ、魔剣イリニスティスを操る獣人少女ジーナとともに、時空を股にかけた大冒険を繰り広げる!  王都を訪れたユウたち一行は、超古代文明の遺産を悪用する盗賊団との戦いに巻き込まれるが、その背後には孤独な禍つ

    • 4+3=7

       初期研修医として忙しく働くわたしは、当直明けの帰路、空き地に佇む人影を見つけて驚く。それは、わたしと同じ医学部に通っていたが、学業途中でなぜか大学を辞めてしまい、消息不明となっていた同級生だった。わたしは彼に、何があったのかを問いかける——。 第2回カモガワ奇想短編グランプリ最終選考通過作です。 1)  次々と運びこまれる患者に、息つく暇もなく働きつづけたERでの当直あけ、わたしは眠気をこらえながら、車を走らせていた。  アパートへの帰り道、立ち入り禁止のテープが渡され

      • とっても揺れるバスの席 (前世2)

         俺とリナは、ゼミの先輩と後輩の中である。ある日、俺が通学のバスに乗ると、そこにリナも乗っていた。リナと俺は、バスに揺られながら、リナが先日受けた前世カウンセリングの話をするが……  たわいのない話です。気楽にお読み下さい。これは、「前世」という作品の続編です。あちらを先に読まれた方が、多分楽しめるでしょう。  講義が終わり、大学発のバスに乗る。  いつもは原付で通学しているが、今日は飲み会があるので、久しぶりにバスにしたのだった。  大学前停留所には、もう学生の列ができ

        • しとりくん

           「ぼく」のところに、一年間だけ在籍した小学校の同窓会通知が届く。転校を繰り返してきた自分に、そんなものが来るとは思っていなかった。出席することに決め、転校以来訪れたことのない町に向かう。変わってしまった町並みに戸惑う中、一人の同級生のことを思い出すが——。 ……カタン。  いつの間にか、ぼんやりしていたのだろう。  響いたその音に、ぼくははっと目を開けた。  扉の郵便受けに、何かが配達されたところだった。  見ると、うす緑色の封筒が一通。  封筒の隅には、「戸田山小学校

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        異世界ファンタジー「アンバランサー・ユウと世界の均衡」第二部「星の船」編 AmazonKDPで発売中!

          遭難者

           おや、旅のお方、どうされました。  こんな吹雪の中、山小屋にとびこんでこられるとは。  なに、お仲間とはぐれてしまわれたと。  それはいけませんなあ、なにしろこのあたりには、ガモという化け物がでますでなあ……。  ——「小説家になろう」サイトの、しいなここみ様の自主企画「宇宙人企画」参加作品です。猛暑の候、これを読んで涼しくなって下さい。  おやおや、どうなすった。  こんな荒れた天気に、あわてて、小屋にとびこんでこられて。  えっ、仲間たちとはぐれてしまわれた、と。

          通夜のあと

           永く会うことのなかった、高校時代からの友人。彼の葬儀が、友人が暮らした山奥の村で営まれる。私は一人、通夜の斎場を訪れる——。  斎場の灯りだけが、暗闇の中に浮かんでいた。  その背後には大きな山の影がくろぐろと迫っている。  曲がりくねった山道をぬけたその先に、その斎場はあった。  ここまで車を走らせても、対向車は一台もなかった。  私は駐車場に車を乗り入れて、停めた。  車を降りると、たくさんの蛙の鳴き声が私を包んだ。  斎場の灯りが、田圃の水面に反射して揺れている。

          言葉の果てる場所

           異国での暮らしに終止符をうち、故国に帰ろうと決めた私は、最後の思い出にと、ヨーロッパ最西の地、ロカ岬を訪れる。そこで知り合った、元詩人と名乗る老人から、「言葉の果てる場所」を見にいかないかと誘われて——。 第2回幻想と怪奇ショートショートコンテストに応募しましたが、残念ながら落選した作品です。 「ロルカが好きなのかね?」  ロカ岬行きのバスで、隣にすわった老人からスペイン語で話しかけられた。  私が手にしていたペーパーバックの詩集に目をとめたのだろう。  私は、あまり上

          言葉の果てる場所

          ふるさとに帰ろう

           ピンサロで働くあたし。新しく入店してきたマリカの面倒を見てあげる。マリカは何かに怯えているようだ。あたしは、なんとかマリカの力になりたいと思い、話を聞く。そしてある日、とうとうマリカは——。 「小説家になろう」サイト夏のホラー2023応募作品です。  ズンズンと大音量の音楽が鳴りひびく中、 「今日も、レナちゃんの田舎の話を聞かせてほしいな」  と、タカハシさんが、あたしの耳元に顔を近づけて言う。 「いいよ」  と、あたしもタカハシさんの耳に顔を近づけて答える。

