偽りのない歓迎
もう15年ほど前。
当時、窓口業務も含む、事務系の仕事をしていた。お客さんが来れば対応し、それ以外の時間はPCでの作業が中心だった。
来客が多い時期は波があり、窓口に時間を取られると自分の仕事がなかなか進まない。仕方のないことだけど、忙しい時期にお客さんが入ってくると内心、ため息をついていた。
実際にはお客さんには笑顔で挨拶をするように心がけていたけど、心からの歓迎の気持ちを持つことは、なかなかできていなかったと思う。
そんな折、当時3歳くらいだった姪っ子が実家に遊びに来ていたことがあった。
私が帰ると、玄関の靴と傘で遊んでいた姪っ子が、満面の笑顔で「おかえりー」と声をかけてくれた。
きっと、構ってもらえると思ったんだろう。
理由はともかく、心から喜んでいるというのは確実に伝わってきた。人に声をかけて挨拶をするとき、これほどの歓迎の気持ちを全面に出すことは、なかなかできない。無垢な子どものすばらしさを存分に感じた。
もちろん、業務の一環であることと、身内に対するものを単純比較はできない。
それでも、あのときの姪っ子のかわいらしい「おかえりー」は、あいさつの大切な心構えを教えられたと感じ、心がすさんだときには思い返すことにしている。
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