【職について】HR(人事)スキルvol.2 傾聴する力
前回の投稿でHR(人事)スキルについて触れた。すごくざっくり言うと、HRの仕事に専門的な資格なおどは必要ないが、コミュニケーション能力がとにかく重要という話。コミュニケーションスキルの中でも、洞察力、質問力などのコミュニケーション能力が必要ということを挙げた。
傾聴について
今回は、質問力という点に付随して"傾聴"について深堀してみる。世の中には傾聴力に関する書籍などもたくさんでているが、ここではあくまで私の実体験に基づき、我流で培ったことをもとに書き留めておく。
傾聴とは、読んで字のごとく相手の話に耳を傾けて丁寧に聴くことだ。しかしながら、効果的に傾聴をするためにいくつかの準備が必要である。
アイスブレークの重要性
誰しも相手のことを信頼していなければ、本心を打ち明けて話すことは難しい。また、基本的には信頼していても、その瞬間が"話せる"テンションかどうかはタイミングによって異なる。子供が親におねだりするときに、親の機嫌や顔色を見てタイミングを計るのと同じである。
子供は言い出しやすいタイミングまで待つこともできるが、ビジネス上では限られた時間の中でコミュニケーションを進める必要があり、いたずらに待つというわけにはいかない。
そこで"アイスブレーク"が必要となる。アイスブレークは本題に入る前のクッション、落語でいうところの枕、商談前の野球の話、みたいなものである。
アイスブレークの目的
アイスブレークの目的は下記の3つ
-相手と自分の緊張をほぐす
-相手と呼吸を合わせる
-相手が話しやすく、また自分の話を聞きやすい状態を作る
初めての相手であれば無難なのは天気や気候の話だろうか。しかしできることならば、相手と自分の共通の話題であるほどアイスブレークの効果は高くなり、次の本題に入りやすくなる。
アイスブレークの目的は上述の3点であることを踏まえ、いくつか抑えておくべき注意点はある。
1. 相手のテンションに合わせる
2. 相手のトーンに合わせる
3. 相手の姿勢に合わせる
4. 自分のテンションを相手に伝える
相手のテンションやトーンに合わせるために必要なこと、それは相手をよく見て聞くこと。話し方に勢いがあれば、こちらもリズムよく話すことで、同じテンションに近づき、相手は自分に同調をしてくれていると感じ、安心感を抱きやすい。トーンも同様で、リラックスしているのであれば、こちらもリラックスをする。シリアスな雰囲気であれば、こちらも真面目なトーンを意識する。このトーンが揃わなければ、会話のリズムが合わず話がかみ合いにくくなる。
姿勢も似ていて、相手と同じ姿勢をまずは取ってみる。腕組みをしていれば腕組みをする。椅子の背もたれに寄りかかっているのであれば、こちらも背もたれによりかかかる。心理学とかだとミラーリングとか言うらしいが、これも効果はどうようで相手と調子を合わせることで安心感や信頼感、共感を高める。
ここまでは相手に合わせるための方法。これを一つのポイントだけではなく、幾つか組み合わせて行うことで、その時間での小さな信頼感を築く。
そこからさらに、自分が本来伝えたい内容や聞きたい話に応じて、テンションやトーンをズラしていく。
よく陥りがちなミスとしては、相手のリアクションがない(無表情、黙っている)場合に沈黙を避けようとして、自分ばかり言葉をつないでしまうことだ。相手はリアクションがないのではなく、無表情というリアクションを返しているのだ。この時は、自分も表情を落としたり、少し黙ってみたり、相手とリズムを合わせることで、話に集中できるようにもなる。
最初の質問
アイスブレークが終わった後は、いよいよ話を進めていくことになる。ここでは自分から相手に何かを伝えることより、相手から話を聞くということを主眼に置いて記述する。
最初に投げる質問は出来れば答えやすいものの方がよいだろう。相手が質問に答えるという行為に慣れるための助走のためだ。答えやすい質問というのは、回答の幅が狭いもの。例えばYes,Noで答えられるもの。限られた選択肢の中から選ぶものなどだ。これらはClosed Questionと呼ばれ、回答者側は答えるのが簡単な代わりに、質問者に工夫が求められる。
Closed Questionに対しての回答が得られたならば、次はOpen Questionによって回答を深堀する。Open Questionは5W1H(What, Who, When, Where, Why, How)を使ってより詳細な状況を理解するための質問だ。中でも、WhyとHowは相手の心情や具体的な行動を聞き出す質問であるため、相手を理解するために最も重要な質問と言えるだろう。しかしながら、Open Questionは回答者が答えるために頭を使わなければならないため、回答のハードルが上がる。スムーズに回答が出ないときは、焦らずにまたClosed Questionを投げかけ、回答ししやすい状況を作る。基本的にはこれを繰り返していく。
"聴く"に徹する
気を付けたいことは、傾聴するときは"聴くこと"に徹することだ。聴くことに徹するとは、自分の意見や評価を挟まずにひたすらに相手に寄り添う。従って、相槌は自ずと「なるほど」「そうなんだ」など、理解と肯定を示すよなものが多くなる。さらにはリフレーズと言われるような、相手の言葉をそのまま繰り返す方法を用いる。そうすることで、相手はさらに"聴いてもらえている"という安心感を感じ、話を進めやすくなる。
これらのことを徹底して行うだけで、話を聞く力は格段に上がるだろう。相手から話を十分に引き出せるようになったならば、次は言葉以外で現わされる情報を拾い上げることが必要になる。所謂verval communication(非言語コミュニケーション)と呼ばれるものである。これについては、また後日記載する)
まとめ
アイスブレークをする
-緊張感を解きほぐす
-相手のテンション、姿勢、トーンに合わせる
傾聴する
-質問は答えやすいClosedなものからはじめ、徐々にOpenなものにシフトする
-傾聴するときはとにかく”聴く”に徹し、自分の意見や評価は挟まず「なるほど」と肯定的な相槌をすることを意識する(時々、相手の言葉を繰り返す)
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