ちいさなお店がオリジナル商品をつくる意味。
先月、左ききの手帳2021を発売して、左ききの道具店のオリジナル商品が10点になりました。SKUで数えるとバリエーションでもっとあるけれど、まあ細かいことは置いておきます。
で、せっかくなので、まずは発売した順番に紹介します!
1.オリジナルクリアファイル「シロクマ」/左右兼用
記念すべき第一弾はユニバーサル仕様のクリアファイル。これは開店とほぼ同時に発売しました。新しいお店だから、新しい商品がほしい。でも予算はかけられない。というなかで、取り組みやすかったのがこれ。指抜きの部分が左右兼用で、使ってみると想像以上に便利。シロクマもかわいい。
2.オリジナル缶バッジ「シロクマ」
こちらも開店とほぼ同時発売。道具というよりグッズ的な立ち位置になるのかな。シンプルで、どこにでも付けやすいデザイン。ピンの差し方向が通常と逆の左利き仕様になっていて、左利きさんが付けやすいのです。
3.左ききの道具箱
これはかなり気合を入れてつくった商品。入学、入園、進級の季節に、左利きのお子さまに特別なプレゼントができたらな……という思いでつくりました。左手で開けやすい左開き。開けると広がるシロクマの世界。色も選べる4色。封入するリーフレットもこだわりました。小学生向けセット、園児向けセットもご用意しました。
4.左ききの一筆箋
左手で書きやすい一筆箋を目指して、2種類の便箋を採用しました。ひとつは「斜め罫線」。右下がりになった罫線に沿って書くと文字が擦れにくくなっています。もうひとつは「縦書き」。こちらは言わずもがな左手で書く人は手慣れたもの。紙は書き心地滑らかな上質紙を採用しました。ギフトにも人気。デザイナーは左ききの道具店のロゴも担当いただいている、なかさとゆうみさんです。
5.左ききの手帳2020
初めてのクラウドファンディングから生まれた商品が、この左ききの手帳2020です。きっかけは印刷元の菁文堂さんのTwitter。「左利きに向けた手帳を考えていて・・・」というツイートに店長が即反応。達成率は見事214%という結果となり、左手用手帳の可能性を感じさせました。デザイナーは白澤真生さん。左利き用だからと変に凝ったことはせず、シンプルで王道の手帳を目指しました。
6.左ききのシャツ with 10YC
ほかのブランドとの初コラボ商品が「左ききのシャツ with 10YC」。そもそも、僕がここのシャツ大好きなんですよ。サラッとした肌触りとノーアイロン、速乾の機能性が最高で、毎日のように着てたんです。で、あるとき10YC代表の下田さんと出会うきっかけがあって、ポップアップイベントをしようという話に。さらに10YCさんに左利きさんがいることを知って、お互いに盛り上がって、左手用のシャツを作れないかと誕生したのがこの商品です。合わせとポケットが逆。もちろん着心地は10YCクオリティ。リピーターが多い品で、3着、4着と買い増しされる方もいます。色はホワイトとネイビー。刺繍ありなしのバリエーションがあります。
7.左ききのマグ
「左手で持ったとき、ちゃんと柄がこちらを向いてくれるマグがほしい」という店長の要望をもとに誕生。僕のコピーライター業のクライアントである(株)ケーアイさんのブランド「ORIGAMI」のコラボ商品。僕自身が製造工程からじっくり取材したことがあるので、安心して任せられました。ちなみにORIGAMIのドリッパーは世界的なバリスタにも知られる逸品で、クリーンな味が引き出せると評判です。もちろん我が家はこれで毎日コーヒーを飲んでいます。
8.左ききの扇子
2019年から扱い出した左利き用扇子。発売当初は、既存の柄を7種展開。どちらかと言えばトラディショナルな柄がメインでした。でも、せっかくなら普段着にも合う柄がほしいよね、という店長の声から生まれたのが、オリジナル柄の2種。デザイナーは手帳も担当いただいた白澤さん。日常使いにもバッチリです。
9.左ききのレターセット
一筆箋もそうですが、もともと店長が文具好きということもあって、書くにまつわる道具が増えていく傾向にあります。レターセットもその流れで生まれた商品。デザイナーは「兎村文具店」でオリジナルの素敵な文具を販売されている兎村彩野さん。店長がファンでした。もはや店長のための商品といって過言ではないでしょう(言いすぎました)。
10.左ききの手帳2021
先月発売となった左ききの道具店の2021年版。昨年のクラウドファンディングでは、発表が手帳シーズンのかなり後半での投入となりそれが心残りでした。今回は満を辞しての9月発売。特設サイトもつくり、僕らなりに勝負をかけているアイテムです。ネイビーとアイボリーの2カラー。左手のための手帳のコンセプトは変わらず、より使いやすい調整を入れました。詳しい説明は特設サイトからどうぞ!
