MMTへの誤解を解く その1 税金は財源ではない
このショッキングな見出しを理解するために
そもそも「通貨」とは何か、ということを
ちょっと考えてみましょう。
昔むかし・・・
金貨・銀貨・もしくは年貢のお米など
現物(商品貨幣)を回すことで
国の経済が成り立っていた時代に
支配者は自分たちの統治の維持のために、
「租税」という仕組みを始めたと
理解します。
そういう「ならわし」の名残として、
今も「税金」というシステムが
残っているわけですが、
時代の変遷とともに、人口も増加する中、
金貨・銀貨だけでは手詰まりになり、
「通貨」そのものの在り方が
変貌を遂げざるをえなくなりました。
従来の通貨は、
金貨・銀貨の代用として(金本位制)、
紙幣そのものにあたかも金銀の価値が
宿ったものとして、扱われてきました。
(今の私たちもまだ、そういう観念で
一万円札を見てしまいます。これこそ
が、税金に対する誤解の根源です)
しかし、人口増加とともに、
そのシステムがひっくり返りました。
通貨(日本銀行券)が
金貨・銀貨の代用ではなく
日銀が発行する「借用書」に
転換したわけです(信用貨幣)。
これは大変に重要な転換で、
写真にたとえるなら
ネガフィルムの画像の白と黒が反転して
ポジティブ画像になるぐらいの
通貨の在り方の大きな変化です。
にもかかわらず、
いまだに「徴税」というシステムが
残っているという
ねじれ構造の状態にあるのが、
現代なのだと考えます。
徴税と称して、借用書を国民から回収して
いったい、どうしようというのでしょうか?
ちょっと考えてみてほしいのですが、
例えば、自分が誰かに物を借りて、
それと引き換えに借用書を渡したとします。
その借用書が、巡り巡って(※)
自分の手元に戻ってきたとしたら、
その戻ってきた借用書は、
役割を終えたと考えますよね。
自分が発行した借用書ですから。
戻ってきたことで
もはや無効になったわけです。
では、
政府日銀が発行した通貨(借用書)が
世に出て、
徴税という形で政府に戻ってきた場合、
その通貨は有効でしょうか?
借用書は、発行元に戻った時点で
紙くずになります。
同様に、
徴税で集まったお金は
紙幣であれば、紙の形こそ残るでしょうが、
電子決済であれば、
徴税の瞬間に蒸発することになり、
行政支出に使われることは
有り得ないわけです。
次のセクションでは、
視点を変えて話をしてみます。
(※)金額のみを記した小切手を想像してもらえれば。