過度に勧めて過度に避ける
昨今オタク文化においてジャンルの布教をよく見かけるのだが、
実は私、この手の布教が苦手である。
私も好きなジャンルを他の人にも勧めたくなる。
同じものを好きになってもらえれば同じ話ができて楽しいし、こんなに素敵なコンテンツなのだから是非楽しんでもらいたいと思う。
私が誰かに自ジャンルを「布教」する時、だいたいまず相手が何を好きそうか思い出す。
思い出した上で、「布教」したい自ジャンルで共通した項目が無いか考える。
さらにどういう段取りで、どういう順序で…というのを考えて、ようやく実行に移すかどうかというタイミングになるのだ。
私自身、興味がないものを過剰に勧められすぎると、逆に触れたくなくなってしまう人間である。
いわゆる天邪鬼なのだろうか、とにかく嫌になる。
もうずっとこれで悩んでいた。
興味がないのに、何度か「興味ないから」と言っているのに、何度も何度も似たようなコンテンツを勧められ続ける。
そうすると、だんだんそのコンテンツ自体が嫌いになってきてしまうのだ。
関係ない話をしている時に突然勧められたこともあった。
そうして流行りのジャンルを何度も「もう見たくない」という脳内の箱にしまいこんできた。
代表的なものは「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」、通称「あんステ」である。
そもそも今のメインジャンルである「あんスタ」は始める以前からめちゃくちゃ勧められてきたジャンルだったが、なんだかんだ忙しいだのなんだの言ってかわしていたジャンルでもあった。
それをプレイし始めた頃、今度は「あんステ」を勧められ始めた。
昔テニミュの2ndを見ていたが、あれが特殊なケースというだけで、基本的に舞台に興味は全くない。
舞台好きな方でこちらを読まれている方もいらっしゃると思うが、あくまでも「私は」興味ない、というだけなのでそこのところご寛恕いただきたい。
テニミュに出ていた俳優さんとかを覚えているので知識は最低限あるが、だからと言って「この人の舞台を追う!」にはなったことがない。
それなのに何度も何度も「あんステ」を勧められ続け、だんだん目に入れるのも嫌になった。
ある日別の友人から「あんステ見ません?」と言われた。
正直「あー来た、あんステか…」となった。
ところが彼女の布教は本当に上手だった。
「30代の油の乗った良い遊木真が見れますよ」と言ったのだ。
あんスタは高校生アイドルの物語であり、遊木真は私の推しである。
遊木真役の俳優さんは30代の方である。
そして私は年上が好きである。
彼女は出会って然程日が経っていないにも関わらず、的確に私のストライクゾーンを撃ち抜いた。
ここでようやく興味がわいたのだ。
あれだけうんざりしていたあんステに。興味が。もはや奇跡。
結局ようやく視聴し、「なるほど…」となることができた。
布教が上手な彼女と対するのが、前述した布教をしてくる方だった。
もしその方がこの記事を読んでいるのであれば、是非知っておいていただきたい。
私はずっと辛かった。
特定のジャンルの話をするとすぐ舞台を勧められることも、あなたが好きなコンテンツを断らなくてはいけないことも、「興味ない」という強目の言葉を使わなくてはならないことも。
基本的に「自分の推しじゃなくても誰かの推し」精神で生きているので、そんな中でしっかり「興味ない」と言うのは辛かった。
でもそれを言いたくなるくらい、私はうんざりしていたのだ。
ミュートにしてもリプライが来てしまえばそれは通知として私の目にとまる。
布教関連で悩んでいる方のツイートがRTで私のTLに回ってきた時はここぞとばかりにRTした。
「頼む…見てくれ…気づいてくれ…!!」の祈りを込めてRTした。
結局何も変わらず、さすがに耐えきれず突然「あ、もうだめだ」となり私がブロックするまで続いた。
「興味がない」と言っているものを、何度も何度も勧めてこないでほしい。
だんだんそのコンテンツ自体が嫌になってしまうから。
たくさんのフォロワーさんたちが好きなそれを、嫌になってしまうから。
どうして相手目線に立った布教をする人が増えないのか。
どうして自分目線の勧めたい気持ち先行で布教してくる人が減らないのか。
誰も幸せにならないので、本当にそろそろ良い加減にしてほしい。
みんなで楽しく自ジャンル推せば良いのに。
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