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イチロー と スティーブジョブズから見るキャリアの描き方

キャリアの話をするときに、
イチロー選手の作文と
スティーブジョブズ氏のスピーチを対比的に並べて紹介する。

ご存じの方も多いと思いますが、
それぞれを簡単にご紹介。

イチロー選手の作文

『ぼくの夢』
愛知県西春日井郡 とよなり小学校
6年2組 鈴木一郎

ぼくの夢は一流のプロ野球選手になることです。
そのためには、中学高校と全国大会に出て活躍しなければなりません。活躍できるためには練習が必要です。
ぼくは、3歳のときから練習を始めています。3歳から7歳までは半年くらいやっていましたが3年生の時から今では、365日中360日は激しい練習をやってます。
だから1週間中で友達と遊べる時間は、5~6時間です。そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球選手になれると思います。
そして中学、高校と活躍して、高校を卒業してからプロに入団するつもりです。そしてその球団は、中日ドラゴンズか西武ライオンズです。ドラフト入団で契約金は1億円以上が目標です。
ぼくが自信があるのは投手か打撃です。去年の夏、ぼくたちは全国大会に行きました。
そして、ほとんどの投手を見てきましたが、自分が大会NO1選手と確信でき、打撃では県大会4試合のうちホームラン3本を打ちました。そして、全体を通した打率は5割8分3厘でした。
このように自分でも納得のいく成績でした。そしてぼくたちは、1年間負け知らずで野球が出来ました。
だからこの調子でこれからも頑張ります。そしてぼくが一流の選手になったら、お世話になった人に招待状を配って応援してもらうのも「夢」のひとつです。

とにかく1番大きな夢は、プロ野球選手になることです。


続いて、スティーブジョブズ氏のコネクティングドッツの話

The first story is about connecting the dots.
(中略)
I did go to college. But I naively chose a college that was almost as expensive as Stanford, and all of my working-class parents' savings were being spent on my college tuition. After six months, I couldn't see the value in it. I had no idea what I wanted to do with my life and no idea how college was going to help me figure it out. And here I was spending all of the money my parents had saved their entire life. So I decided to drop out and trust that it would all work out OK. It was pretty scary at the time, but looking back it was one of the best decisions I ever made. The minute I dropped out I could stop taking the required classes that didn't interest me, and begin dropping in on the ones that looked interesting.
(中略)
 I decided to take a calligraphy class to learn how to do this. I learned about serif and san serif typefaces, about varying the amount of space between different letter combinations, about what makes great typography great. It was beautiful, historical, artistically subtle in a way that science can't capture, and I found it fascinating.
None of this had even a hope of any practical application in my life. But ten years later, when we were designing the first Macintosh computer, it all came back to me. And we designed it all into the Mac. It was the first computer with beautiful typography. If I had never dropped in on that single course in college, the Mac would have never had multiple typefaces or proportionally spaced fonts. And since Windows just copied the Mac, it's likely that no personal computer would have them. If I had never dropped out, I would have never dropped in on this calligraphy class, and personal computers might not have the wonderful typography that they do. Of course it was impossible to connect the dots looking forward when I was in college. But it was very, very clear looking backwards ten years later.
Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life. Because believing the dots will connect down the road, it gives you confidence to follow your heart; even it leads you off the well-worn path. And that will make all the difference.