          ふるさとに帰ろう

          激しい雨が降る

           仕事の帰り、大雨のため電車が緊急停車する。車内で運転再開を待つ私は、今は遠い故郷に思いを巡らす。すべてが消えていく。 藤井佯様主催の「故郷喪失者アンソロジー」に応募したものの、残念ながら採用にならなかった作品です。  列車が、線路の途中で止まった。  次の駅まではまだかなりの距離がある。  窓の外には暗闇があるばかり。  窓ガラスには激しい雨が打ちつけていた。  豪雨のため、危険なので、いったんここで停止しますとの車内アナウンスがあった。  私は、ため息をついて、座席に

          激しい雨が降る

          ガネーシャとヴリトラと

          Kaguya Planet様のマイクロノベル募集に応募したものです(落選しました) カレー、もしくはラーメンを題材に、300字以内の作品を書くというものでした。  昼食に、神保町のカレー屋に入り、一皿に二種類のカレーが載ったセットを選んだ。二種のカレーは皿の上で太極模様を描いていた。  緑のサグカレーを一さじ掬った。口に含む。  黄金象頭の神が現れて言った。我はガネーシャ也。  黄色のチキンカレーを掬った。口に含む。  赤肌蛇身の神が現れて言った。我はヴリトラ也。  二柱の

          ガネーシャとヴリトラと

          走れ山田

           ぼくは、登校の途中、必死に自転車を走らせてくる、あこがれの立花さんに会う。立花さんは、お父さんが忘れた書類を、駅まで届けようと急いでいたのだ。転んでしまう立花さん。ぼくは立花さんを助けるが、立花さんは、もう電車に間に合わないと落胆する。そのとき、ぼくの頭に、秘策が閃いた! 小説家になろうサイトの、しいなここみ様の自主企画「砂糖菓子のような甘いラブストーリー」に投稿した作品です。ラブストーリーといえるかどうかはわかりませんが、この作品を「僕の心のヤバいやつ」に捧げます。

          ゆめのきしゃにのろうよ

           ゆめのきしゃにのるほうほうをおしえるよ。青いあめと、のりたいきしゃのえをよういして、ふとんにはいるんだ。じゅんびはできたかな? さあ、きしゃがやってくるよ。きてきがきこえてくるよ。  「小説家になろう」サイト、冬の童話2024 参加作品です。  お子様といっしょに字を見ながら、読み聞かせることを想定しています。  きみが、ゆめのきしゃにのりたいとおもうのなら、じゅんびがひつようだ。  まず、お母さんにたのんで、あめをかってもらおう。  あめは、どんなあじでもいいけれど、

          ゆめのきしゃにのろうよ

          雪の花が咲く

           ——雪山で遭難したぼくの命は、風前の灯だった。死を覚悟したぼくは、自分の過去をふりかえる。悔やまれるのは、恋愛経験をいちどももてなかったことだ。ぼくには、いちどだって。いや、まてよ。思い出せ。そうじゃなくて、ぼくには、あの——。 ホラーです。 「小説家になろう」サイトで、しいなここみさまの自主企画「冬のホラー企画2」参加作品です。  粗末な山小屋の外では、吹雪が吹き荒れている。  強い風が吹きつけ、ぎしり、みしりと小屋が軋む。  隙間からは雪が忍びこみ、小屋の中にも積も

          雪の花が咲く

          雪兎だより

           おさむくん、元気ですか。ぼくの今の暮らしを伝えようと、がんばってお手紙を書きました。君の住むところまでずいぶん遠いけど、ちゃんとこの手紙が届くといいなあ。 SFです。  おさむくん、お元気ですか?  ぼくは、元気です。  だけど、この手紙ほんとうに君に届くのかなあ? ぼくのいるところは、ずいぶん遠いから、ちゃんと届くのか心配です。でも、がんばって書くね。ぼくがどんなふうに毎日過ごしているか、知ってほしいから。  これは昨日の出来事です。  朝、外を見たら、夜中に雪がふ

          滅びの呪文

           幼稚園のころ。泣いているぼくの前に現れたその男は、ぼくに「滅びの呪文」を授けた。世界を滅ぼすというその呪文、それは発音することの難しい呪文だった。ぼくは、再現できないその呪文を支えに生きてきたが、クリスマスが近いある日、悲惨なニュースを目にして——。  小説家になろうサイトの、しいなここみ様の「冬のホラー企画2」参加作品です。  ぼくは、滅びの呪文を知っている。  もう何度も唱えようとした。  でも、うまくはいかなかった。  あれは、幼稚園の頃だったと思う。  仲間は

          同行二人

           ある日、妻が、お遍路さんに行きたいと言い出した。わたしは妻に連れられて、八十八カ所の霊場巡りの旅に出る。だが、旅を続けるにつれて、わたしと妻の回りには——。 (物語の必要上、かならずしも現実のお遍路に即していません。ご了承下さい) 零)  ——お遍路さんに行きたい。  夕食のテーブルで、妻が言った。  その時いつものように、居間のテレビは、定時のニュースを流していた。  戦争や政治の大きな報道。  経済指標の数字。  高速道路での多重衝突のニュース。  横転し炎上し