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井の中の蛙は、生ムギ 生米 生たまご を唱える。

 最近の若者は『イ』を使わなくなった

と、アナウンサーがMCの ラジオ番組で流れていました。

 嫌だ!→ヤダ 旨い→ウマッ ウザい→ウザッ

 形容詞の最後の『』をはしょる場合が多いようです。

 『』の発音が平坦になる傾向もあるそうで、そのラジオでは『クラブ』を例にあげていました。
 正しいとされている発音では『クラブ』の『』にアクセント、降りていく発音

 ̄ ─ ─
ラ ブ

これが、関西弁だと真ん中へ上がって『』にアクセント

_  ̄ ─

上二つは、スポーツ系や昭和の頃のママが居る『クラブ』をイメージしますが、 DJが居そうな最近の『クラブ』は平坦に

─ ─ ─
ク ラ ブ

 で、そのラジオで、お腹に軽く手を当てて、それぞれ声に出して言う実験。
 一緒にやってみると、最後の平坦な『クラブ』が一番、手に響いてこないことがわかります。

 これは、発音の省力化のせいらしく、先の『』抜きも、平坦な『』も、『』は口を横に引いて発音する一番しんどい母音ですし『』を強く発音するには唇を円くしなければなりません。
 
 楽に、楽に、時代は変わっていくのですね。

 でも、そのアナウンサーは、アナウンス前に意識してイー、ウーと、何回か口を動かして発声練習するのだそうです。

ちゃんと、聴いている人に響くように。

☆☆☆

 最近のテレビ番組では、ライブでない収録モノのバラエティー、ニュース映像に、字幕入りが当たり前です。
 いつの頃からでしょうか。
 しっかりしゃべりの音を拾わなくても、目からの情報が溢れるようになって、口からの発信もおのずと弱くなってしまったのかもしれません。
 ガンバってしゃべらずとも、楽に、楽に、と。

 
 昔、小売業界にいた頃、お店の開店前に、販売用語を唱和させられました。
 当時は、面倒くさいなんて思ってましたが、見返してみると『』をちゃんと言うようになってるんですね。

販売8大用語

らっしゃいませ

おはようござます

がとうござます

こまました

少々、お待くださませ

もうわけござません

お待たせ

また、お越くださませ

 これを雑な感じで『』を言わんようにアレンジ

らっしゃあーせー

おはよーざぁーっす

ああとーざぁーあす

わっかり あした

ちょと 待ってもらえますか

すんません、ホントすんません

お待たせ しあしたぁ

また 来てくださぃねー

 こんな接客でも、菅田将暉さんがさわやかに言ったら、そらカッコいい、今の時代なら菅田将暉さんの方が断然キラキラでしょう。
 『』を使わない人達同士、それで十分通じ合えるなら、それも「あり」かもしれません。


 でも、『』が当たり前だった昭和世代の人間に『』の無い言葉は響かない、たよりない。

 けしからん!と『』の無い若いコミュニティに押しかけて、イーイー言いなさい!と諭しても

 ウザッ

と、スルーされるだけでしょう。


 当たり前に『』に囲まれて育ち 『イ』の無い世界に困惑するオッサン世代を称して

『イ』の中の蛙

といいます。 知らんけど。


☆☆☆

 
 これも昔の話、年末繁忙期に二日ほど、風邪で喉を痛めて、声が出なくなりました。

 職場では、仕方ないので、筆談で

今日は声が出なくて 迷惑かけます ごめんなさい

とメモ用紙に書いて、その日のスタッフ達に見せてまわりました。

それを読んだスタッフの一人、ボクの書いたメモの下へ

今日は 事務所にいてくださいね」

と記してくれました。

優しいスタッフです。


でも、ボクはその下に、

「君は しゃべって ええねんで」

と、すぐ書き足しました。


 発語が極端に少ない、言葉の遅い子どもたちには、その支援に、イラストや大きいアクションで視覚に訴えるのはとても有効です。

 ただ、視覚支援に頼っていると、こちらからの言語発語が疎かになってしまいがちです。

 喋らない相手だとなおさら、こちらも喋ってはダメと錯覚してしまいそうです。

 一方通行でも、ちゃんと言葉も届けないといけません。

  そして、発語は相手の心に響くよう、しっかり『』を使って、『』はジェットコースターのように。

 菅田将暉でも何でもないボクは、十分に気を付けたいと思います。

☆☆☆

 以前、ラジオでの浜村淳さんのコメント。
(私はラジオしか聴いてないみたいですね)

 仕事の前に

『生ムギ 生米 生たまご』

と、3回言うようにしているのだそうです。

 早口ではなくて、ゆっくり、確実に口を動かすそうです。

 滑らかにおしゃべりするための ストレッチですね。

 普段の仕事、営業にも活かせそうなので、ボクも同じように実践しています。

『生ムギ 生米 生たまご』

 『』の話を耳にしてからは、

『生ムギ』の『ムゥ』で唇を円く、『ギィ』では、しっかり横に引っ張って。

相手に、ちゃんと響きますように。


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