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2112年9月3日、世界で最も有名な猫型ロボットが誕生した。
そうかの有名な「ドラえもん」の誕生日である。

今年は2024年なので、約90年後にはドラえもんが生まれると思うと、とってもワクワクする。(おそらくその頃には私はもう生きてこの世には」いないだろうけれど)

ドラえもんの話が出てくると必ずと言っていいほど話題に上がるのは「もし1つだけ秘密道具が手に入るとしたら、何が欲しい?」的なやつ。

もしもボックスという、何でも願いが叶うチートアイテムから、タケコプターのようなシンプルなものを選ぶ人まで、実に様々で性格や志向、価値観みたいなものがほんのり見えるし、わりと世代を問わずに話をすることが出来る稀有なトークテーマだったりもする。


私は子供のころは「もしもボックス」と即答するような、チート小僧だったわけだけれど、それだと話題に拡がりが出ないことを大きくなってから学んだ。それ以降は、どこでもドアが私の欲しい秘密道具の第1位に長らく君臨していた。

世界中どこにでもすぐに行けるし、学校や仕事で通学通勤の苦労が無いし、メリットの大きさのわりに、デメリットや副作用といったリスクが少ないことが特徴である。(大きさと、派手なピンクはさておき)


私は今は福岡に住んでいて、それはそれはこの街をずいぶんと気に入っているのだけれど、親しい友人は東京だったり、北海道だったり、アメリカだったり、ヨーロッパだったりと、日本だけではなく世界各地に散らばっているので、実際にどこでもドアがあれば・・・とほんのわずかに頭をよぎる。


と、思っていたのだが、
今日がドラえもんの誕生日だなぁと思いながら道を歩いている時にふと考えたことがある。
どこでもドアを手にするということは、旅の面白さを半減させてしまうのでは?ということ。

私にとって、旅というのは、○○を見たいとか、○○を食べたいとか、何かしらの目的地がある場合もあれば、特に目的もなくフラッと行くこともある。それこそ思い付きでドイツに2週間ほど行ったこともあるくらいに。

そんな時の旅の楽しみは、偶然の出会い自分との対話である。
長距離移動で隣の席に座った方との他愛もない会話、道を尋ねた相手とのちょっとしたやり取り、レストランで相席になった人との一杯。あてもなくフラフラと散歩しているときに偶然見つけた絶景。そんな偶然との出会いが、私の旅においては欠かせないもので、旅の面白さに大きく関わってくる。

また、長距離移動の際には、大抵は本を読んでいるのだが、本ばかり読んでいても疲れてしまうので、流れる車窓をぼーっと眺めていたりする時間も、とても贅沢なもののように感じて好きなのだが、そんなぼーっとしている時に、脳裏を揺蕩うように様々な思考が浮かんだり、消えたりする。

その時悩んでいることだったり、昔悩んでいたことだったり、悩みとは関係がない本当にくだらなくてどうでもいいことだったり。そんなデタラメな思考を見つめるでもなく、かといって投げやるでもなく、ゆるやかに抱いている。それらの浮かんでは消える思考から旅の間に何かしらのアイデアが生まれることもあれば、ただただ流れていくこともあるのだけれど、そんな風にしてぼんやりと自分を捉えることもまた、旅の時間の過ごし方で、好きな時間だったりもする。


だがしかし、
どこでもドアがあれば、そんな移動時間は限りなくゼロに近づく。
旅は目的地ありきになって、恐らくはどんどんとスタンプラリーのような状態になっていくのではないかと思う。
ガイドブックに載っているような目的地というのは、それなりに凄いものあって、感動したり、グッとくることももちろんあるのだろうけれど、前述したような、私がこれまで感じてきた旅の楽しみ的な部分が一気に損なわれてしまう。

そのことに気が付くと、どこでもドアを手にするというのも考え物だなぁ。
などと、40歳を過ぎたおじさんが真剣に考えることが許される日。(いや、禁じられてもいないかわりに、誰もゆるしていないけれど)
それが9月3日、ドラえもんの誕生日。

あなたが欲しい秘密道具は?


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カトウシンイチロウ / 人生を開拓するキャリアパートナー
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