面接で愚痴を言う人。
私はキャリアコンサルタントとして活動する傍ら、副業として企業の採用活動のお手伝いをしている。具体的には業務委託で面接官などを行っている。もっとも、面接自体は前職時代に2,000名弱くらいは対応したので、わりと様々な方のお話をお伺いした方だと思う。
特に中途採用の面接で聞かれることとして、転職理由というものがある。
これは、現職の方であればどうして現職を離れようと考えているのか、離職中の方であれば、どうして前職を退職に至ったのかということをお伺いする。
この質問をお伺いするにはいくつか理由がある。
キャリア観や転職軸などをお伺いするというのが表向きの理由ではあるが、他にも、前職(現職)の退職理由に懸念と感じられるような点がないかどうかという点についても確認をしている。
懸念というのは、めちゃくちゃざっくり言うと大きく2つだ。
業務上の成績に著しい問題がなかったか。社内で何かしらの問題を起こしていないか。
従って多くの方にとっては、実際に思うことを率直に語って頂ければいい。
しかし、中には自分の正当性をアピールしたいためか、前職や現職の問題点をあれもこれもと並びたてるような方もいる。
上司が話を聞いてくれない、体質が古い、残業過多、適切な評価がされない、人手不足、etc,etc,
もちろん、そういったことは事実なのだろうと思う。
しかし、はっきり言ってしまうと、面接官は候補者の働く会社の環境だったり、前職の評価体系に関して1ミリの興味もない。
もし興味があるとすれば、そんな大変な環境の中で、候補者がどのように立ち振る舞っていたかという点だ。
問題がある上司とどのようにうまく付き合おうとしたのか。適切な評価を得られるために、どのような働きかけをしたのか。残業を減らすためにどんな業務効率化をしたのか。
そういうことであれば、はりきって話を聞く。
しかし、そういうアクションや勝負ネタがないのに、不満ばっかり並べ立てられると、正直なところただ愚痴を言っている人にしか見えないし、下手をすると「他責傾向の強い人」という印象すら持ってしまうこともある。
この「他責傾向」というレッテルは非常にやっかいなもので、採用したくないキャラクターの上位に入ることがよくある。
「他責=自分以外の誰かのせいにすること」なので、何か問題が発生したときや、ミスをしたときに、もし自分自身に非があったとしても、それを認めるよりも他の誰かや環境のせいにして、適切な改善アクションが取られないどころか、指摘やアドバイス、フィードバックなどを行っても素直に聞き入れてもらえないという悪癖につながることが多い。
誤解をしてほしくはないのだけれど、会社環境が退職理由に直接的につながるということは、実際にあるだろうし、そのこと自体を否定するつもりはない。
中にはどうやっても改善できないこともあるだろうし、あれやこれやとトライをした結果、やっぱり駄目だったという事もある。それは面接官もよく理解している。
従って、そういったことは端的にまとめて話してくれる分には何とも思わない。何だったら同情することもある。
ただ、面接の主な目的は候補者自身が自分の能力と募集職種の適性をアピールすることにあるし、採用担当からすると適性を判断する(そのための情報収集を行う)ことにあるので、その点に集中したいし、候補者にも集中して欲しいのである。
もし、そこに主眼があるということが理解できておらず、不平不満を面接で並べ立てるようなことがあれば、事実かどうかとは全く別に、ものごとの要点を理解できない人=仕事がスムーズに進められない人という評価となる。
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誰だって他人の愚痴を長々とは聞きたくないものです。
親しい友人や同僚と業務時間外で話すならまだしも、商談や面接の場で話す人と一緒に仕事したいと思うかどうか。
こういうところは、人材紹介会社のエージェントには面接対策としてしっかり教育してほしいと思う、今日この頃です。
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