ガクチカで評価されることは決まっている
今日は書類選考を数十件ほど担当。
いわゆるガクチカ部分のみを読んで合否判断。
ほぉぉぉ、と思わずうなり声をあげてしまいそうになるような内容のものから、惜しい(今すぐアドバイスしてあげたい)というもの、あれれ?力尽きたか?(400文字のところ100文字くらい)というものまで、実に様々。
ガクチカにもお題は色々ある。
・学生時代に力をいれたこと
・困難を乗り越えたこと
・大きな成果を残したこと
・大変だったこと
・挑戦したこと
などなど。
切り口は色々あるけれど、採用側の目線から言えば、どれも同じことを聞いている。要するに「あなたがどのように成果を出してきた人か教えてください」という事を聞いているのである。
面接でも採用担当は同じことを聞く。
大変だったことは何?失敗の経験は?工夫したことは何?
質問の形は色々だけれど、結局のところ「成果を出すためにどのように課題設計をして、解決に向けて取り組んだか」これしか聞いていない。
もちろん、志望動機や将来の目標みたいなことも聞くけれど、優秀な人(成果を出せる人)であれば、多少志望動機が弱くたって、企業側は内定を出す。
逆を返すと、質問やお題の言葉に振り回されないように気を付けなければいけない。
「最も大変だったことは何ですか?」と聞かれて、ただただ大変で辛かった話をしても「そうですか、大変でしたね」としか言えない。
嘘をつくべきではないけれど、大変だったエピソードの中から、なんとか頑張って成果につなげられたエピソードを選ぶ必要がある。
もちろん、大変だったことを聞かれているので、どのように大変だったか、なぜ大変だったかという、状況の説明は必要になる。
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よく求める人物像的なところに「課題解決能力の高い人」とか「論理的思考能力の高い人」というような言葉が書かれている。
これらは言わずもがな、高い成果を出す人の特徴である。
課題解決能力は、大変なことや難しいこと、うまく行っていないことに対して、分析をして、対応策を吟味して、実行し、修正しながら、結果につなげ、一連の経験から学びを得て次に生かすことが出来る能力である。
論理的思考能力が高ければ、課題解決について、偶然ではなく再現性を持つことが出来る。逆に捉えると、成果に再現性を持たせるためには、課題の分析、合理的な判断、実行力(準備、行動、修正)が必要になる。
これらの能力は、特別なイベントでなくても示すことが出来るし、発揮することが出来る。(そのように表現することが出来る)したがって、ガクチカのエピソードテーマは何だって構わない。
ただ、2つだけ付け加えておきたい別の視点がある。
それは、スケール(規模)とスピードである。
例えば、
「顧客満足度を把握するためにアンケートをしました。」
というようなエピソードをガクチカに書いた学生がいたとしよう。
この時に、
5人にアンケートをした学生と、100人にアンケートをした学生では、当然100人にアンケートを行った学生の方が、行動力の高さが感じられる。
加えて、100人にアンケートを実施するためには、時間を効率的に使う工夫をしていたかもしれないし、協力者を得るための働きかけをしていたかもしれない。同じエピソードでもスケールが大きい方がプラスアルファの工夫や努力が必要になる。すなわち、高い評価にはつながりやすくなる。
また、同じ100人だとしても、1週間で実施した人と1年かけて実施した人であれば、1週間で実施した人の方が高い成果を出すイメージが描きやすい。
但し、ここにも注意が必要なことがある。
ガクチカを通じて伝えようとしているあなたの強みとエピソードがしっかりとリンクしているかどうかである。
例えば、分析力の高さをアピールしたい人がいるとする。
「売上向上のために顧客満足度のアンケートを実施しました。分析にあたっては客単価、年齢、来店時間の3つの指標を盛り込み・・・その結果、3つの課題点を抽出することに成功しました。」のように表現をしていれば、工夫をして分析しているようなイメージが持てるので、違和感はない。
では、下記のような内容であれば、どうだろうか。
「売上向上のために顧客満足度のアンケートを実施しました。妥当性の高い調査とするために、顧客を来店時間ごとに分け、合計300名の顧客に対して1週間で聞き込みを実施しました。その結果、3つの課題があることが分かりました。」
これだと分析力よりも、300名に対し1週間でアンケートを行ったスピード感や行動力の方に意識が向けられてしまうため「分析力の高さ」を推されても、腹落ちしにくくなる。(アピールしたいことと、ネタのチョイスのミスマッチだと呼んでいる)
限られた時間、限られた文字数の中で効果的にアピールするためには、勝負ポイントを絞り込む工夫が必要になる。
その絞り込みをどうするかは、非常に難しいところがある。
・自分が一番自信があって、評価されたいポイントを選ぶ
・相手企業が一番求めているポイントに近いものを選ぶ
・他の人に見比べてもらって「すごい」と言われる割合の高いものを選ぶ
などなど。
個人的には、他の人(出来ればビジネスパーソン)に見てもらって、すごいと言われる割合が高いものの方が一般的に使えそうな気がします。
(自分が自信があるものや、相手企業が一番求めているポイントというのは、それを考える自分のバイアスが入り込んでいるため、必ずしも相手と同じ目線に立っているかが不明確なため。)
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さて、ガクチカについて色々書きました。
ちなみに中途採用においてガクチカに類するようなものはありません。
強いて言えば職務経歴書がこれまでのキャリアで行ってきたことの要約になるでしょうか。
そういう意味では、就活生の方も職務経歴書みたいなものを作成してみると良いのかもしれません。
これまでの活動や経験を振り返って時系列に並べて箇条書きにする。目に見える成果があれば、それを具体的に明記する。
その中からハイライトっぽいところ(アピールしやすい部分)を拾って、文章化する。はい、ガクチカの出来上がり。と、そんな簡単に書ければ苦労しないでしょうね。
もし、ガクチカ作成で困っている人がいれば、お気軽にご相談ください。
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