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【北海道コンサドーレ札幌】クラシカルフォーメーション4-4-2との戦い方

 上図は、2018シーズンにおける北海道コンサドーレ札幌の対面フォーメーション別勝敗表です。3-4-2-1を主に用いるミシャ式サッカーにおいて、相手が3バックの場合と4バックの場合とでは攻守における優位性の作りどころが変わってくることもあり、敗戦の多くは相手が4バックを用いるチームに偏っています。2018シーズン、コンサドーレがリーグにて敗れたのは、川崎フロンターレ(2敗)、サンフレッチェ広島、清水エスパルス、ヴィッセル神戸、鹿島アントラーズ、柏レイソル、横浜Fマリノス、浦和レッズですが、そのうち3バックは浦和レッズのみ。他チームはすべて4バックのフォーメーションを敷いており、今シーズン第3節時点においても、上記チームのうち浦和レッズ、サンフレッチェ広島以外はすべて4バックを採用しています。
 今シーズン、コンサドーレが上位を目指すためには、4バック相手にどれだけ優位に試合を進め勝ち点3を積み上げられるかは重要なポイントです。というわけで、クラシカルでもありながら今尚進化を続ける4-4-2(中盤平行型)の攻略について考えていきます。

4-4-2がトレンドにある理由

 1980年代頃から存在する4-4-2ですが、2018年開催のロシアワールドカップでも守備陣形に採用したチームは多く、今なおトレンドと言える位置にあるフォーメーションです。攻撃時に4-2-3-1、4-4-1-1、3-5-2の形をとるチームも、その多くが守備の陣形は4-4-2を取ります。
 何故4-4-2が今なお主流であり続けるのかというと、それは攻撃のトレンドとも関係してきます。GKやDFからビルドアップするチームが増えたことや、高クオリティかつバリエーションが広がったことにより、それに対応する守備の形が求められました。開始点であるDFラインに対して制限をかけていかなければ、現在のスピーディかつ正確な攻撃に対応することが難しくなってきます。特に、全方向へボール供給を行えるボランチへのパスコースを切ることが出来ないと途端に自由にボールを散らされ、ボールの取りどころを設定することが困難になります。そのため、相手のDFラインに対してプレスをかける人数は最低2枚必要になりました。
 2トップとGKを抜いて残りは8枚です。ゾーンを均等に分けた2列4枚ずつの配置が最も強固かつシンプルに自陣のスペースを守ることが出来ます。このシンプルという点はとても大事で、複雑な約束事が乱立するよりも、確実に判断スピードは速い。そのため、多様な攻撃に対して対応ができるのです。
 上記の4-4-2が採用される理由は、4-4-2攻略においても大事な考え方となります。

4-4-2守備の特徴と攻略法

 ■4-4-2の特徴

10人がピッチを分割しそれぞれのゾーンを担当。DF-MF-FWの3ラインおよび選手間の横の距離をコンパクトに維持することでブロックを形成し中央のスペースを消し、失点リスクの低いアウトサイドにボールを誘導する。ボールを中心としたチャレンジ&カバーを連続させることでブロックを維持する。

 上図のように、ボールが中央に位置する際、黒く網掛のエリアについては非常に強固なバランスを以て守ることが出来ます。対して、アウトサイドは手薄な印象を受けるかと思います。

 しかし、ここで猛威を発揮するのが2トップによるチェイシング。ボールを奪うことよりもボールを誘導し、一定コースへのパスコースを不通にすることを目的にしています。サイドにボールを寄せられると、上図のように手薄になるゾーンへのパスコースを切られてしまうので攻撃側はスペースの無いところからの打開を求められます。更に、この状態になると守備側の距離感が良いので、ボール奪取後のトランディションにおいても効率的にプレー可能となります。

 サイドへのボールの動きについて、守備側の対応は2通りが主流です。
 まずは、上図のようにDFラインの4枚が均等な距離を保ちスライドしていく方法。スピーディに対応可能ですが、中央の強度が若干落ちます。

 加えて上図のように、SHが落ちるやり方をよく見るようになりました。攻撃側SBのインナーラップにも対応がしやすく、中央もバランスを失いません。対して、トランジションにおいて攻撃の厚みが作りにくい特徴があります。現代サッカーではロングカウンターは3~4人の関与で成立しますのでこちらの対応前提が今後主流になりうるのではないでしょうか。

 ■4-4-2の攻略法

 4-4-2の攻略において大事になるのは、守備側の選手間距離を縦横に開かせることです。FWを2枚配置しているので、ファーストラインを突破すると後ろ2ラインは8枚+GKでゾーン分割をしています。CBとSBの間、ボランチを縦に分断させた後のボランチの脇、2トップを置き去りにしたあとのボランチ前のスペース、が優位性を取るために効果的なスペースになります。しかし、もちろん守備側はここを閉じてきます(あえてボール奪取力に長けたボランチ前にボールを誘導し奪うというやり方もあります)。ボールサイドにコンパクトなブロックを構築し、ブロックの外側をボールが移動するよう誘導していきます。そのため、ビルドアップにおいて守備側の意図をかいくぐるパターンを用意しておきたいところです。

コンサドーレにおける対4-4-2ビルドアップ

 3-4-2-1のフォーメーションを用いるコンサドーレにおいて、4-4-2に対応するパターンは何通りもできますが、最近使われるパターンは以下2つです。

 ファーストライン-セカンドライン間を分断し、その間のスペースを起点にする方法です。先日の清水エスパルス戦1点目の形になります。そこからIH、FWへのパスコースが複数存在しますので、そこを突いていきます。

 あるいは、IHに収まったところを起点に相手守備陣がスライド不可となるスピードでサイドチェンジをする方法です。ロペス→菅、チャナティップ→ルーカスへのロングボールのパターンはそこまでのボールの動かし方も含め再現性が非常に高いレベルになっています。同時に、後ろ向きにIHがボールを受けながら相手を背負いつつ出すパスなので、守備側からするとボールの奪いどころにも同時になり得ます。

まだまだ奥深い4-4-2

 おそらくは、今後も守備戦術のレベルは高まっていくと思います。それは攻撃原則の洗練によって加速度的に要求されることになるかと思います。
 そして、ミシャのサッカーにおいても、更に多くの攻撃パターンと攻撃原則のインプットがなされるのでは、とわくわくしています。今シーズン終わった時に対4バックの戦績がどうなっているのか、こちらにも注目していきたいと思います。



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