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ゴールデンカムイの植物、アイヌの神話

「ゴールデンカムイ」という漫画をご存知ですか?
漫画の舞台は、明治末期の北海道。アイヌの女の子 (アシリパさん) と元陸軍の杉元たちが、金塊を探しながら冒険をするストーリーです。


この漫画では、簡単に人が死んでいくので、読み進めるのが怖くなる時もあります。けれど、筆者も、読者をただ怖がらせようしているのではなく、殺さなければ、殺されてしまう緊張感のある時代かつ、そんな場所だったのだと思います。そしてアイヌという民族が、近代化の波に揉まれながらも、自分たちの信仰を大切にし、誰もが経験したことのない時代を生き抜こうとする強さを感じます。フィクションだと分かっているのに、なぜか、とてつもないリアリティがあります。

アイヌ民族は、独自の神様、独自の神話を持っています。今回、ゴールデンカムイに出てきた、オオウバユリとギョウジャニンニクを山で発見したので、紹介します!!

オオウバユリ

(写真 北大植物園)
・アイヌ語でトゥレプ (プは小文字)
・球根 (ユリ根) からデンプンを抽出する
・作中では、デンプンを使ってお団子に

ギョウジャニンニク (アイヌネギ)

(真ん中の一枚ずつに分かれた、楕円の葉: 写真 夕張岳)
・アイヌ語でプクサ
・葉を食べる
・匂いが強い
・作中では、味噌と合わせて食べたり
ネギやニンニクという名前ですが、見た目も味も、ニラが近い気がします。

オオウバユリは、札幌岳で出会い、不思議なユリ…と思っていました。花はユリっぽいのですが、佇まいが違うような…その後、北大植物園で再会し、オオウバユリという名前だと知りました。そして、オオウバユリといえば、「ゴールデンカムイ」に神話が出てきたではないか!!と思い出し、二重の喜びがありました。
ちなみに、オオウバユリと一般的なユリの大きな違いは、葉っぱだそうです。ユリというと、シュッとした細い葉をイメージしてしまうのですが、オオウバユリの葉は、ギザギザしたハート形です。

アイヌの神話

アイヌの村長たちの間で、ある噂が広まる。その噂とは、村々を小さな二人の女が訪ねてきて、自分たちの排出したものを「食べろ」と要求する。そして、それを断ると罵倒される、と。ある村長のところにも、彼女たちは、やって来て、噂通りのことを要求する。汚いものに見えなかったので、村長が食べてみると、とても美味しかった。実は、彼女たちは、オオウバユリとギョウジャニンニクが変身した姿。人間に食べ物として認識されず、生まれては、朽ちていくだけだった。人間に食べてもらえるよう、村々を回っていたのだった。この度、食べ物と認識してもらえ、人間に感謝されたので、神様になることができた。また、人間たちも、この食料を知ったことで、飢えから守られ、暮らすことができた。
(一応、乙女なので、だいぶオブラートに包んで書いています。詳しくは、10巻第91話をご覧ください。)

一つの神話が出来てしまうくらい、この二つの植物は、アイヌにとって重要なものでした。

最後に (ジャガイモ)

冬が長ーい北海道にとって、山菜採りは、春の訪れを告げる行事の一つです。アイヌネギは、今でも大人気の山菜です。アイヌネギの餃子、卵とじを食べたことがあるのですが、独特の香りと苦味が、とても美味しかったです。
しかし、オオウバユリを山菜として採っている方には、お会いしたことがありません。たぶん、デンプンの抽出が手間なのと、今は、米やジャガイモなどで、簡単に炭水化物を手に入れることができるからかな、と思いました。ジャガイモといえば、北海道!ですが、近代になってから栽培し始めたものなんですよね。

ジャガイモの花
ナスの仲間なので、ナスによく似た花をつけます。品種によって花の色が違い、白とピンクをよく見かけます。
北海道は、これからの季節、ジャガイモの花も見頃です!!富良野や帯広方面にドライブをすると、一面のジャガイモ花畑を見ることができます。

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