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30数年前のこどもの日、オモチャ屋での出来事。

 こどもの日に着くよう、高額な乗用遊具の配送を注文されたのは、上品な老齢のご婦人でした。
 

 昨今のオモチャ屋さん事情は存じていませんが、ボクがオモチャ屋で働いていた頃、こどもの日はクリスマス、お盆休みと並ぶ繁忙期でした。

 高額な商品が売れる大事な日。


 
 その年のこどもの日、忙しい中、配送業者から
「荷物を受け取ってくれないんですよ…」
と電話が入りました。

 お金は既にいただいているので、事情が呑み込めず、配送先に電話を。

 何回目かで、ようやく繋がった電話で、いきなり、

「送りつけてくるの、止めてください!
あの人には、何の義理も無いんですから!」

けんもほろろ。

恐る恐る、
商品はどうさしていただきましょうか?
とたずねると

そんな事知りません!
とにかくそんなん要りません!
あの人に聞いたらエエでしょ!」

ガチャン。

 仕方ありません、買われたお客様の方に連絡を入れると、丁寧に詫びをなされ、結局キャンセル、ご返金となりました。

 本来なら送料はいただくんですが、後日、返金受け取りに来られたご婦人が、あまりにも萎んでおられたので、言いそびれてしまいました。


 こどもの日、徒労に終わった、ちょっと悲しい思い出話です。
 


 

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