アマビエちゃんと加藤くんのお話 第25話『集中力』
「アマビエちゃん?」
「…」
「アマビエちゃん?」
「…」
「アマビエちゃん!!」
「あ、加藤くん。」
「すごく集中して、何を見てたの?」
「うん、カラスさんがどうやって空を飛ぶのか観察していたんだよ。」
「アマビエちゃんは、ものすごく集中するよね。絵を描く時とかも。」
「集中力だけが取り柄ですから。」
「どうやったら、そんなに集中できるの?」
「なんでだろうね。好きだからずっとやってたいんだ。」
「そうなんだね。見習いたいな。」
「加藤くんは集中しないの?」
「短時間なら、ものすごく集中できるけど、長時間はなかなか大変で、あっちもこっちも世界中のことに興味があるから。」
「加藤くんらしいね。」
「でも、集中してる時、楽しいよね。」
「うん、すごく楽しい。」
「集中するアマビエちゃん、すごく素敵だと思うよ。」
「ありがとう。」
「僕の大学の恩師の友成真一先生という方がね。」
「うん。」
「一点突破が大事だって、いつもおっしゃっていて。何かの壁を突破したかったら、エネルギーを100%集中して、一点を突破しろって、言われているんだ。」
「うん。」
「エネルギーを分散すると突破できない。一点に集中すれば、どんな分厚い壁でも突破できると。」
「共感できるな。」
「社会全体をよくしようと、マクロにエネルギーを向けるんじゃなくて、ミクロな誰か1人のためにエネルギーを集中することが大事だと。」
「うん。」
「だから俺はアマビエちゃんに100%エネルギーを集中するよ。」
「ふふふ。ありがとう。」
つづく