スマホの詐欺アプリを開発している輩のところにジェイソン・ステイサムを送り込みたい
父のスマホが壊れたという。
なにか広告のようなものがエンドレス表示される。
操作できない。
そんな話だ。
問題のスマホを確認する。
たしかにどんどん広告がわいてくる。
詐欺アプリが多数入っているようだった。
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詐欺アプリが入ってるよと父に伝えた。
父は、そんなものを入れた覚えはないという。
そりゃそうだ、詐欺なんだから。
三十分ぐらい話してわかったことがあった。
父は「無料」という文言があったらすべて押してとりあえずインストールしているのだ。
「無料」は詐欺アプリの印だから押さないようお願いした。
「嫌だよ、損したくないもの。今後も押すよ!」
父はなぜか自信満々だった。
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スマホの性能が低いのも問題だった。
父は「俺は電話しかしないから!一番安いのでいいから!!」とショップで強弁した。
当然ながら、一番安いスマホがあてがわれた。
パソコンとかスマホで「一番安い」というのは極端な話、「ショボすぎてなにもできない」ということを意味する。
電話やLINEすら満足にできない。
父はなんとかしようと、メモリ清掃的なアプリを入れる。
もちろん詐欺アプリである。
インストールすると、「緊急!スマホが爆発します!防ぐにはこちら!」みたいな広告が出る。
父は慌ててそれを押す。
するとまた詐欺アプリがインストールされる。
メモリ消去とか、性能アップみたいなのは詐欺の印だから押さないでとお願いした。
「おれはそもそもそんなバカみたいなことはしていないから大丈夫!」
何も大丈夫ではない。
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とりあえず詐欺アプリを根絶して復旧させた。
しかしこのままではすぐに元の木阿弥である。
広告ブロックを入れたら広告が出なくなる。
父が「無料」とか「スマホがサクサク!」とかを押す機会も減る。
しかし広告ブロックというのは特定のブラウザを使わないと有効にできない。
父にはブラウザという概念がない。
無自覚でGoogleアプリとAndroid版Chromeを使い分けている。
これらのアプリには強力に広告をブロックする手段が搭載されていないようだった。
Googleは広告を出してる側の企業だからだろうか。
面倒なものだ。
広告問題は解決できない。
ノーガード戦法でいくしかない。
一応、Chromeの「広告を減らす」的な設定をオンにしておく。
これはオンにしても減ってる感がない。
また、しょぼいスマホを使っているのは可哀想である。
普通に使えるやつをプレゼントした。
Androidじゃないと嫌!とのことだったので、Pixelだ。
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それからしばらく経った。
帰省のたびに詐欺アプリを消してあげていた。
それも半年ほどで不要になった。
そもそも詐欺アプリが入っていないのだ。
父も詐欺アプリの匂いを嗅ぎ取る嗅覚を身につけたらしい。
たぶん父のことだから、町内会の飲み会で偉そうに、
「スマホに無料とか出てたら詐欺だから。
タダより高いものはない!」
とか講釈をたれているのに違いない。
成長である。
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