見出し画像

ポディマハッタヤさんとラジオ

私の目標はポディマハッタヤさんである。
彼のようになりたい。

ポディマハッタヤさんは小学校の教科書に出てくる。
スリランカあたりの人だ。
ドリルで鉛筆の芯の原料を採掘している。

朝起きて鉱山へ行く。
頑張って働いて家に帰る。
子どもの宿題を見てあげる。
奥さんと一緒にラジオのニュースを聞いて寝る。

そういう生活をしている。
立派な生活だと思う。

ためしに自分のポディマハッタヤ指数を計測してみたが、3ぐらいである。
朝起きて仕事に行くのだけがいまのところ唯一の共通点だ。
道のりは険しい。
ただ、以前は昼から仕事に行っていたので、だいぶ進歩したとも言える。

※ポディマハッタヤ指数とは
どれだけポディマハッタヤさんに近づいたかを表した指数。
自分で自分に「あなたはポディマハッタヤさんですか?」とアンケートすることで計測される。

手段

今後の改善策を考える。
これから奥さんを作ったり、鉱山で労働することは、にわかには厳しい。
周到な準備とトライ・アンド・エラーがもとめられる。
ソ連が重工業を推進した時と同じように、5か年計画で行く必要がある。

しかしすぐできることがある。
ラジオだ。

ラジオのニュースを聞いて寝るのは誰でもできる。
これでポディマ指数は3から7くらいまで上昇する。
対昨比200%以上である。
私の株価もうなぎのぼりだろう。

ラジオ

そう思ってしばらくNHKラジオのニュースを聞いてから眠ってみた。
これはいいかもしれない。

私はこれまでYouTubeの時事解説系チャンネルばかり見てきた。
そのため、知らぬ間に思考が右よりに先鋭化していた。
このまま10年もすれば、立派な陰謀論爺さんになっていただろう。

ところがNHKニュースは無味乾燥である。
聞いてるうちに、私も先鋭思想を忘れてしまった。
おそらく10年経ったら、ノンポリ爺さんになっていると思う。

そのころにはウクレレとか習っているかもしれない。
いい感じである。

反省

私のような貧乏中年男性というのは思想的にもろいのかもしれない。
というのが危機感だけは若い頃より増しており、鬱屈したエネルギーが溜まっているからである。

そこへ来てYouTubeとか見ると、たちまちテレビや新聞では教えてくれない真実が明らかになったと思いこんでしまう。
反省だ。

ポ数を上げようとした結果、思想がより穏健になった。
やはりポディマハッタヤさんを目指すことは正しかったのである。
私はこれから5か年計画でポディマハッタヤ化を推進していこうと思う。

追記

ポディマハッタヤさんは2021年にコロナでなくなっていた。
謹んで御冥福をおいのりします。

日本人を愛して愛された…教科書に登場、コロナ感染死したスリランカ人男性を悼む声続々 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

参考

一本の鉛筆の向こうに(小学校4年) | 教科書 time travel | 教科書クロニクル | 光村図書出版 (mitsumura-tosho.co.jp)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?