ふー。
開店して2年と少し。振り返ってみれば結構つくってきたものです。どれも思い出があって愛しい道具たち。気になった商品があれば、ぜひチェックしてみてください。
さて、ここからは「なぜ小さなお店の僕らがリスクを背負ってオリジナル商品をつくるのか?」について、少しメモしておこうと思います。これからお店を始める人にも参考になるかもですが、主にもう少し先の自分のために。今この瞬間の思いって、いつのまにか風化しちゃうもんね。
で、さっそく結論から。
自分たちがほしいものが、ほしいから。
です。うん、全然参考にならないですね。。
シロクマの一筆箋。洋服にも合わせられる左手用扇子。左手で書くための手帳……などなど、結局よそで買えないのなら、自分たちでつくるしかない。そんなわけで、うちのオリジナル商品は「僕らが(正確には左利きの店長が)使いたい」から生まれた商品です。
と、これが偽らざる動機であり商品開発のモチベーションなのですが、もちろん経営的な狙いもあります。「お店の独自性を高めるため」だったり、「利益率を向上させるため」というのもそうですね。
それと、書きながら気付いたのですが、僕らはオリジナル商品を通して「自分たちのスタンスの表明」も行っているのかもしれないです。
たとえば、僕らが商品開発をするときに大事にしていることがいくつかあるんですよ。
・自分たちがほしいものだけをつくる(マスト)
・近しい商品カテゴリーの市場価格に準ずる(手が届きやすい)
・ニュートラルなデザイン(性差や世代を感じさせない)
・左利きの人が嬉しい工夫を入れる(お店のアイデンティティを込める)
・品質を担保する(任せられるパートナーを選ぶ)
・日常用である
どれも重要なのですが、左ききの手帳を作っているときあたりから特に意識しだしたのが「日常用である」ことです。
左利き専用の道具って、まだまだ市民権があるとは言えない状態で。だからいかにも「左利きグッズ」的な扱いのものも少なくありません。一般的な商品ラインから外れた特別仕様なもの。左利きを訴求しすぎたもの。
もちろん、そういう商品も全然あっていいと思います。でも、左ききの道具店が扱うのは、あくまで「暮らしに馴染む(左手用の)道具」なんです。だからこそ、僕らがゼロからつくるものは、気をてらわない、普段使いできる、堂々としたスタンダードを目指したいな、、と思っているわけです。
近い将来、いろんなメーカーが左手用のスタンダードを作ってきたらどうするか? 左手用の道具が当たり前になったら? ってことも想像してみたんですが、そのときは潔くお店を畳めばいいねと店長とも話をしています。スタンダードを目指して、スタンダードが市場に流通してきたとしたら、僕らの役目は終わりかなと。そのときはまた別の商売でも始めたいですね。夫婦でのんびりしたやつ。
……なんだか遠い話になっちゃいました。何が言いたいのか分からなくなってしまいましたが、とにかく左ききの道具店はこれからもスタンダードなオリジナルを作り続けていきます! どうぞよろしくお願いします! という宣言と願いで締めたいと思います。
最後に、絶賛発売中の「左ききの手帳2021」、どうぞよろしくお願いいたします!!