最初の話は点を繋いでいくという話です。
私は大学に入学しました。しかし、何も知らない私は、スタンフォードと同じくらい学費がかかる大学を選んでしまいました。 私の労働者階級の両親の貯えの全ては私の大学の学費に消えました。半年後、私は大学に意義を見出せなくなりました。 私は人生でなにがしたいか思い浮かばなかったし、大学がそれを明らかにしてくれるとは思えませんでした。 それなのに私は、両親がその人生で稼いだ金をただ消費しているのです。 そこで私は大学を中退することにしました。すべてこれでうまく行くと信じて。そのときはとても怖かったですが、振り返ってみると、それまでで一番良い決断でした。 退学してすぐに興味のない必須の授業をとるのをやめ、おもしろそうな授業を覗き始めました。
私は退学しており、通常の授業は受ける必要はないので、このカリグラフィの授業をとり、それを学びました。 私はセリフ書体やサンセリフ書体を学びました、異なった文字の組合せの文字間の隙間の変化や、どうすれば素晴らしいタイポグラフィが、そんなに素晴らしくなるのかも。 それはとても美しく、歴史を帯び、芸術的に繊細で科学で説明できない部分があり、私はそれに魅せられました。
このどれも、私の人生において何の実利性の望みさえありませんでした。しかし、10年後最初のマッキントッシュコンピュータを設計するときに、それが全部私にアイデアとして蘇ってきたのです。そして我々は、それをマックに生かしました。美しい文字の最初のコンピュータです。もし、私が大学のその一つのコースを覗かなかったら、マックは決して複数の文字のタイプ或いはバランスのとれたフォントを備えていなかったでしょう。 ウィンドウズはマックをすぐにコピーして真似ただけですから、そういうものを備えているPCは生まれなかったでしょう。もし、私が退学しなかったら、私はこのカリグラフィの授業を覗かなかったでしょう。そしてPCは今のような美しい文字では無かったかも知れません。 もちろん、当時私が大学にいるとき、この“もしもの点”を未来に繋いでいくことは不可能でした。しかし、その繋がりは、とても、とてもハッキリしているのです、10年後に振り返ってみると。
あなた方は、これからの点を将来に繋いでいくことはできません。あなた方は振り返って、それらを繋ぐだけです。 ですから、あなた方は、現在の点が、とにかくあなた方の未来に繋がるということを信じるのです。あなた方は、何かを信じなければなりません。・・・・自分のガッツ、運命、人生、カルマ、何でもいいでしょう。 その点が繋がり道となると信じることが、あなた方が自分の心に自信を与えます。 たとえそれが常識的な道から外れるとしても。 それが全てを変えるでしょう。


私はこれまで、イチロー選手の作文とスティーブジョブズ氏のスピーチを対象的な例として紹介していました。

イチロー選手は、小学生の時点で、自分の将来の目標を定め、それに向かって突き進むキャリアビジョンを描いています。
対して、ジョブズ氏は、将来何かの役に立つかどうかということよりも、目の前の興味や関心のあることに純粋に向き合った結果、振り返ってみると、一つの線になっていたというキャリア。


ゴールセッティング型とリバー(流れ)型とでも言いましょうか。
対照的な2つのキャリアですが、どちらが正解ということは無く、人によってキャリアの描き方は異なりますよ というメッセージ訴求のお題目として紹介していた。


そんな2人のキャリアビジョンについて、
共通点があることに、ふと気が付いた。


それは、
どちらも現状の自分のことをよく理解しているということだ。
例えば、イチロー選手であれば、「投手と打撃に自信があり、結果は打率5割8分3厘で、本塁打3本」と数字で把握している。

対して、ジョブズ氏は、興味のない大学を辞めて、興味のあるカリグラフィを学ぶ。すなわち、自分が何に関心があるのかを的確に把握していると言える。


キャリアコンサルタントのテキストの前半に出てくる、基本的な考え方だけれど、キャリアを考えるうえで、一番最初に向き合うことは、将来のゴールでも、過去の実績でもなく、現状の自分だ。
どういう能力を持っていて、何に興味があって・・・ということをクリアにするところがスタート地点になる。

そういう意味では、イチロー選手もジョブズ氏もゴールまでの道筋の描き方は違うけれど、スタートは共通していると言える。

となると、やっぱり自己分析というか、自分を認知するって大事なんだな、やっぱり。


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ワタクシ、もともとは企業の人事として10年近く働いていましたが、
現在はキャリアコンサルティングやパートナリングを生業にしております。

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