靴紐がたりない
新しい革靴を買った。
ショーンハイトというブランド名である。
フィリップ・K・ディックの「ユービック」に出てくる所長と同じ名前だ。
ショーンハイト氏(本当の名前はもっと長い)は、死者を冷凍保存して、死後も電話で喋れるようにするというイカレた施設の所長だ。
よってショーンハイトという名前も最高にCOOLであるといわざるをえない。
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靴紐を通す。
自分が紐を通すと、たいてい足りなくなる。
今回の靴もほんのちょっとしか結ぶところがなくなった。
これでは蝶結びができない。
一穴とばしで通し直した。
見た感じちょいと間抜けかもしれない。
だが誰も人の靴紐など見てはいまい。
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自分の通し方がゆるすぎるのかもしれない。
ただ新しい靴の場合、紐をあまりきつく通すと、甲に変なクセがつきやすくなる。
変なクセがつくと、屈曲部が足に食い込んで猛烈に痛くなる。
そして変なクセは一度ついたら直らない。
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私の足が幅広なのも原因かもしれない。
しかし私の足は本当に幅広なのだろうか。
日本の人は靴をゆるやかにして履くのを好む。
足が自由になるよう、やたら幅が広い靴を選びがちである。
そのせいで自分の足幅は広いと錯覚している人が多い気がする。
私も勝手に幅広と思ってるだけのニセ幅広足ではないのか。
本当はせいぜい2Eとかではないか。
そう思って巻き尺で測ってみた。
足長・足幅・足囲を計測してJIS規格の表に当てはめる。
26.5cmの4Eだった。
ニセでもなんでもなく、ただの幅広足だった。
そりゃ紐も足りなくなる。
そして4Eの靴はダサい。
悲しい。
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自分は強化蝶結びをするので、紐の結ぶところはちょっと長く取りたい気分だ。
その気分もまた、紐の足りなさに拍車をかけている。
強化蝶結びはIan's Secure Shoelace Knotという。
イアンさんのホームページに載っている。
この蝶結びをすると勝手にほどけることがなくなる。
蝶結びの革命児だ。
Ian'sというぐらいだから、イアンさんが開発した結び方だろう。
イアンさんはほかにも多種多様な靴紐の結び方を紹介している。
そして結び方よりたくさんの紐の通し方も紹介している。
こと靴紐に関して、イアンさんは最高にして最強の男なのだ。
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