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「君も少年探偵団になれる」とは何か 他

本は思考のノイズ

このところバイトが苦しい。
本が読めなくなった。
もっぱらAudibleで、脳に負荷がかからないような本を聞いている。

人間が仕事に没頭する。
思考・精神を仕事のことでいっぱいにしておかなければならない。
仕事以外のことが考えられなくなる。

一方、本というのは思考して読むものである。
よって、仕事しか考えられないときは本が入り込む余地がない。
ある意味、本は「思考のノイズ」なのだ。
だから働いていると本が読めなくなる。

三宅 香帆「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」ではそのような説が提唱されていた。
今の自分も頭がいっぱいで思考のノイズを受け入れられないということだろう。

以前、正社員で働いていた頃はもっとひどかった。
そのころはAudibleもなかった。
江戸川乱歩の少年探偵団とか、シャーロック・ホームズくらいしか読めなかった。

君も少年探偵団になれるとは何か

おかげで少年探偵団には詳しくなった。
「君も少年探偵団になれる」という冊子を出すのがその頃の夢だった。

ちょっと脱線する。
自分は子供の頃、夏休みの宿題が嫌いだった。
読書感想文など、どうやって書けばいいのかわからない。
大人に聞いても、感想を書けばいいんだよ、などと言われる。
途方に暮れてしまう。

時代の進歩はすさまじい。
現在の小学校には"読書感想文テンプレート"なるものが存在するという。
問いに答えたり、穴埋めをしていくことで、読書感想文ができあがる。
すごい。
文明開花じゃん。

「君も少年探偵団になれる」も似たようなものだ。
半自動で少年探偵団を完成させることができる。

懸念

こういった冊子はもう存在するかもしれない。
というのが少年探偵団はマンネリズムの極北のような存在だからだ。
毎回、珍妙かつ回りくどい方法で怪人二十面相が富豪の子女を脅かす。
最後は小林少年らと明智探偵の活躍で二十面相は滅びる。

筋道は決まっているので、あとは、

  • 二十面相は何に化けるか(魔法使いタイプ・怪獣タイプ・不審人物タイプから選べるよ!)

  • 捕らえられた少年たちのさいなまれ方 (痛くない方法にすること)

  • 少年が食べるごちそうはビフテキでよいか

  • 現在のお小遣いの相場

  • 七つ道具のラインナップ(縄梯子は必須)

  • 縄梯子の素材(デフォルトは絹)

  • 縄梯子はいつ使うか(かならず使われなければならない!)

などを決めれば、誰でも少年探偵団ぽいものが書ける。

同じようなワンパターンものとしてヤッターマンがある。
これはすでに「ヤッターマン 理論と実践」というホームページ(現在は消滅)にて分析されている。
だからどこかにヤッターマン脚本テンプレートが存在してもおかしくない。

この支配からの卒業

しかしバイトですら思考が仕事まみれになるのだからどうしようもない。
早く借金を返済して東京を脱出し、ユートピアを探しに出かけたいものである。

参考

なぜ働いていると本が読めなくなるのか – 集英社新書 (shueisha.co.jp)

ポプラ社 「少年探偵団」ワールド・クロニクル!| ポプラ社 (poplar.co.jp)