歩行派だってがんばってるんだよォ
私は暇人なので、どこかに出かけるときは、片道5kmぐらいまでは徒歩で行く。
興に乗っているときなら、片道20kmまではOKだ。
だから私は自分のことを「歩行派」と呼んでいる。
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片道20kmになると、行くのに4時間以上かかる。
歩行派のくせに、私は歩くのが遅いのだ。
よって、昼飯を食う約束のために朝の8時前に家を出ることになる。
で、昼飯を食って、家に帰ったら夜になっている。
一日が歩行で始まり、歩行で終わっている。
そう聞くとつまらなそうだが、歩行自体レジャーの感があるため、実は楽しい。
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考えてみてほしい。
あなたが旅行に行ったとする。
旅行先であなたは何をしているだろうか。
見物?買い物?おいしいものを食べている?
いや、ほとんど歩いているだろう。
すなわち、旅行のメインは歩行であり、仮に旅行文化のない宇宙人がいたとして、彼らが上空から旅行している人間を見たら、きっと「あの人間たちは歩いている」と理解するはずだ。
だから旅行≒歩行と考えて問題ないのであり、歩行しているということは小さい旅行に出ているも同じである。
歩行派は旅人であり、ノマドであり、松尾芭蕉の奥の細道に出てくる「舟の上に生涯をうかべてる人」とか「馬の口とらえて老いを迎えてる人」とかは余裕で友達だ。
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歩いているとき、暇じゃないですかという質問がありそうだが、実際暇ではない。
外部環境の観察は必須だし、また脳内ライブ配信を行わなければならないため、むしろやることがたくさんある。
それも飽きたら、スマホでラジコとか、オーディブルを聴いている。
歩行派は常にチャリ民と冷戦状態にあるが、聞くところによると、法律の改正により、チャリ民はイヤホンしながら運転できなくなった模様である。
哀れチャリ民、好きに音楽を聞くこともできないとは。
ただ結局は安全のための法律であり、歩行派も法律によらず安全に注意して、油断して事故ったりしないようにしなければならない。
特に歩行中の事故はすぐ命にかかわるので、油断せず周りの様子に気を配るべきだ。
歩きスマホなどもってのほかだし、夜はビカビカに己を光らせなければならない。
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実際のところ、私は歩行派のなかでは最弱に属する。
ネットで「徒歩 旅行」などと検索すると、徒歩で日本一周した人とか、100kmウォーキングを楽しむ人とか、強者がぞろぞろいることがわかる。
宮本常一の「忘れられた日本人」にも、ふと友達の顔が見たくなったというカジュアルな理由で、往復80kmを夜っぴて歩いた人が出てくる。
自分も、もうちょっと痩せたら行けそうな気がするが、気のせいかもしれない。
これからも謙虚に、歩いて目的地に向かう所存だ。
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