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金沢まで、佛子園。ごちゃ混ぜ体験記

 日帰りで金沢まで行ってきました。

  妻と申し込んでいた『佛子園視察ツアー』が最少催行人数不足で中止になり、でも、やっと休みをあわせて計画していた日程なので、個人でレンタカーで廻ることにいたしました。
  佛子園に電話して、個人での施設見学を予約したい旨を伝えると、
 特に予約していただかなくてもご覧になれますよ。
 来ていただければ、大丈夫です。

と。

 『佛子園』
福祉関係で働いていない方でも、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

佛子園の、ごちゃ混ぜを体験してきました。


   行善寺内のレストランで昼食をとっていると、奇声が。
 その方向にニコニコ跳び跳ねている人が見えます。
 食事をしている多くの高齢者の方々は、特に気にするでなく談笑を続けていて、当たり前なんでしょうか。
 でも、無視している風でもなく、眉をひそめるでもなく、きっと、その子が見守られていることを承知して、当たり前にその子の存在を認めている…


行善寺内を抜け、施設が連なるB'sへ。

「こんにちは。見学?」

気さくに声をかけてくれます。

ここに居る、どの人が障がい者で、どの程度のどんな障がいで、どんな支援を受けていて、ホンで、ここに居る誰が支援者か、どういう支援体制かを見極めて…

 その時のボクには、無駄な作業のような気がしてきました。

  階段を上がってデッキを歩くと、休憩のスペースらしい、ソファーで寝そべっている人、支援者と話している人、コーヒーを飲みながらパソコンに向かう人…
大きな窓ガラス越しに、見渡せました。

  施設内に回り込んでみて、そのスペースの入口あたりに立っていた方に、見学できますか?と尋ねると、

どうぞ、どうぞ

入ると、
まちのCoffeeやさんの看板です。

自分のマグカップを持ち込んで置いておけば、一杯50円でコーヒーを。

 どこぞの社員食堂横の休憩室のような、何処にでもあるシステム、地域の人に「自由にご利用下さい」も珍しくはなさそうです。

 ただ、大阪あたりの『障害者施設』となるとそうはいかない。
 ずっと日本の福祉にどっぷり浸かった福祉施設の管理者なら、おおよそ
障がい者を見世物にするとは、何事ぞ!
と、なってしまいます。きっと。
利用者の保護者の中には、
みっともないやないの!
善意のつもりで、カーテンを送りつけてくる人さえ、大阪なら有り得るかも。

 なぜこのスペースが、こんなに開放的なのかは、 実際にこのスペースに入ってみれば、答えは簡単です。

 外が見えた方が気持ちいいから。

 このスペースに居るなら、おそらくほとんどの人が、景色を眺めながら休憩したいはず、その方がコーヒーだって美味しいはず。

 あいにく、マグカップは持ち合わせていませんでした。

  コーヒーが飲みたくなってきましたが、妻が、花屋さんへ行きたいと。

中に ハーブティーを扱うカフェがあり、コーヒーもあるそうで、これは渡りに船、ここでティータイム。

 カフェには先客があり、高齢男性が一人、本を読みながらお茶を。
隣接しているフィットネス帰りかもしれません。

 その方が店を出る時、お店のスタッフが
「いつも、ありがとうございます」
どうやら、顔見知りの常連さんのようです。

 ボクは仕事柄、平日の午前中のイオンで読書する、ボクより少し上の世代の男性達の丸まった背中、ちょいちょい見かけます。
 見る度、 家に居場所が無いのかなぁと、少し憂鬱な気分になります。

  カフェにいた男性には、物憂げな感じは微塵も無く、むしろ、ちょっと羨ましいくらい。

 居場所って、大事ですね。


B'sをあとに。

ティータイムを終え、予約を問合せた時に佛子園の方が薦めてくれた『シェア金沢』へ。

車で約30分移動しました。


シェア金沢

 パッと見、昔コロニーと呼ばれていた、ボクの知っている障害者施設群と似ているようにも感じました。

 散策していると、『ガイア自然学校』の看板のあった辺りの建物から、小学生の子ども達が、飛び出してきました。

こんにちは!

 子ども達は、初めて出会う見知らぬボクたちに、ちゃんとあいさつをしてくれます。

S-stadiumと書かれた大きな建物が見えたので、近くを歩いていたあいさつをくれた男の子に聞いてみると
「サッカーとかするところ」

  屋内運動場のようです。
ちゃんと、説明してくれました。

しばらくして、妻と、トイレを探していると、近くのベンチに座っていた男の子、
「こんにちは! トイレはあっちですよ」
と、🚻の見える所まで案内してくれました。


 ボクが知っている、昔、コロニーと呼ばれていた障害者施設群、呼び名は変わったけれど、で、建物もキレイになったけれど、今も人里離れた山間で、障がい者の方々は世話人と共に、ひっそり暮らしていると思います。

 悪い言い方をすれば、隔離。
水と油はしっかり分けられています。

 もちろん、佛子園に居る障がい者の方々も、支援者にしっかり守られているでしょう。
 ただ、佛子園に居る人が佛子園に居るのは、邪魔者扱いされて排除されたのでなく、『障がい』や『要介護』は、佛子園へやってくるための、ほんの些細なきっかけに過ぎなかったのでは?と。

 佛子園の『ごちゃ混ぜ』は、しっかりとエマルジョン(マヨネーズの混ざりかた)。

 もしこれが見せかけのインクルーシブ、ただシェイクしただけなら、やがて分離してしまいます。(使う時にだけ振るドレッシングのような…)

 佛子園にはきっと 、エマルジョンのための乳化剤が色々あって、ボクはその乳化剤の中の重要な一つが『見守り』の支援だと確信しました。


まさに、well-beingのテーマパークやぁ!(彦摩呂風)

 USJやディズニーランドは足を踏み入れたらスタッフが明るく声をかけてくれます。  佛子園もです。

  そして重要なのは、障がい者の方々は繋がれている見世物の家畜ではない、決して欠けてはならないテーマパークの一部を担う構成員だということ。

 ボクたちが『シェア金沢』に滞在していた約1時間、その間はボクたちもテーマパークの構成員として『シェア金沢』をシェアしていました。

 だって、ちゃんと小学生の男の子達に見守られていたんですから。
 

 
 

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