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2015 香取さとりと神の如しのはなし

香取さとり30歳までのカウントダウン
第23夜 2015

2014年に弾き語りのミニアルバムを2枚出して欲求不満を一通り発散した私は、この年、音楽的な奥行きを求めて2人の助っ人に声をかけました。

ひとりはサークルのいろんな機会で一緒にプレイしてきたベーシストのケントくん。大学の頃は阿部真央さんのコピーバンドを一緒にやっていたのですが、曲を全く聴かずに練習を迎えても即興でそれらしきフレーズを作る適応力があり、ほとんど楽譜を見ないまま本番を迎える大胆さ(ほめてる)も持ち合わせていて、当時から目立ってないけど結構すごいヤツなのでは?と思っていました。職業や収入といったステータスより、友情、努力、勝利を渇望している節があるので、エレキウクレレパンクバンドという未知なる海賊団の船出にも前のめりで協力してくれたありがたい存在です。

もうひとりはドラムパートの1つ先輩で、ハードコア狂いのベンさん。サークル時代にはバンドを組みすぎて24時間ぶっ通しでスタジオに入るという偉業を成し遂げた鉄人ドラマーです。ベンさんのすごいところは、どんなに複雑で難度の高いフィルも自分のものにするまでひたすら練習するところ。タメたり食ったりの細かいニュアンスも妥協せず、いろんなパターンを試したうえで曲が一番引き立つ表現を見つけ出してくれるプロフェッショナルです。ドラムそのものへの愛とドラムという役割に対する責任感が人一倍あって、結成当初から今に至るまで香取さとりと神の如しの音楽をあらゆる面で引っ張ってくれています。

ふたりの共通点は、私と同様に大学を留年していて時間的な余裕があったことと、私の作る曲を本気でいい!って言ってくれたことの2つです。結成時にはすでに出会って5年の仲だったのでプレーヤーとしてそれぞれの得意分野を理解していたし、人間として今さら隠せる弱みもなく、最初から高いシンクロ率で曲に向き合えたのはすごくありがたいことだったと今では思います。演奏の上手い人、フレーズの引き出しが多い人はほかにいくらでもいますが、この2人とじゃなければ私の意図する温度と湿度で曲を完成させることはもっと難しかったに違いありません。2人には当初1回きりのライブサポートをお願いしていたのですが、ライブでそれぞれの想いに一層火がつき、香取さとりと神の如しとして活動を始めることになりました。

もともと超酒好きの我々は、よく練習終わりに大学時代からお世話になっている居酒屋に飲みにいっていたのですが、そこで飲むメガ生ビールが美味しすぎて、練習がイマイチの日は早めに切り上げて飲みに行くことも度々あったくらいです。あ、これは今日飲みに行くな……という雰囲気を察知しながら、誰がそれを切り出すかという練習中の駆け引き(?)が好きでした。

スタジオを出て歩き出して、駅までの帰り道で誰か(だいたいはベンさん)がそれを切り出すと「おせーよ!」とか言いながらノリノリでお金をおろしに行ってたあの頃がめちゃ懐かしいです。

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